2013年5月15日水曜日

読みにくい作品を選び、読みたいように読む

よく、
「朗読の練習にはどんな作品を選べばいいんですか?」
と訊かれる。
朗読の作品選びに苦労される方はどうやら多いようなのだ。
私の答えは明快だ。
「読みにくい作品を選びましょう」

作品選びにこまるとつい自分の好きな作品を読もうとしてしまう。
すくなくともそれはあまり「練習」にはならない。
好きな作品や思いいれのある作品は、作品にたいするイメージがすでにできてしまっているので、「このように読もう」という道すじが作られやすい。
現代朗読でいうところの「テキストに読み方を指示される」ことになりやすい。

読み方の自由を確保する練習のためには、なるべく自分では読みにくい作品とか、ほうっておけば自分では決して読もうと選ばない作品を選ぶといい(無責任な他人に選んでもらうのもよい)。
読みにくい作品はあらかじめどう読もうという道すじができていないので、「さて、どう読めばいい?」というところからスタートしやすい。
また、自分がふだん使いなれていない言い回しや文体を自分の表現として使おうというのだから、しっかりと読みこんで練習しなければうまく読めない。
練習で苦労する分、力がつく。

理想は、読みにくい作品をしっかりと読みこんで、どのようにでも読めるように練習し、さらに読みたいように読む、ということだ。