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2011年8月17日水曜日

次世代作家養成塾:習作&講評「人魂」船渡川広匡

昨日、「表現行為におけるふたつのステージ」という話をしたが、今日はその実践として、船渡川広匡の実作品を取りあげる。

船渡川はテキスト表現における身体メソッドを自分なりにうまく見つけている。それはつまり、昨日の話でいえば「ファーストステージ」の部分だ。
ファーストステージで一気に書き上げた「テキスト素材」は、そのままでは人に読ませられるものではない。とくに船渡川の場合、自作品に対する客観的な分析力や構成力、そして自分自身のコンテクストがまだまだ未熟で、そこの部分をシェイプアップする必要がある。

以下に彼が最初に書き上げた「人魂」と、書き直した「人魂(改)」をならべて掲載するが、まったく違う作品になっていることは一目瞭然だ。もちろん「改」の作品クオリティが一桁跳ね上がっている(たとえば、の話ですよ)。
私がアドバイスしたのは、ファーストステージで書きあげたものを、まず客観的に「構造」としてとらえてみること。身体の奥から無意識にわきあがってきた言葉やストーリーは、そのままでは夢の世界とおなじで、混沌としている。文字化するときに若干の整理をおこなうにせよ、計画的に構成されたわけではない。

作品構造をとらえるとき、私は「イベント」を箇条書きに切りだしてみることをすすめる。
このやりかたについては、いずれ近いうちに詳しく述べる。
書きだされたイベントを見れば、作品構造は一目瞭然となる。そして、もっとも重要なイベントがどこから始まり、どこで終わっているのか。イベント同士がどのような時間の流れのなかにあるのかがわかる。
構造がわかれば、今度はイベントを削除したり、付け加えたり、入れ替えたりしてみる。
私が「人魂」で提案したのは、10個くらいあるイベントの最初の半分をごっそり削除してみてはどうか、ということだった。それが「改」になっている。1000字近くあったものが、500字になった。
削除したのち、そのなかで必要な情報は後で残ったイベントに適宜おぎなっておく。

(以下、作品本体は養成塾のメールマガジンで掲載しています)

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