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2012年10月10日水曜日

福井県立病院でピアノを弾いてきた

今日は母もお世話になっている福井県立病院でピアノのショートコンサートをやってきた。
私はけっこうこの日を楽しみにしていたのだ。
というのも、これまでいろいろな場所でピアノを弾いてきたけれど、病院でやるのは初めてだからだ。
しかも、この病院は私の同級生の辰巳くんが内科医として勤務していて、そのご縁から今回やらせてもらうことになった経緯もあるので、特別な思いがあった。

あとで聞いてびっくりしたのだが、この病院は病床が700以上、精神科のほうも合わせると1000近くあるという、かなりの巨大病院だ。
エントランスホールは広々として明るく、そこにグランドピアノが置いてある。
そこでは時々、音楽コンサートが開かれている。

昼すぎに母といっしょに車で行く。
今年、この病院で肺ガンの手術を受けた母は、術後の経過にいくらか不都合はありながらも、基本的に元気。
自分で車を運転してどこへでも出かけられる。
今日は私が運転したけれど。
げろきょのゼミ生をはじめ、多くの方にお心使いをいただいて、感謝の限り。

早めに行ったので、病院内の理髪店に行ってみる。
ここには私が幼いころ、隣家に住んでいた上坂一郎さんが開業している、と聞いていた。
一郎さんは耳が不自由で、しかし水泳が得意で、障碍者の競技会でしばしば金メダルを取っていて、それを見せてもらったことが何度かある。
また、本をたくさん持っていて、世界少年少女文学全集がずらりと並んでいた。
小学生の私はちょくちょくお邪魔しては、本を借りてきて、夢中で読んだ。
それが私を作家にさせる原点だったと思う。

筆談で一郎さんと話をして、うれしい気持ちになった。
考えてみればたぶん45年ぶりくらいの再会ということになる。
今日はやはり耳が不自由だけれど、少しは音を聴くことができる奥さんが来てくれるとのこと。

午後1時にピアノのところに行くと、担当のEさんが椅子を並べはじめているところだった。
ご挨拶して、私もピアノの準備をする。
ちょっと触ってみると、若干キーが重くて、タッチの均等性がないが、問題というほどではない。
もっとも、エントランスなので、事前にがんがんリハーサルするわけにもいかず、本番になってみるまでどうなるかわからない、という状況。

ピアノの準備をしていると、私の高校の学年上だったという女性が声をかけてくれた。
今日はこのコンサートのことを聞きつけて、わざわざ来てくれたらしい。
いろいろと昔の話をする。
私が高校生のときに、ステージの上のピアノで「展覧会の絵」を弾いていたのを覚えてくれていた。
終演後、この方から、花束の代わりにと、色あざやかな一枚の落葉をいただいたのには、とても感激した。

ほかにも何人か声をかけてくれた人がいて、開演前からかなり忙しかった(笑)。
ありがたいことだ。
辰巳くんも午前の仕事を終えて来てくれた。
辰巳くんはずっとデジカメを回してくれていて、その映像の一部をさっそくYouTubeにアップしてくれた。
私のオリジナル曲「青い空、白い雲」の演奏だ。
映像はこちら

始まるときは10数人くらいだったと思うが、途中で聴いてくれる人が増えて、3、40人くらいだろうか、気がついたら用意した椅子がけっこう埋まっていた。
ほかにもロビーのまわりや、吹き抜けになっている二階のほうからも聴いてくれている方がいらしたようだ。

終わってから辰巳くんとちょっとお茶。
とてもいい感じの疲労感があった。
帰宅すると、担当の職員の方からもメールがはいっていて、
「お客さまも普段より多く、もっと椅子をならべてもよかったね、と話していたくらいです。また機会がありましたらぜひコンサートの開催をお願いいたします」
とあったので、うれしくなった。