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2019年8月15日木曜日

福井県立病院ピアノコンサート 8月14日(水)午後

2019年8月14日。
3か月に1回のペースでの開催が恒例となっている福井県立病院のエントランスホールでのピアノコンサート、今回で何回めだろう。
食道がんの治療予定では、最初の抗がん剤治療のための入院を経て、日程どおり演奏できるかどうかきわどい感じだったが、抗がん剤治療をパスして入院もなくなったため、予定どおり行くことができた。

行ってみたら、前回につづいて今回もファンだというおじさんが立派なフラワーアレンジメントを作ってくれていて、恐縮する(もちろんうれしい)。
Facebookでいつもコメントをくれたりやりとりしている笠川さんが、予告どおり来てくれた。
手作りのかごに、私の好物のへしこやらミニトマトやらをいれてプレゼントしてくれる(うれしい)。
毎回欠かさず聴きに来てくれる遠縁の長谷川さんも、夏休み中のお孫さんを連れて来てくれた。
あとでわかったのだが、長谷川さんと笠川さんは家が近所で、お互いに知り合いだった。

高校時代の1級上の知り合いが来てくれた。
高校のときはほとんど交流がなかったのだが、京都で学生生活をはじめたとき、まったくの偶然で百万遍あたりで出会い、それから学生時代は交流がつづいた。
会うのは何十年ぶりだろう。
なつかしい知り合いの近況を知ることができた。

妹の友人で、いまも東京で声楽の活動をつづけている玲ちゃんが来てくれた。
聞けば立川に住んでいるということで、玲ちゃんも私が国立に住んでいることを知らなかったらしく、びっくりしていた。
東京でまた会えるだろう。

Facebookではつながっている県立大学の山川先生もわざわざ来てくれた。
以前からマインドフルネスやNVCのことでつながりがあり、1度お会いしましょうと約束していたのだ。
パソコン通信時代の知り合いのベストくんも、たぶん30年ぶりくらいに再開。
こちらのピアノコンサートに私をつないでくれた同級生のたつみくんも、仕事の合間に来てくれた。

なんだか知り合いがたくさん来て、コンサート前が忙しかったが、時間が来たので演奏をはじめることにした。

いつもながら、広々とした吹き抜けのエントランスホールは音響がすばらしく、開放的な空間で、ピアノの前に椅子をならべてあってそこで聴いてくれる人がメインリスナーではあるが、とおりすがりに足をとめて聴いてくれる人や、吹き抜けの二階のほうから顔をのぞかせて聴いてくれる人たちもいて、ホールやライブハウスとはまったくちがう雰囲気だ。
私はここで演奏できるのが本当にうれしい。
そして、ほかの病院でもボランティア演奏をしたことはあるし、私ではなくだれか演奏者が演奏しているところを見たこともあるけれど、こちら福井県立病院ほどのよい雰囲気があるところはほかにはない。
事務局の人たちの気遣いと努力によるところも大きいのではないかと思う。

ところで、今回はがん告知を受けてはじめてのピアノコンサートだった。
日々の時間の流れもそうだが、演奏時もたしかに時間の流れや自分とまわりへの気づきや、音にたいする感覚がちがっていて、とぎすまされた感じがあった。
だからといってもちろん思いどおりに演奏できたというわけではない。
しかし、いまここに自分自身がいて、音楽をかなで、それを聴き、また聴いてくれる人たちとおなじ時間をすごしているというライブ感覚が、これまでとはだいぶ違っていたように思う。
ありがたいことだ。

がんであろうがなかろうが、すべての人間はかぎられた命を生きている。
そのことに以前は「頭では」「理屈では」わかっていたが、身体感覚として腑に落ちたのはこの1か月のことだ。

演奏が終わってから地元の新聞社の若い女性記者から取材を受けたのだが、そんな話をついつい熱弁をふるってしまって、説教臭くなってしまったのではないかとちょっと心配している。
彼女もまた、私とおなじ高校出身で、学生時代は朗読サークルをみずからやっていたと聴いて、うれしくなり、つい調子に乗ってしまったかもしれない。
ごめんね。