草時間のかわしまよう子さんがおこなう合宿に、半日だけ参加するためだ。
一泊二日のこの合宿は、雑草とたわむれたり利用することで自然と遊び、対話するかわしまよう子さんのライフスタイルを学び、自然とのコミュニケーションを楽しむためのもので、よう子さんの仕事に共鳴している上野洋子さんが世話人となって開催されたものだ。
今回、コミュニケーションについて「自然」とだけではなく、「ひと」とのコミュニケーションも扱いたいということで、私も呼んでいただいたのだった。
長年共感的コミュニケーションを学び、研究し、実践し、広める活動をつづけてきた身としては、とてもありがたいお声がけだ。
けっこうな土砂降りのなか、到着してみると、すでに参加のみなさんがそろっていて、全員女性!
私ひとり、おじさんというか、怪しいじじぃみたいなのがのこのこと登場して、さぞやみなさん驚いたことと思うが、そんなことは微塵も感じさせず、みなさんに歓迎されて、たちまちお尻が落ち着いた。
私は名前が「ゆう」とひらがな表記で仕事していることもあって、時々私のことを女性だと思いこんでいる人がおられる。
そして「なんだ、おじさんだったのか」と落胆されたり、警戒されることがある。
私にはいかんともしがたいことなのだが、残念な気持ちになる。
もちろんこの日はそんなことはまったくなく、なんだか仲良しの女友だちや娘たちに大事にされているおじいちゃんのような気持ちで、みなさんに囲まれてほっこりすごした。
会場のテーブルの上にはちいさな草花飾りがいくつかしつらえてあって、よく見ればそれもこの近所で摘んできた野草の花や実なのだった。
テーブルを囲んで自己紹介をひとまわりしたあと、ちょっとだけみなさんの日頃感じている人間関係やコミュニケーションの気がかりについて聞かせてもらう。
そのあと小降りになった雨のなか、庭へ出て、気になる野草を各自摘む。
私も摘んだ。
あとでそれはお団子のなかに練りこんだり、上に飾ったりして、お茶といっしょにいただいたのだった。
お茶のあとは、みんなで夕食作り。
これも野草や無農薬の野菜を使ったもので、しかし食べてみると奥深い味としっかりした食感で、大満足なものだった。
肉がないから物足りない、なんてことはまったくなかった。
そして野草が加わることで味わいの幅が生まれるのも知って、興味深かった。
夜は別棟の広い座敷のほうに移動して、共感的コミュニケーションのお話会。
外は嵐だというのに、雨戸を閉めきったここはまったく静かで、平和だった。
そういえば、この嵐のなか、みなさんキャンセルもなく集われたのにはびっくり。
私はいつ「中止になりました」という連絡が来てもおかしくないなと思っていたのだが。
お話会では、みなさんが日頃気になっている人間関係やコミュニケーションの問題について聞かせてもらい、さまざまな角度から「つながり」の可能性について検討してみた。
人はたいてい、だれかと対立したとき、その相手を自分の価値観からしか見ていないし、そのことでつながる可能性を閉ざしてしまっている。
しかし、相手には相手の価値観があるし、それはなんだろうと推測し近づいていくことで、つながりの可能性が生まれるのだ。
それは自分自身についてもいえることだ。
そんな話をしたりして、すこしはみなさんのお役に立てたのかなと思うけれど、なにより私自身がこのようにいきいきと楽しくすごしている姿を見てほしい、それは共感の力に信頼を持っているからだ、ということを感じてもらえたら一番うれしいと思っている。
お話会の最後によう子さんが絵本を一冊読んでくれた。
それはまさに「自己共感」「自己肯定」についての本で、この日のお話会の内容にあまりのぴったりだったのでびっくりしつつ、よう子さんの優しい朗読に癒されまくったのだった。
あらためて、お会いしたみなさん、ふたりのようこさんに感謝。
またお会いしましょう。
◎共感的コミュニケーションWS@とよた市民活動センター(10.28)
愛知県豊田市の市民活動団体〈ゆめぱレット〉の主催で、共感的コミュニケーション(NVC)のワークショップをとよた市民活動センターでおこないます。どなたもご参加いただけます。