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2013年6月8日土曜日

中野スウィートレインでの「ののみずライブ」

昨日の夜は中野〈スウィートレイン〉で、現代朗読の野々宮卯妙と、私の即興ピアノによるライブだった。
それと、山田みぞれのスウィートレイン・デビューセッション。

今回のライブはちょっと特別な感じだった。
なにを読もう、というとき、いくつかの案が出たが、最終的に決まったのは私の書いた朗読テキスト「記憶が光速を超えるとき」だった。

これは2010年3月に中野の〈plan-B〉というスペースでおこなった榊原忠美との朗読パフォーマンスのために書きおろしたテキストだ。
その後、榊原とは何度かこのテキストでやっているが、ほかの朗読者でやったことはない。
しかも今回は女性朗読者。
テキストは中年のおやじのひとり語りとして書かれている。
はたして成立するのか。

19時前にスウィートレイン入りして、マイクやPAの調整、そしてピアノと自分の身体をなじませる。
え、こんなに鳴ったっけ、というほど、ここのピアノはよく鳴るピアノ。
繊細な音を出す方法を試行錯誤する。

19時半すぎになると、お客さん(といってもほとんどが知り合いだが)がぼちぼちとやってきた。
ゼミ生の美子さん、KAT、バンガードさん、そして「表現よみ」を提唱されている渡辺さん。
川橋さんと、いつものizaさんも来てくれてうれしい。

開演ギリギリにみぞれちゃんが来たのだが、私にプレゼントをくれた。
私は勝手に「げろきょボス蛙」と命名したのだが、ピアノと蛙と蓮の花、そして譜面台には「カエルの歌」が乗っている、小さなかわいいフィギュア。
なんてうれしいサプライズ。

20時に第一部開演。
まず私のピアノソロから。
夏の曲をやりたいと思って、「われは海の子」のアレンジを演奏。
そのあと、野々宮卯妙と「記憶が光速を超えるとき」を一気にやる。
いやいや、おもしろいではないか。
私もマインドフルに集中できて、濃密に表現できた。

休憩をはさんで、第二部。
アタマはピアノソロ、というリクエストが来たので、なにもかんがえないまま、みぞれちゃんからもらった「げろきょボス蛙」をイメージして、「カエルの歌」を即興アレンジで。
そして野々宮がはいって、「記憶が光速を超えるとき」の後半。
もともと「沈黙の朗読」として作られたものなので、後半は沈黙が長くなっていった。

このようなライブハウスで、一連の流れがあるテキストを読むということはめったにない。
ホールなどの公演では普通だが、ライブスペースでやることはめずらしい。
しかし、こういうのもおもしろいかもしれないと思ったし、ひょっとしてやりようによってはあたらしい展開を作れるかもしれない。

第三部は、まずはみぞれちゃんのひとり朗読。
小川未明の全然怖くない話を、怖く読む。
私ももちろんそれに協力。
つづいてみぞれちゃんと野々宮のデュオ朗読による「I am Foods」と「I am Sports」というネタテキストの朗読。
これは若干みんなに引かれたかなあ(笑)。

最後は事故で入院されている板倉克行さんと野々宮が一緒にやっていた「万葉集」の朗読を、私と。
板倉さんに思いをはせながら演奏する。
早くよくなって帰ってきてくれることを祈っている。

とてもおもしろいことが進行中の私たちのパフォーマンスを、どうやって似たような興味を持っている人たちに届けることができるのか、それがいまの私の課題だ。
多くのアーティストは、彼が亡くなってから認められるという例が少なくないけれど、私はそんなのはいやだなあ、ちょっと寂しい。
できれば、いま現在、私たちがおこなっているこのおもしろいことを、いくらかの人たちに届け、知ってもらいたいというささやかな希望を持っている。
大それた希望ではなく、ささやかな希望だと思うんだけど。