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2014年4月18日金曜日

ガルシア=マルケスの思い出

昨日2014年417日、ノーベル賞作家であるガブリエル・ガルシア=マルケスが亡くなった。
87歳。
私がマルケスを初めて読んだのは、京都から実家の福井にもどり、ピアノ教師をはじめたころだったから、たぶん26歳くらいだったと思う。
『百年の孤独』で名声を博し、すでにノーベル賞も受賞していた。
しかし、私はまだ一作も読んだことがなかった。
集英社がラテンアメリカ文学全集を出すことになって、ちょっと興味があった私はそれを近所の書店に全巻予約注文した。
最初の配本がマルケスの『族長の秋』だった。

難解な小説だったが、その語り口にしびれ、たちまち夢中になった。
訳は鼓直だった。
以来、ラテンアメリカ文学にはまり、またガルシア=マルケスにもはまった。
マルケスはすでに出ていた『族長の秋』をはじめ、短編集などにも夢中になった。
マルケスのみならず、ボルヘス、カルロス・フエンテス、バルガス=リョサ、コルタサル、カブレラ=インファンテ、オクタビオ・パスなど、はまりまくった。
一時はラテンアメリカ文学ばかり読んでいた。

そうこうするうちにFMラジオの番組制作に関わるようになり、タレントとしてやってきた名古屋の役者・榊原忠美に出会う。
彼もラテンアメリカ文学を読んでいて、意気投合し、私のピアノと彼の朗読とでパフォーマンスをやるようになった。
以来、35年以上の付き合いとなり、いまでもいっしょにやっている。
私が主宰している現代朗読協会も、彼との出会いがなければ、そしてガルシア=マルケスをあのとき読んでいなければ、存在していなかったことだろう。

マルケスはその後、『エレンディラ』『予告された殺人の記録』と読みすすめ、そしてしばらく離れていた。
最近になってまた読もうと思い、自伝である『生きて、語り伝える』を読み、さらに未読だった『コレラの時代の愛』をいま読みかけていたところだった。

もう老齢でもあり、このところ認知症をわずらっているという話も聞いていたので、この日を覚悟してはいたが、彼の書くものはあらたにもう読めないのかと思うと寂しいかぎりだ。
冥福をこころから祈りたい。