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2016年3月29日火曜日

映画:裏切りのサーカス

2011年公開のこの映画は、フランス、イギリス、ドイツの合作とのこと。
原作は私も大ファンのジョン・ル・カレの小説『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』で、映画とはまた別物の味わいがある。
ともあれ、小説はおもしろいんだけど、難解。

小説とはちがって、ストーリー性とビジュアルが打ち出される映画は、きっといくらかわかりやすくなっているだろうと思っていたけれど、裏切られた。
監督はトーマス・アルフレッドソンという知らない人。

私はつねづね「潜水艦映画に駄作はなし」という主張をしている者だが、スパイ映画についても半分くらいはそういってもいいかなと思っている。
この「裏切りのサーカス」もじつに切れのいい、見ごたえのある「絵」の連続する、複雑な、緊張感のある、引きしまった映画だ。

監督のことはよく知らないが、とにかく「絵」を作るのがうまい。
どのシーンをとってみても、「緩」は緩なりに、「急」は急なりに、ぴたりと決まる絵を作って、たたみこんでくる。
気持ちがいい。
しかし、ストーリーやカットバックが複雑に入れこんでいて、難解でもある。
この難解さは、小説の難解さを映画でも表現しようと試みているということだろうか。

俳優陣もなかなかすばらしい。
ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、ベネディクト・カンバーバッチ、などなど。
いずれも渋い演技を見せてくれている。
そういえば、女優がほとんど出てこないな。

一度観たくらいではストーリーも理解できないし、見逃しているシーンやおいしい「絵」もたくさんあるはずなので、二度、三度と観たい映画だ。
複雑さ、わからなさを楽しめる人におすすめ。

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