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2011年10月30日日曜日

名古屋〈あうん〉での「沈黙の朗読」公演

昨日は名古屋〈あうん〉での「沈黙の朗読」の公演でした。
 早朝からバラさん、杪ちゃんといっしょに〈あうん〉へ。会場と照明のセッティングのためです。
 劇団クセックから助っ人として樋口くんと柴田くん、今回の公演の制作の優美さんと知り合いのようへいくんがすでに来ていました。
バラさんの指示で、舞台になる背後のガラス窓の外側にある塀の上に黒い板を張り巡らせて、向こう側の住宅街が見えないように目隠しをするという、大掛かりな作業が樋口くんに任されました。一方、杪ちゃんも照明機材のセッティング。とても朗読公演とは思えない大掛かりなものです。
 私が使うアップライトのピアノも窓際に移動。それ以外に私自身はたいしてやることはないので、少し手伝ったり邪魔したりするだけ。

優美さんがけっこうおいしい弁当を調達してきてくれて、昼食。
 午後にはクラリネットの坂野さんも到着したので、ライブの段取りのきっかけの打ち合わせ。どこでピアノが入って、どこがクラリネットが入る、といった、ごくおおまかなきっかけを決めますが、あとはすべて即興演奏。バラさんは照明との兼ね合いがあるので、立ち位置などは確認しますが、それもほとんど即興。照明も即興。
 あらかじめ作り込み、準備し、決められたとおりのことをなぞってやる、というようなことを、我々はもはややりたくないんですね。なぜなら、お客さんも空間も時間も私たち自身のコンディションも気持ちも、すべて変化のなかにあり、「いまここ」に誠実に向かい合っていくしかないからです。

 大掛かりな目張りの工事が終わり、エンディングで使う布と吊り革の仕掛けもできて、出だしのリハーサルと、エンディングのリハーサル。
 エンディングはけっこう細かな段取りを決めたんですが、これが本番ではまったく機能せず、予測不能の事態に。まあ、これもいつものことです。この緊張感がたまりません。

 午後6時半からお客さんが来はじめ、7時の開演時間には40名くらいの方で店はほぼいっぱいに。中高年の方、とくに女性が多いです。
 女性が多いのは東京でのげろきょ公演も同じですが、年齢層が高いのは名古屋の特徴でしょうか。というより、東京のげろきょ公演の年齢層が低いことのほうが特徴的といったほうがいいかもしれません。
 さて、始めようとして、ピアノにつき、暗転になったとき、止めておくといったはずの換気扇がまだ回っていることに気づきました。なにしろ「沈黙の朗読」ですから、なるべく音がするものは減らしておきたいのです。そこで、暗転になっていたにもかかわらず、ピアノを離れ、換気扇を止めてもらうべくスタッフのところに走りました。ついでに、これも回すのを忘れていた記録用のビデオカメラのスイッチもオン。
 気をとりなおして再スタート。
 バラさんの朗読に、すかさずピアノとクラリネットがからみ、70分一本勝負の即興パフォーマンスの始まりです。
 70分間も集中力を持続させるというのは、出演者も大変ですが、お客さんも大変です。とくに年輩の方は大変だったかもしれません。それでもだれひとり席を立つ人もなく、最後まで聴いてくださいました。そして最後には大きな拍手をいただくことができました。ありがたったです。

 ライブは終わりましたが、〈あうん〉のイベントはまだつづきます。この公演は食事とセットになっているので、半分以上のお客さんが食事のために残ります。
 スタッフと出演者は照明機材などをそそくさと片付け、途中から出演者を優先してもらってお客さんの席にまぎれいっしょに食事をさせていただきました。〈あうん〉の食事はオーナーの有馬さんがみずから作っておられて、オーガニックでとてもおいしいのです。そしてお客さんの声を直接聞かせてもらえる貴重な機会でもあります。
途中で私にピアノ演奏のリクエストがはいりました。
 まさかリクエストがあるとは予想していなかったので、さて困った。
 結局、秋の曲ということで「夕焼け小焼けの赤とんぼ」をアレンジして演奏。これ、来月の音倉のランチタイムコンサートでも弾いてみようかな。
 演奏が終わったらびっくりするくらいたくさんの拍手をいただき、アンコールという声までかかりました。もう一曲だけ、ということで、ジャズのスタンダードを弾いて、ようやく終わりにさせてもらいました。

 お客さんが全員帰ってから、有馬さんを交えスタッフだけで飲み会。
 今回もいろいろ起きたハプニングやらサプライズやらについて大笑いしながらみんなで夜中まだ語りあったのでした。
 いやいや、みなさん、お疲れさまでした。