ページ

2019年9月4日水曜日

胃潰瘍のような痛みもガンの兆候だったのか?(末期ガンをサーフする(2))

9月3日、火曜日。午後1時すぎ。
2回めの放射線治療のために多摩総合医療センターへ。

昨日の初回は、
「最初だけちょっと時間がかかりますよ。20分くらいですかね」
といわれていた。
治療用のベッドに寝て、身体の位置合わせをおこない、X線を照射するためのマークを皮膚に直接、ふたりがかりで確認しながら描いた。
どうやら、精密検査から割り出したガンの位置にたいしてX線を正確に照射するために、コンピューター制御の機械をプログラムしてあって、照射位置はミリ単位での正確さをねらっているようだ。

2回めの治療は、最初の手順が省略された分、みじかくすんだ。
ベッドに仰向けに寝て、両手を上にあげた状態で、皮膚のマークと照射映像(私のガン部位がフィルムにプリントされているように見える)の位置合わせ。
これもふたりがかり。
位置合わせが終わったら、技師が部屋から出て、照射がはじまる。

巨大な円盤のような機械が身体の前面を2か所、それからぐるっとベッドの下に回りこんで、背面から2か所、ほんの数秒(十秒には満たない)ずつみじかく照射したようだ。
あっという間に終わって、処置のための部屋にいる時間は10分程度か。
以後、毎回、これくらいの時間で処置がすめば楽だな。

  *

三十代なかばのころ、軽い胃潰瘍というか、胃潰瘍未満のものを経験したことがある。
職業小説家になって何年かたったころで、私生活でも仕事でもストレスが大きく、それが胃にきたのだろう。
胃腸は丈夫な体質で、それまでストレスで胃をやられた経験はまったくなかった。
たぶん、ストレスで酒量が増えたことも原因のひとつだろう。

胃のあたりがしくしくと痛むようになり、病院に行って内視鏡の検査を受けた。
モニターを見ながら医師が解説をしてくれた。
見ると、胃の内壁にいくつか赤いぽつぽつがあり、見るからに荒れた感じがしている。
いちおう組織をとって検査をしてみたが、悪性のものではなく、胃潰瘍の前段階のものだという。
が、放っておくと本格的な胃潰瘍になる可能性があり、また胃ガンにもなりかねない。

数週間にわたって飲む薬を処方してもらい、そのときはそれできれいになおった。
依頼、胃の痛みはほとんど経験してこなかった。

それが2018年からときどきあらわれるようになっていた。
ほとんど毎日、酒を飲んでいたので、そのせいだろうと思っていた。
ストレスもあった。
酒をへらし、仕事の量と内容も思いきって整理した。
それでなおるだろうと思っていた。
ひょっとしてそれもガンの前兆だったのかもしれない。
なぜなら、いま、内視鏡検査では胃や十二指腸にはまったくなんの問題もないのに、あいかわらず胃のあたりがしくしく痛むからだ。
これは胃ではなく、胃と近接しているリンパ節の痛みだろう。
ガンが転移したふたつのリンパ節が腫れて肥大しているのは、検査の結果わかっている。

不整脈だと思っていた前兆もあわせると、すでに1年半くらい、このガンは放置されていたことになる。
だいぶ育っていて、発見されたときにはすでに、初期段階なら可能な内視鏡による摘出手術はできない状態になっていた。
(つづく)