午後2時半に音倉にリターン。ランチタイムコンサートを終えたばかりのいまむらさんがまだ残っていらしたので、少しだけお話をしました。彼女もまた、朗読と共演することがあるということで、言葉と音楽のワークショップを始められたばかりだそうです。どんなことをやっているのか、ちょっと興味をひかれました。
さて、第二部のセッティング。とくに照明のセッティングを変えました。
書きわすれていましたが、今回の照明は、農大生のあいさんに全面的にやってもらいました。ほとんど経験がないにも関わらず、いいセンスでやってくれて助かりました。
第二部は120分を予定していて、長丁場なので、途中で一度休憩をはさみます。
第二部の前半の演目は次のとおり。
1. 宮澤賢治「双子の星」
2. 夏目漱石「夢十夜・第三夜」
3. 太宰治「待つ」
「双子の星」は「朗読はライブだ!」ワークショップで取りあげていた作品で、出演者もライブワークショップ参加者の10名。
近藤薫、弓子、みぞれ、佐藤麻奈、中村敦子、青木祥子、なお、鎌田絽未、山本美子、佐藤ピリカ。
これがライブワークショップの第8期となります。
ほとんどがライブ出演初体験。そして全6回のワークショップを経たのみでライブ出演。みなさん、さぞかし緊張でドキドキしてかたくなっているだろうと思いきや、開演前も仲良くわいわいとリラックスした様子でした。あとで聞いた話でも、とてもリラックスしながらも集中してやれたということで、これも現代朗読の方法の有効性を証明してくれたいい話でした。
ワークショップ中の稽古と本番とでは、まったく違った空気感になり、出演者のみなさんがそれぞれの個性をしっかりと表現できていました。
二番目の演目「第三夜」は唐ひづる、福豆々子、玻瑠あつこ、まぁやの4人によるフリースタイルのパフォーマンス。あらかじめだれがどこを読む、どう動く、ということを決めずに、即興的に進めていくのも、現代朗読の方法のひとつです。
これは私も演出というほどの演出はおこなっていません。出演者4人のまったくの自主性と、内在している表現欲求が「いまここ」で即興的におこなわれていく、スリリングなパフォーマンスでした。
第二部前半の最後の演目は、鎌田絽未と野々宮卯妙による「待つ」のパフォーマンス。これは全面的に私が演出に関わらせてもらって、コンテンポラリー朗読としての一種のチャレンジをおこなった作品です。
鎌田絽未が読んでいる途中で私のピアノが入ると、鎌田絽未は口パク——つまり朗読はしているけれど声は出ていない状態——になります。私のピアノが止まるとふたたび声を出します。それの交代です。これは、げろきょがよく音楽と朗読のセッションをやるとき、非常にしばしば「音が大きくて朗読の言葉が聞こえなかった」というクレームがくることを逆手に取ったものです。
朗読をするとは、どういうことなのでしょうか。文字情報を伝えることが朗読することなのでしょうか。私たちはそれは朗読のごく一部であって、もっと豊かなものが朗読者とオーディエンスの間でやりとりされているはずだ、という信念を持っています。そのことを浮きあがらせるためのパフォーマンスでした。鎌田絽未と野々宮卯妙の「からみ」もスリリングで楽しかったですね。
そして第二部の前半が終わり、約15分の中休憩に入りました。
(つづく)