監督はペトリ・ルーッカイネンで、彼自身についてのドキュメンタリー映画ということになっています。
映画では彼自身の生活そのものが映しだされていきます。
その生活にはあるテーマがあります。
失恋をきっかけに、ペトリは自分の生活を見直すことにしました。
とくにモノにあふれた自分の部屋、それを一度、全部倉庫に預けて、からっぽにしてしまおうと思いたつわけです。
映画の冒頭では、なにもないからっぽの部屋と、丸裸のペトリが映しだされます。
裸のペトリが雪の積もったヘルシンキの街を、倉庫に向かって疾走していきます。
自分の最初の持ち物を取りに行くのです。
倉庫から持ってこれる持ち物は、一日に一個だけ。
それがルールです。
最初に持ちだすのはコートです。
最初の夜はなにもない部屋でコートにくるまって夜をすごします。
次の日は……
という具合に、一日一個ずつ、生活必需品が増えていきます。
さて、人間は何個のものがあれば、快適に生活できるのでしょう。
という単純な問いから出発して、内容はしだいに哲学的になっていきます。
人の幸福とは?
モノとは?
人生とは?
ペトリの本物のおばあちゃんだと思いますが、重要な役割で要所に出てきます。
これ、ほんとにドキュメンタリーなの? というほど、絵はよくできています。
ペトリのリアルな仕事はカメラマンらしいです。
だからでしょうか、映像はとてもきちんとしていて、ときに美しいのです。
リアルな友だちも出てきます。
そして、リアルに好きななってしまう女性も出てきます。
モノがすこしずつ増えていきます。
ペトリの生活もすこしずつ変わっていきます。
しかし、前とは違っています。
映像、音楽、アイディア、ストーリー、普通に映画として楽しめます。
そしてこれがドキュメンタリーなのだというところが驚きなのです。
見て損はない映画だと思います。
◎親密な関係における共感的コミュニケーションの勉強会(7.16)
共感的コミュニケーションでもとくにやっかいだといわれている親密な関係であるところのパートナーと、お互いに尊重しあい、関係性の質を向上させるための勉強会を7月16日(土)夜におこないます。