2010年2月3日水曜日

ブレイブワン

 タイトルがいまいちなのと、主演のジョディ・フォスターは悪くない女優だとは思うけれど個人的にはあまりグッとくる感じがしないのとで、見る前は気乗りしなかったのだが、始まったら出だしからすぐに引きこまれた。
 まず、ニューヨークでラジオのDJをやっている女性が主人公、という設定がいい。ジョディ・フォスター演じるDJのエリカが、ニューヨークの街を録音機をかついで街の音を収集して歩いている場面からはじまる。そして彼女の電波に乗せたモノローグ。まったく雰囲気は違うが、「タクシー・ドライバー」に通じるような魅力的な出だしだ。
 その後、ストーリーは目を覆うような悲劇へと転じる。エリカが婚約者と公園で犬の散歩をしていたところを、暴漢に襲われ、恋人は死亡、エリカも瀕死の重傷を負う。
 このような女性が、ふたたび社会復帰しようとしたとき、自分の身を守るためになにか武器を身につけるというのは必然性があるし、ジョディ・フォスターは繊細に演じている。そしてひょんなことから、エリカはこの「暴力」を駆使する機会に遭遇するのだ。

 正義の名のもとに、法律では裁けない暴力に暴力で制裁を下すことは許されることなのか。
 彼女の行動にどこか喝采を送っている私を発見する。また、映画のエンディングも、彼女と担当刑事の選択を、全面的ではないにせよ、肯定しているように見える。
 問題を多くはらんだ映画であろう。
 ジョディ・フォスターもよかったが、刑事役のテレンス・ハワードもなかなかよかった。