2011年1月12日水曜日

早起きな人々/夜更かしな人々

生涯のほとんどを自由業者としてすごしてきたが、そのくせに、というよりそのせいで、自分には割合厳しく規則正しい生活を心がけるようにしている。
社会人としての最初をバーテンダー、そしてバンドマンとしてスタートさせたのだが、どちらも時間厳守の仕事だった。
バーテンダーは午後5時に店にはいって、午前3時すぎに終わる。バンドマンは午後7時すぎに仕事がはじまり、午前1時とか3時くらいに終わる。それなりに規則正しい生活だったが、いずれも夜中の仕事だった。昼夜逆転の生活を、5年くらいつづけていた。
その後、職業作家になり、働く時間はほぼ完全に自分の自由になった。
最初のころはバンドマンの生活を引きずっていて、完全に夜型だった。昼ごろに起きだしてきて、日中はだらだらとすごし、夜、世間が寝静まったころに本格的に仕事を始める。夜が明けるころに眠りにつく。
そんな生活だった。が、すでに子どもが生まれていて幼かったこともあったのかもしれないが、夜型の生活に思いきって見切りをつけた。
もともと田舎生まれ、田舎育ちで、日中の明るい時間に活動することが性にあっていたこともあるだろう。あるときから完全に朝方に切りかえた。
それまで眠りについていた午前4時くらいに起きるようになった。まだ夜明け前だ。もちろん、夜はその分、早く眠る。午後10時くらいにはもう床にはいっている。
30代なかごろにそういう生活にシフトして、それはいまでもつづいている。

朝方の生活にすると、いろいろなことに気づく。
まず、意外に朝方生活をしている自由業者は多い、ということだ。自分が朝方にシフトしたとたん、朝方生活者に気づくようになった。
たとえば文豪ヘミングウェイ。彼は夜明け前の時間をプライムタイムと決めていて、その時間に仕事をした。そういった作家は意外に多いのだ。
早起き仕事の人びとにも気づいた。新聞配達がいかに早い時間に動いているか。あるいは農作業の人。バスや電車の運転手。夜通し走っている運送業者のトラックにも気づく。カラスやスズメなどの鳥たちが夜明け前から活動していることにも気づく。
そして夜明け前の美しいこと。

このところ、Twitterのタイムラインをながめていると、フォローしている人々の「おやすみ」「おはよう」の様子がよくわかっておもしろい。早起きする人、夜更かしの人、いろいろいるが、なんとなく傾向が見えて興味深いのだ。
早起きする人は几帳面な性格かというと、そうでもない。私を含め、たとえば有名人では茂木健一郎さん(@kenichiromogi)がいる。高橋源一郎さん(@takagengen)なんか相当早起きだ。
かと思うと、夜更かしの人に几帳面な方がいたりする。これは個人的な付き合いにおいてもそうだ。
それぞれのスタイルがあると思うが、私はともかく朝方だ。
薄暮からしだいに空が明るくなり、日がのぼってくる直前の時間がとても美しいと感じる。そのときに「匂いが変化する」といった人がいる。わかるような気がする。
前倒しに時間を使いたい人、後ろ倒し(そんな言葉があるのか?)に時間を使いたい人、いろいろいる。
いずれにしても、いまある時間をすみずみまで味わいながら生きていきたい。