2011年9月28日水曜日

現代朗読協会・東北被災地ツアー報告(11)

石巻水産高校の第二グラウンドに作られた仮設住宅地へ。
 石巻には数百の仮設住宅地がいまだに存在していますが、ここはそのなかでも大きなほうだそうです。写真のような5家族もしくは10家族が入れるユニットが、40棟くらいならんでいるでしょうか。
 書き忘れていましたが、昨夜、南三陸町から石巻のホテルに行く途中で、ここに寄って、この日のイベントのチラシをみんなで手分けしてポスティングしておいたのでした。

 集会所は体育館ほど広くはありませんが、柔道の道場くらいの広々とした建物です。
 行ったらすでに玄関があいていて、窓もあけはなって空気が入れ替えられていました。
 ここにはピアノがありません。さっそく演奏機材を運びこみ、セッティング。ついでにホワイトボードも見つかったので、それを使うことにしました。
 席は座布団と椅子の両方を用意しました。
 三谷産業の都平さんがふたたび仮設住宅を回って、お客さん集めをしてくれました。三谷産業はすでにここに何度か物資を届けに来ていて、顔を覚えてくれている人も多かったようです。
 やってきたのは、やはりご高齢の方が多かったのですが、5歳くらいの男の子とお母さんもいました。ほとんどが女性でしたが、途中から男性も数名参加してくれました。

頃合いを見計らって、まずは簡単に私が挨拶してから、昨日は上演を見送った「Kenji」という朗読プログラムを始めました。
 この模様は、近く編集して、YouTubeで公開する予定です。宮澤賢治の作品をコラージュした、もともと30分近くある朗読なんですが、少しだけはしょって見ていただきました。
 みなさん、とても熱心に見てくれて、最初は騒いでいた子どもも途中から座って見てくれました。やはり、おなじ東北出身の宮澤賢治の作品ということもあったのかもしれません。
「Kenji」のあとは、呼吸と声出しのワーク。現代朗読協会では「音読ケア」と呼んでいるワークの一部を、少しアレンジしてやってみました。お年寄りたちはこんなふうにみんなでいっしょになにかやることに慣れているのかもしれません。とてもいいノリで、楽しくやってくれています。そして気持ちよさそうです。こちらもやりがいがありました。
 声出しでは『吾輩は猫である』の冒頭部分を使って、東北弁のイントネーションで読んでみたり。ここではもちろん、青森出身の唐ひづるが大活躍したことはいうまでもありません。
 また、「この道はいつか来た道」という歌の歌詞を、まずみんなで声を合わせて朗読してから、そのあとでいっしょに歌う、というようなこともしました。歌は、歌詞を朗読するのと歌うのとではまた違った味わいがあり、両方ともやってみると思いがけず新鮮なんですね。そのことを皆さんも楽しんでくれたようでした。

 最後は伊藤さやかに歌ってもらって、昨日も歌った「上を向いて歩こう」や「見上げてごらん」を一緒に歌いました。みなさん、呼吸法と声出しをやったあとだからか、大変元気な声で歌っていました。
(つづく)