2015年8月1日土曜日

書き下ろし長編小説『親密な関係』の配信がスタートした

今日8月1日のたったいま、小説『親密な関係』の第1回をメール配信した。
ちょっと長めの旅に出た感じ。
自分でやってみたんだけど、バックナンバーがうまく表示されない。
私だけかな。

バックナンバーをだれでも読める方法をかんがえておくかな。
note.mu を使うのがいいかも(さっそく作ってみた)。

メール登録が間に合わなかった人、これから読みたいという人は、こちらから登録してください。無料です。

ちなみに、『親密な関係』の冒頭部分はこんな感じで始まっています。

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  第一章 夏のにおい

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 天板《てんばん》がわずかにななめになった仕事机の表面を、ふっくらと少女らしさをのこしているように見える小ぶりの手が、かたくしぼった布巾《ふきん》とともに、すばやく行ったりきたりしている。
 さっきまで乱雑にものが置いてあった机の上はすっかりかたづけられ、わきへ寄せられている。透明水彩の固形絵の具をいれた平箱《ひらばこ》、大小の筆立《ふでたて》が二個、パレット、鉛筆がならんだトレイと鉛筆をけずる十徳《じっとく》ナイフ、大きさと減り具合のことなるいくつかの消しゴム、おおきな鳥の羽、定規《じょうぎ》、インク壺、老眼鏡《シニアグラス》。それらを彼女はひとつひとつ丁寧《ていねい》に天板の端にならべなおし、まんなかを広くあけて、布巾で拭《ふ》きあげている。
 中央部分を拭きあげると、端にならべたものをいったんまんなかにならべなおし、天板の右端と左端も完全に拭きあげる。
 天板の奥側を拭くとき、彼女の身体《からだ》は折れまがって上体が伸びる。布巾を動かすたびに、まっすぐに伸ばした肘から腋への腕の線が変化する。