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2011年12月16日金曜日

だれかに読んでもらうために作品を書く

朗読やナレーションのための原稿を書きはじめたのは、たぶん30年近く前にさかのぼります。
 最初はFMラジオの番組のためのスクリプトでした。まだ作家になる前で、番組の構成をアルバイトでやっていたのです。20代のなかばでした。
 番組用のスクリプトは、たいていの場合、だれが読むのか決まっています。なので、スクリプトを書くときは読み手の声や顔・姿を想像しながら書きます。
 その後、作家になって以降は、自分のテキスト作品を番組内で読んでもらうことが多くなり、番組も私のテキストと音楽で構成されるようになりました。ずいぶんたくさんのテキストを書きました。いずれも読み手のことを考えながら、音声化されることを前提に書きました。それを書くとき、私はいつも、頭のなかで文章を読みあげています。なので、私の文章はいずれも、声に出して読んでもらえるようにできています。

 最近は朗読のためのテキストを書くことが多くなってきました。
「沈黙の朗読」のシリーズである「記憶が光速を超えるとき」や「特殊相対性の女」、今年一宮の美術館で上演した「繭世界」など、たくさんあります。いずれも特定の読み手を想定しています。こういうのを「あてがき」といいますね。
 来年の1月(といっても来月ですが)には、ゼミ生で徳島在住のたるとさんが徳島の「チャレンジ芸術祭」に出演するというので、そのための朗読テキストを提供することになりました。たるとさんへのあてがきです。ギターの方と共演するというので、ギター演奏をどうからめるかについても、シナリオ的に若干の指示を書きこんでます。
 まだ完成してませんが、書きあげて、たるとさんに読んでもらうのが楽しみです。そして実際にどんなパフォーマンスになるのか、それが一番の楽しみです。
 見に行きたいくらいですが、徳島はちょっと遠いかな。