ページ

2011年12月29日木曜日

マインドフルネスによるメタ認知が人生の荒波を乗りこなすスキル

怒りや憎しみ、苦しさ、悲しさを無理に押さえこもうとしても大変です。それはそもそも自分の感情のメッセージであって、強いエネルギーを持っています。そのエネルギーを消すことはできません。無理に消そうとしても、一時的に平静な気持ちになっても、それは水面下でくすぶっていて、あとになってもっと強烈な形でよみがえったりします。
すべての人がなんらかの形で持っている「トラウマ」というのは、そのようなものです。
マイナスイメージの感情やトラウマは、それを消そうとするのではなく、それとうまく付き合っていく方策を持てればいいのです。その感情もトラウマも私の一部であり、私の人格を形成しているものの一部でもあります。それらがあるから、私の行動や表現は私自身の特有のものとなって表出されているのです。

ではどうすればうまく付き合えるのか。
「自分を見失う」といういいかたをしますが、強い怒りや憎しみ、悲しみに襲われたとき、人はその感情に飲みこまれてほかのことはなにも考えられなくなります。その感情に思考や行動まで支配されてしまいます。だから、そのときはそれでいいのです。思いきり感情を爆発させてください。
ただし、人に向けてではなく。
これはコロンビアのNVCトレーナーのホルヘ・ルビオから教わったんですが、そういう感情を暴れさせるスペースを自分のなかに作ってやるのです。練習すればだれでもできますが、感情を押さえこもうとせずに、存分に暴れさせてやります。自分のなかで。
興味深いことに、そうやっているとしだいに自分が落ちついてくるのがわかります。少し落ちついたな、と思ったら、そこですかさず呼吸法。深呼吸でもいいですよ。
私が音読ケアでやっているのは、自分の呼吸を観察しながらおこなう呼吸法です。呼吸は身体の観察でもあります。呼吸は身体につながっていて、たえず動いているものです。呼吸をゆっくと深くしていきながら観察することで、さらに落ちついていきます。
呼吸を観察することで、「いまここ」の自分の状態や周囲の状況にも「気づき」が持てるようになっていきます。これを「マインドフルネス」といいます。
そのとき感情はどうなっているでしょうか。もちろん消えてはいません。たとえば怒りは怒りのまま私のなかにとどまっているでしょう。しかし、「いまここ」において私は、「怒りにとらわれている自分」ではなく、「怒りを覚えていることを認識している自分」に立ち位置を変えています。
これを「メタ認知」といいます。
メタ認知は認知行動療法などでも非常に重要なスキルで、このことによって鬱や不安、適応障害などを予防したり、症状の改善につなげたりできます。
とくに問題のある心の病を持っていなくても、このスキルで日常生活を非常に明晰にすごすことができるようになります。実際に私もそのように生活できるようになったのです。

人生にはいろいろなことが起こります。それはいやがおうでもすべての人に降りかかり、避けることはだれもできません。
また、人の感情はたえず揺れ動くものであり、嵐の海のように大波が打ち寄せています。
それらをうまく乗りこなし、やりすごせていくスキルを持てれば、人生はとても楽しい波瀾万丈なものになるでしょう。
マインドフルネス呼吸法については、音読療法のなかで実践してますので、いつでもおいでください。