2014年4月4日金曜日

だれかに雇われないで生きている人々(帽子屋・美容師)

先日、羽根木の家に行こうとして、井の頭線の線路脇の車が通れない私道のところに、なにやら目をひく移動販売車のようなものがあるのに気づいた。
車といってもよく見ると自転車で、昔よく見かけたリアカーのような体裁だ。
しかもリアではなく、フロントのほうに荷台がある。
荷台はかわいい幌がついている。

気になったので、立ちよってみた。
手作りの帽子の移動販売で、やっているのは若い女性だ。
話を聞いてみると、1920年台くらいの古い帽子の型を使ってレトロな感じの帽子をひとりで製作しているとのこと。
レトロだが、逆に現代的な感じもして、とてもおしゃれ。
すぐ近所にお住まいで、ここ(羽根木の家の横手の線路脇)が移動販売のスタート地点なのだという。

まだ始めたばかりで、しかしけっこう反応があって、帽子はけっこう売れるのだという。
仲間のアクセサリー製作者の人も、やはり自転車で来ていて、いっしょに販売している。

近くのアパートの一室でひとりでコツコツと好きな帽子を製作し、それを荷車に積んで移動販売に出る。
なんだか素敵な生き方ではないか。
だれにも雇われず、自分の手ひとつで生きている。
贅沢はできないかもしれないが、自分が作ったものがだれかの手に渡り、楽しんでもらえているという生活。

現代社会ではどこかに勤めなければ生活できないと思いこんでいたり、会社員や公務員の生活しか選択肢にないように思っている人が多いが、実際にはどこにも所属せず、自分ひとりの裁量で生きている人も多い。

この前、私が髪を切ってもらった和食《わじき》雅子もそういうひとりだ。
彼女は美容師なのだが、通常美容師というとどこかの美容院に勤めていたり、あるいは自分で店を持って人を雇っていたりする。
和食ちゃんはひとりでやっていて、三軒茶屋の美容院の椅子を借りたりして仕事をしている。
いずれは自分の美容室を持ちたいのかもしれないが、環境に配慮したエネルギーコストの低いエコな店をやりたいという夢があるようだ。

私がオーガナイズしている音読療法も、その技術を使って社会貢献の仕事で自立してほしいという願いが強くある。
だれにも雇われない独立した仕事は、雇われている仕事とちがってただ待っているだけでは仕事はやってこない。
自分から動き、情報発信し、仕事を作っていく必要がある。
大変だが、それでもだれからも強制されず、雇われず、自分自身の選択のなかでやっていくというやりがいがある。
つまり、自分自身の人生を自分で生きるわけだ。
たった一回きりの人生をどのように生きたいかは、それぞれの選択があるとは思うけれど。

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