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2014年8月17日日曜日

東京創造芸術祭参加「沈黙の朗読」が終わった

2014年8月17日。
中野ZEROにて開催がスタートした東京創造芸術祭の初日に、現代朗読協会がパフォーマンスをおこなってきた。

午前10時、羽根木の家に朗読出演者、集合。
メイン朗読の野々宮卯妙、群読の高崎梓、川崎満里菜、晩衛。
ザッと場当たり的な確認リハーサルを小一時間でやっつける。
演目は私のテキスト「沈黙の朗読――記憶が光速を超えるとき」のショートバージョン。

11時すぎ、みんなで羽根木を出発して、中野に向かう。
かなり暑くなってきた。
中野ZEROに到着して、会場の美術ギャラリーに行ってみたら、まだなにやら準備中である。
これはあとでわかったことなのだが、私はてっきり、ギャラリーに展示してある作品の撤収作業をしているとばかり思っていたのだが、実は設営をしていたのだった。
ちょっとした行き違いがあり、想定していたものとまったくちがう会場設営になってしまったが、まあそこはそれ、いつもさまざまな状況・条件でやってきたげろきょである、一番あわてていたのは私くらいで、ほかのみんなは落ち着いたものである。
あわてたといっても、私もあきらめは早いほうなので、会場設営は後回しにして、みんなで昼ご飯を食べに行くことにした。

ちょっと歩くが、新代田にあった〈ピピカレー〉があらたに〈トリコカレー〉として中野にオープンしていたので、みんなを連れていく。
その途中、ばったり奥田くんに会ったのは驚いた。
当然、拉致。

〈トリコカレー〉は繁盛していて、我々はかろうじて収まることができた。
カレーを食って満腹になったところで、またぞろぞろと中野ZEROにもどる。
ゲスト奏者の森順治さんが合流して、楽器のセッティング。

寿実さんが手伝いに駆けつけてくれていた。
ありがたい。
収録機材をお願いすることにする。
拉致した奥田くんにも、ビデオ操作をお願いした。
唐ちゃんも来て、ライブ写真をたくさん撮ってくれた。
満里菜のお母さんや、仕事仲間の「住職」、新ゼミ生の明美さんらも来てくれて、楽しくなってきた。
かっしーも、新ゼミ生の明美さんも来てくれた。

15時、ほぼ定時に開演。
お客さんはそう多くないが、途中で何人かはいってきたり、たぶん芸術祭のスタッフの人たちもやってきて聴いてくれた(と思う)。
演目が進むにつれ、オーディエンスの集中の密度がしだいに高まり、ラストはみなさんが一体となってこちらの演者に注目を向けてくれたのはうれしかった。

「沈黙の朗読」では恒例の、エンディングでかなり長めの沈黙があるのだが、そこでも集中が途切れることなく、最後の瞬間までいっしょにいてくれたのがありがたかった。
終わった瞬間、人数はあまり多くはないながらもオーディエンスのみなさんから大きな拍手をいただいた。
始める前と終わった後とで、空気が一変していたのがうれしいことだった。
まったく知名度はないが、表現の世界ではいま一番ホットな集団といってもいいげろきょを、少しでもアピールできたことがよかった。

撤収して、みんなでぞろぞろとお茶または飲みができる場所を求めて、南へさまよっていった。
かなり歩いて、暑さにまいりかけたとき、ロイヤルホストがあって、そこになだれこむ。
とりあえず、ビールで乾杯。

森さんと音楽やら、これからのパフォーマンスの話をたくさんする。
可能性のある方向は見えている。
そちらに進んでいくだけだろう。
そして森さんには、私のピアノについて「とてもピュアでクリア」といっていただいて、亡き板倉さんに「お前のピアノには物語がある」といってもらった時以来の、涙が出そうなほどのうれしさがあった。
自分ではわからないのだ。

私が京都で学生をやっていたとき、学食にいきなり「生活向上委員会」と名乗るバンドがサックスなどを吹き鳴らしながら乱入してきたことがあったが、たぶん森さんはそのときにいたのだ。
その人とこうやっていっしょに共演していることの不思議。
そしてそこにげろきょのメンバーがいて、あたらしい表現を作っていることの不思議。
これからどこへ行くんだろう。
どんなことが起こり、生まれるんだろう。
楽しみでしかたがない。