2017年10月20日。
国立の〈さくらホール〉にてダンスと朗読と音楽によるパフォーマンス公演「FLARE m3」を開催した。
オーストラリア在住の矢澤実穂さんが、日本の熱海で開催されるNVCの国際集中トレーニング合宿「IIT」に合わせて一時帰国する際、なにかいっしょにやりたいと声をかけてくれたことから、この公演の計画がスタートした。
IITでは、経済的な理由で参加できない人をなくすために、事務局が「セルフファンディング」という企画を立ちあげていて、収益の一部をそれに寄付しようという話にもなった。
そもそも実穂さんとは、3年前に清里で開催されたIIT2014年のイベント内イベント「ノータレントショー」で、突発的にパフォーマンスを挙行して、それがとっても楽しくインパクトがあった。
そのおなじメンバーである実穂(ダンス)、野々宮卯妙(朗読)、水城(ピアノ)の3人でまたやろう、という話になったのだった。
あまり時間的余裕もなかったので、リハーサルはなし、簡単な打ち合わせのみ事前にすこしおこなっただけという、ほぼぶっつけ本番の公演だったが、それでもおたがいにまったく不安がなかったのは3年前の「おたがいに信頼できる表現者である」という感触があったのと、おなじNVCでつながった者同士という安心に支えられていたからだろう。
ところで私はこの公演のために、朗読テキストをあらたに書きおろすことにした。
作品「きみは星々の声を聞いている」が完成したのは、公演の数日前。
公演当日、実穂さんはおなじ会場で、午後、コンタクトインプロヴィゼーションとNVCのワークショップをファシリテートしてから、夜の公演を迎えるというハードワーク。
小笠原春野さんと小見明子さんが手伝ってくれたほか、来場者も自主的にいろいろ手伝ってくれたりして、運営はスムーズに進んだ(ありがたや)。
おかげで私は公演のセッティングに集中できて、リソースの少ないない、そこそこおもしろいセッティングになったのではないかと思う。
ダンスと朗読の動線を作り、ピアノを動かし、観客の視覚・聴覚を動的に刺激するようなセッティングのなか、本番が夜7時スタート。
ピアノソロからはじまって、ダンスが出る、そして朗読が出る。
あとはいまこの瞬間の自分と共演者と、聴衆と公演空間との対話から、生まれてくるものを即興的につかみ、つないでいくという連続。
いつものフロー状態から、ゾーンへと侵入していく、空恐ろしいほどの密度の濃い時間感覚のステージへ。
楽しい、ということばを通りこして、ひやひやするほどのスリリングな表現体験の1時間強だった。
すこし前から自分が、これまでとはちがう表現の質に進んだような気がしていたのだが、この公演でそのことに確信が持てた。
自由さの奥には、さらなる自由さがあり、それは窮屈なほどの選択肢の限定された「これしかない」という厳しい自由さだということを、喜びをもって体験できている。
共演者と、サポートしてくれたみなさんに、心から感謝したい。
しばらくは自主公演の予定はないが、呼ばれればどこへでも行くので、まずは気軽に声をかけていただきたい。
いっしょに厳しく楽しみましょう。
公演「FLARE m3」記録映像の抜粋はこちら。