2010年11月9日火曜日

ピアニストは MacBook Air 11" を使う(1)

ピアニストが一番困るのは、「ピアノがない」という場面である。あたりまえだけど。
しかし、けっこうこういう場面は多い。なにしろ、ピアノという楽器は、アップライトにせよグランドにせよ、非常に高価で場所ふさぎで、さらにいえば調律などメンテナンスにもお金がかかるし面倒な楽器だ。
その面倒さと引き換えに、だれが鍵盤を叩いても等しく音が出る、とか、オーケストラの全音域をカバーできる、などの利点が確保されている。
面倒なので、だれでも持てるわけではないし、どこにでも置いてあるわけではない。

次の私の演奏機会は、名古屋演劇練習場〈アクテノン〉の資料室だ。
ここで11月13日(土)午後6時から、ウェルバ・アクトゥスのミニライブをやることになっている。
ウェルバ・アクトゥスとは、朗読や音楽、美術といったジャンルを超えたパフォーマンス表現で、今回は写真と朗読、そして音楽などの共演が予定されている。

当然のことながら、ピアノはない。
ここでいう「ピアノ」とは、アコースティックのピアノ、すなわち、アップライトピアノやグランドピアノを意味している。

この夏に同じアクテノンの野外ステージで、やはりウェルバ・アクトゥスのミニライブをおこなった。
このときには、デジタルピアノを使った。
デジタルピアノはこのところ、技術的進歩がいちじるしく、電気さえあれば、生ピアノとほとんどおなじような感覚で演奏することができる。電気さえあれば。
今回は内部の資料室なので、電気の問題はないのだが、デジタルピアノそのものが調達できない、という事態が出来した。
デジタルピアノは電子ピアノとは違い、鍵盤のハンマーアクションを生ピアノに似たようなタッチにするために仕掛けがしてあり、そのせいでどうしても重くなってしまう。なので、気楽に運搬できないのだ。もちろん生ピアノに比べればずっと気楽なのではあるが。

生ピアノがない。デジタルピアノも使えない。そういう事態におちいったピアニストは、どうすればいいのか。
電気が使えなければ、いさぎよくあきらめるしかない。あるいは、鍵盤ハーモニカのような代替楽器でなんとかする。これはこれでピアノとは違う楽器であり、演奏にはまったく異なる技術を要するのだが(そもそも呼吸を使う)、私は研鑽の成果である程度習熟している。
しかし、アクテノンでは電気が使える。
電子楽器の出番となるのである。