2011年11月4日金曜日

げろきょ祭り「セーラー服の肉体朗読」

午前11時、げろきょ祭り「しもきた奇譚」第一部がスタート。
 嶋村美希子のファンや、照井数男の知り合いなど、男性客が多いのはげろきょにはとても珍しい光景です。
 第一部の演目は次のとおり。

 1. 夏目漱石「夢十夜・第七夜」
 2. 水城ゆう「二匹と猫の冒険」
 3. 水城ゆう「ロンリーセーラー」
 4. 太宰治「女生徒」

まずいきなり、嶋村美希子がセーラー服を着て登場。ステージ中央に置いたストゥールによじのぼり、あぐらをかいて座ります。すでにその時点で観客の目は釘付けに(笑)。
 その背後に照井数男が立ち、「第七夜」がスタート。私がシナリオ化し、演出したものですが、椅子という「定点」からスタートして、次第にふたりが螺旋を描くように外側に向かって動いて(読んで)いくものです。
 最後はふたたび中心に向かって収束して、そのまま次の演目「二匹と猫の冒険」へと続きます。これは私のテキストですが、セリフだけの、朗読というより演劇に近いものです。会話がつづき、そこへゼミ生4人が次々と飛びこんできて、不条理な内容で終わるというもの。
 次の「ロンリーセーラー」は私がテキストを書いて演出した「コンテンポラリー朗読」。最初はフィットネスで使うステッパーを踏みながらやってもらう計画だったのですが、ステッパーが調達できなかったため、脚立を使うことになりました。脚立を嶋村美希子がゆっくりと登ったり降りたりしながら、ぶらさがっている原稿を読むというパフォーマンス。
 なるべく日常パターンではない動きを作りたかったので、嶋村は足を使わず腕だけで登るような動きを工夫しました。そのせいで彼女の両足は痣だらけになってしまいました。あとでだれかに「あれは労災を適用できないのか」といわれてしまいましたが。おかげで非常におもしろいパフォーマンスになりました。そしてもちろん、この際、ストーリーやテキスト内容はあまり重要ではないのです。言葉が人の身体からどのように生まれてくるのか、そしてその身体はどんな人のものなのか、パフォーマーそのものの運動と存在を観客に伝えるのが目的です。
 最後は照井数男がふたたび加わっての「女生徒」。なかなかおもしろい呼吸でふたりがからんでいます。私も演奏で参加していましたが、これまで何度かやったリハーサルとはまったく違った音を使いたくなりました。静かな、去年ここでやった「特殊相対性の女」のような雰囲気になっていったと思います。
 若手によるパフォーマンスでしたが、全体的に大変深みのある、クオリティの高いものになりました。終わってから、皆さんから大きな拍手をいただくことができました。

 以下、ご来場の方からいただいた感想のなかから、いくつか抜粋で紹介しておきます。

■一時間、飲み物に手を付けるのも忘れるほどくぎづけになりました。朗読もBGMも照明効果も、どれも素晴らしかったです! 演じられた朗読劇は四つとも空気が違っていて、とても密度の濃い一時間を過ごせました。

■すごくおもしろかったです! 少し声が聞き取りにくい所があったので、そこを直したらもーっと良いと思いました。キャラクターが良い。二人の息がびみょーにズレてる感じもか人的にはツボで、おもしろかったです! 来て良かったー。これからもがんばってネー。あ! 音楽も最高でした!

■ストーリーというより登場人物の話し方や動きに目がいってしまいましたが、音楽と共に独特の世界にひたってしまいました。

■テルイ君。キャラがとても立っていて面白かった。最初の20分くらいのところは、2人ともハクシン。とても感動しました。

■午前中の舞台を見たが、非常におもしろかった。朗読と伺っていたので、もっと座っていたりしていると思っていたが、動きがあり、イメージしていたものと全く違った。パンフレットに今回の題材のあらすじでもあればもう少し内容がわかりやすく、話の中に入っていきやすかったと思った。

■展開が様々ですごくおもしろかったです。いろんな情景が浮かんできて、頭の中にいろんな世界が広がりました。ステキな時間をありがとうございました。

■イメージとして知っている「朗読」よりは「演技」に近い印象を受けました。もちろん、朗読に演技の要素が全く無いとは思いませんが、大変刺激的な感動をもらいました。おもしろかったです。

■以前も似たような会を拝見させていただきましたが、今回の方がおもしろく感じました。日頃なかなか朗読?を聞くことはないので、新鮮だったし、いろいろな方にも見てもらいたいと思いました。これからも頑張ってください。

(つづく)