2020年のオリンピックが東京での開催に決まった。
マスコミ、財界、スポーツ界、はてはなんの関係もない(そうでもないか)庶民まで、日本列島大浮かれしている。
ここで聞ける多くの声は、
「オリンピックの経済波及効果で景気の回復は本調子となるだろう。経済はふたたび成長し、基幹産業は活気づき、東京のみならず全国で建設ラッシュがはじまり、日本列島は活気づくだろう」
というような内容だ。
オリンピックが東京開催に決定したのは、なにもプレゼンテーションがよかったからではない。
開催地決定の投票権を持っている人たちが、もっとも「もうかる」開催地として東京を選定しただけの話だ。
IOCは営利機関であり、オリンピックという名の商業イベントにおいてもっとも大きく収益があがる開催地を計算ずくで決定しただけのことだ。
現在よりもさらに多くの外資が(TPPの助けも借りて)流れこんでくることだろう。
そして日本の国土から多くのものを吸いあげ、破壊し、人々のつながりをずたずたにしていくだろう。
東京を中心に醜い巨大建築物がたくさん出現し、山や森はけずられ、海は埋め立てられ、土はアスファルトに覆いつくされていくことだろう。
それらのワザはすべて人の「欲」のなすことだ。
欲があることを悪いというつもりはない。
私にもある。
しかし、自分の欲に向かい合い、それを認め、分を知ってなだめるすべを身につけることこそ、3.11以後の私たちに求められていることではないだろうか。
私は東京オリンピックと福島第一原発の惨状とは切り離してかんがえることはどうしてもできない。
原発事故は周知のとおり、回復不能、打つ手なしのどん詰まりの状態まで来てしまっている。
今後事故原発がどうなるのか、だれも予想できない。
国土や海洋が著しく汚染され、そこなわれ、回復不能であるばかりかさらに汚染が広がっていく現状のなかで、経済成長を人参のようにぶらさげてさらに国民を走らせつづけようとしている政府・マスコミを、私はけっして信用することはできない。
立ち止まりたいと思う。
物質的に成長などしなくていい。
むしろ身の丈に縮小すればいい。
それより身の内にある大切なものにもう一度目を向け直したい。
自然を回復したい。
成長の下で失ってしまった、取りこぼされてしまったものを、もう一度取りもどしたい。
東京オリンピック開催まで7年という時間で、私はなにをやれるのか、どんなことを大切にしたいのか。
浮かれ騒ぎにけっして乗じることなく、静かなところに身を置いて深く自分の内側を見つめ、地に足をつけてやれることをやっていきたい、ということを、たったいま決意した。