2020年7月26日日曜日

essay 20200726 増えるレスキュー

がんの慢性的な痛みをおさえるために、上腕上部に常時皮下注射を入れてある。
そこからは痛み止めの医療用麻薬(モルヒネ)が注入されているのだが、その作用がときどき追いつかなくなることがある。
どうしても痛みが強くなったとき、レスキューとよばれる、追加の麻薬を丸いカプセルのボタンを指で押して手動で注入する。
一時間ぶんぐらいを余分に先行して打つことになるわけだが、体も次第に慣れてきて、最初は一日数回だったのが、4〜5時間に一回、3〜4時間に一回、2時間に一回、と次第に間隔が狭まっていく。そうするとレスキューの意味がなくなるので、ベースの量を増やすことになる。
私が注入している量はどのくらいかよくわからないが、相当な分量を体に入れることになると、体を動かすのもしんどいし、頭の働きも鈍くなっていく。
頭がクリアで、体もあるていどキレが良く、という具合になるといいのだが、なかなかそうはいかない。
今日も痛みのために歯を食いしばって起きながら、ベッドの中でこれを書いている。
ピアノと、それにつけるエッセイは、なんとしても私の表現活動の先端として確保していきたい。




From editor

「書いている」とは、今日の場合は口述筆記を指す。
しばらく音声入力が主だったが、ファイルが行方不明になったりするので、最近は口述筆記の頻度が上がってきた。
かな入力でバチバチ高速で打ちまくっていた水城が。

ピアノは昨日、五歩、いや、今や十歩の距離をたどりついて、数分間息をととのえて、ようやく弾けたもの。
先日、人が来たときに、「ふつう爪先で踏むペダルを、浮腫がひどくて踏めないので、かかとで踏む。
鍵盤に手を置いても左右に自由に動かせないので、置いたところで弾く」のだと言っていた。

そのままを発表するのではなく、いったんLogic Proでの編集を通す。
音を整えている部分も多少ある。だからおちついて聞こえているかもしれない。
生で弾いているようすは、もうすこし大変そうだ。