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2014年7月13日日曜日

音読・朗読トレーナー養成講座

ある必要性があって、音読・朗読トレーナーというものを育成したいと思っていた。
いよいよそれに取りかかろうとして、あれこれかんがえていたら、この音読・朗読トレーナーは私の必要性だけでなく、さまざまな社会的需要にこたえられるのではないかと思いはじめた。

なぜ音読・朗読トレーナーを養成したいと思ったか。
現代朗読ではゼミや講座のはじめでかならず、一連の基礎トレーニングをおこなっている。
かるいストレッチからはじまって呼吸法、発声、体認のエチュードへとすすむ。
朗読があまりにテキストや言語にとらわれすぎていて、身体表現の一種であることをおざなりにされすぎていることに注意をはらい、現代朗読では「朗読身体」を作っていくことを意識している。

このあたりのことは拙著『現代朗読考』に詳しく書いてあるので、興味のある方はご参照いただきたい。

自分の声とことばが身体から発生してくること、そしてその質、表情が身体性と密接な関係にあることを理解し、みずからの身体への繊細な感受性とクオリティアップの意識を持つこと、そのためにおこなっているのが現代朗読の基礎トレーニングだ。
毎回、ほぼおなじことをやる。
そのなかで、ゼミ生は自分の身体への注目をふかめ、微細な変化にも気づける感受性をきたえていく。
もちろん、呼吸そのものの質を練ることにも役立つ。

ほとんどの場合、毎回これを私が主導しておこなってきたのだが、この部分をそろそろだれかに手渡していきたい、というのがもともとのニーズとしてあった。
さらにいえば、現代朗読の指導者というか演出家を育てたい、というニーズが私にはあって、これまでにも何度か演出コースのようなものを試してみたことがあるのだが、うまくいっていなかった。
演出のような、言語化するのがむずかしい部分が多いものを、どうやって人に伝えていけばいいのか、まさかいまさら徒弟制度でもないだろうし、というところで足踏みしていたのだ。
しかし、今回、はっきりと言語化できたり、スキルとして身につけてもらえる部分に絞って伝えることにすればいいじゃないか、と割り切ることにした。
それが音読・朗読トレーナーの養成というわけだ。

かんがえているうちに、このトレーナーは私の仕事の肩代わりをしてもらえるだけじゃなく、さまざまな場面で活躍できるのではないかと思いはじめた。
たとえば、子どもたち相手のグループセッションの進行役として。
現代朗読協会は墨田区の教育支援プログラムの協力団体として登録していて、時々小学校から朗読授業のよ呼びがかかるのだが、そういうとき、トレーナーのスキルが役にたつ。
また、この8月からスタートする「音読こくご塾」でもトレーナーは活躍できそうだ。

ほかにも介護予防教室をファシリテートしたり、ここでは書けないが(秘密のアイディア)一般の人に広く利用してもらえるようなプログラムにおけるグループセッションの指導者としても力を発揮できるだろう。
とにかく、けっこう「つぶし」がきくスキルなのだ。

内容は現代朗読でおこなっている基礎トレーニングにくわえて、音読・群読のさまざまなエチュードの理解と進行方法(朗読エチュード)、さらにはもっと身体を積極的に使ったダイレクトな健康法にもなるような音読エクササイズといったものも、プログラムに加わる予定だ。
そして音読療法にせよ朗読エチュードにせよ、グループセッションでは共感的コミュニケーションのスキルがファシリテーションスキルとして用いられているので、これも同時に学んでいってもらう必要がある。
学ぶためのカリキュラムは、私が詳細なドキュメントを書くつもりでいる。
つまり、だれが学んでもひとしくスキルとして身につけられるように、ということを心がけている。

いまのところ講座は、すでにある程度の現代朗読の基礎的考え方がわかっているゼミ生(正会員)が対象で、一般参加者の受け入れは予定していない。