2019年2月27日水曜日

本:駒井雅和著『駒井式 やさしい韓氏意拳入門』

日貿出版社発行、2,000円+税。

日本韓氏意拳に入門して6年になる。
この本にも書かれていることだが、よくいわれるのは、
「韓氏意拳は難しい。わかりにくい」
ということだ。
私も長らくそう感じていた。

難しい、わかりにくい、ということ事態は悪いことではないと思っている。
興味や好奇心がかき立てられ、挑戦しがいがあると感じる。
が、実際に稽古していくことなると、なにをどうやっていいのか、雲をつかむような不明瞭さで困惑してしまうのは、問題だ。
とくにひとりで稽古するときに、そういう問題が生じるのはおもしろくない。
おもしろくないと続かない。

ちょっとやってやめてしまう人もいれば、長らくがんばってつづけていたのに途中でふっつりと参加しなくなってしまう人もいる。
私自身もそのような問題を抱え、なんとかクリアしようとしながらやってきたが、ここに来てこの本が出たことで、個人練習に大きな味方を得たような心強さを感じている。

著者の駒井先生はこのように書いている。
「誰も置いていかない、誰にでも分かる韓氏意拳、を目指して、話を進めていきたい」

読んでみるとわかるが、平易なことばで丁寧に、しかし簡潔に論理的に書かれている。
なんだか上から目線のようだが、長年自著をたくさん活字出版してきた身としてあえて感想をいわせてもらえば、文章がすばらしい。
武術関係の本はとかく、内容はすばらしく情熱も感じられるが、いっていることがよくわからないことがよくあるのだが、この本はそんなことはない。
日頃から駒井先生が読書を好まれることをよく知っているので、先生の文章力はその読書量に支えられているのだろうと勝手に推察している。

また文章だけでなく、写真や動画などの図版にも工夫がある。
昨夜の稽古で先生じきじきに教えてもらって気づいたのだが、図版のなかにもこまかな書きこみがされていて、稽古のときのチェックポイントが示されている。
これだけ丁寧に書かれている「テキスト」があると、ひとり稽古で課題に取り組むときも明快になる。
毎日すこしずつ稽古しなさい、といわれてもなんとなく取りくみかたが曖昧だったのだが、この本があれば「今日はこれを課題として稽古してみよう」というふうに明確さが生まれ、結果的に稽古を楽しむことができるだろう。

韓氏意拳の学習者だけでなく、まだ体験したことはないが興味はあるという人にも、韓氏意拳という武術がなにをやり、なにを目指しているのか、どのように特別な武術なのかが、よくわかるだろう。

さまざまな工夫がほどこされ、また自身の問題についても正直に開示されているこの本を執筆し、出版にまでこぎつけたのは、大変な苦労だったろうと推測できる。
駒井先生にあらためて、この本を出してくれたことについてお礼をいいたいと思う。

また、この本の著者にじきじきに、しかも気軽に毎週のように教えてこうことができることも、ありがたいと思う。
稽古仲間がひとりでも増えてくれるとうれしい。
みなさん、ぜひいっしょに、自分の可能性を探求する稽古をしましょう!


駒井雅和中級教練による国立での韓氏意拳初級&養生功講習会を3月27日(月)14時からJR国立駅徒歩5分の会場にて開催します。