2011年1月10日月曜日

Mac App Store の可能性

世間では(とくにWindowsユーザーには)ほとんど話題にされず、注目もあまりされていないが、先日の Mac App Store のサービススタートのことをもう少しかんがえておきたい。
このサービスの概要はすでに「Apple App Store が来た!」に書いた。
ほかに、App Store のスタートから24時間で100万ダウンロードがあった、というニュースがある。
また、私はEvernoteというクラウドサービスを利用しているが、その日本ユーザーが App Store がスタートしていきなり倍の登録数になったことが発表されている。Evernoteはアプリが App Store に最初から出ている。

アプリが直接ダウンロードできるようになって便利だ、とかなんとか、そういうこともあるが、私が注目している点はふたつある。
ひとつめ。
iTunes Music Store → iTunes App Store → Mac App Store という一連の流れのなかで、アップル社は確実に、コンテンツを個人ユーザーに直接届け、またコンテンツ代金を直接回収する方法を作ってきた、ということ。
音楽がレコードやCDで売られていたころ、またソフトウェアがCDやDVDで売られている現在、そして本が紙の書籍で流通している現在、個人間で気軽に貸し借りされたり、違法コピーが出回ったりしてきた(している)。しかし、このアップルの Store のシステムでは、一個人が確実にお金を払い、自分用のコンテンツを正規に手にいれる「商習慣」ともいうべきスタイルが、抵抗なく身についていっているように見える。
もちろんコンテンツの価格が安く設定されていることもあるだろう。が、それ以上に、不法コピーや貸し借りの面倒さより、個人が安価なコンテンツをクリック一発でダウンロードできる手軽さを選ぶようになってきているのだ。

ふたつめ。
iPhoneやiPadのiOS開発者のように、Mac App Store もデベロッパーライセンスを購入すれば、だれでも開発者になれる。
自分が開発したアプリは、iTunes Store と同様、Mac App Store で販売できる(認可されれば)。アップルが3割の手数料を取り、開発者は7割の取り分となる。
これ「開発者」などといっているが、コンテンツ製作者といいかえたほうがいい。つまり、音楽家も小説家も写真家も漫画家も、もちろんプログラマーも、コンテンツ提供者はだれかに販売を任せるのではなく、自分でアプリを作って公開してしまえばいいのだ。アプリが作れない人は、アプリ製作代行サービスのようなものを利用すればいい(手数料は取られるが)。
そして、コンテンツ代金の取りっぱぐれがない。コンテンツ代を低く設定しても、多くの人から確実に徴収できるほうがいい。
ゲームを中心としたアプリが数百円という価格に設定されているように、電子書籍も1冊100円くらいになってもいいかもしれない。