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2011年5月30日月曜日

事故原発の近接地域にとどまることを決意した人たちへ

福島出身の知り合いが、肉親の言葉をTwitterで紹介していた。
「放射線のことに詳しい人から避難したらっていわれたけど、これまでと変わらず生活すると決めてそう答えると、ぱたっと話をしてくれなくなる」
私は放射線のことには詳しくないけれど、原子力発電所については多少人より知識があると思っているので、これまで私なりに情報を整理していろいろと流してきた。そのなかには放射線に関することもある。
なので、なんとなく責任を感じて胸が痛む。
以下、私なりに、被曝地域にとどまると決意した場合、どのように対処すればいいのか、考えてみた。
そしてこれはきちんとわかってほしいのだが、私はこのことに関して、自分を部外者とは思っていない。コトは福島だけではないのだ。
たとえば、今日は台風が去って、北東からの強い風が吹いている。茨城、栃木、埼玉、千葉、神奈川、そして東京ももちろん、かならず線量値があがってくるだろう。線量値が多い/少ないではなく、放射性物質に対する不安はだれもが抱える問題だ。とくに小さなお子さんをお持ちの方はその心配も並大抵ではないだろう。私の知り合いにも子どもを抱えて不安を覚えている方が何人もいる。
当事者なのだ。
以下、当事者として考え方をまとめておきたい。

まず、放射線被曝といっても、その被曝量によって問題は著しく異なる。ここがまず事態をわからなくしている。
そして線量値もさまざまな単位で表現される。ますますわかりにくい。
確実にいえるのは、原発の敷地内で起こっているような高被曝水準は、よほどのことがない限り周辺地域でも可能性がきわめて低い、ということだ。
ここで問題になっているのは、低水準ではあるけれど長期に渡って浴びつづけた場合、どうなるか、ということだ。
具体的には発ガン率ということになる。ガンになる確率とその時期だ。

国立がん研究センターのデータを元に考えてみる。
発ガンリスクについてのデータがある。これは、ある原因がある人とない人とで比べた結果を倍率で示した数値だ。
たとえば煙草を吸っていない人と吸っている人とでは、発ガンリスクで1.6倍とある。
ここに興味深いデータがいろいろとあるので、ちょっと紹介しておこう。

 受動喫煙 1.02〜1.03
 野菜不足 1.06
 塩分のとりすぎ 1.11〜1.15
 運動不足 1.15〜1.19
 肥満 1.22
 やせすぎ 1.29
 毎日の飲酒 1.4
 喫煙 1.6

肥満よりやせすぎのほうが発ガンリスクが高い、というのにも驚く。
で、放射線被曝による発ガンリスク。

 100〜200ミリシーベルトの被曝 1.08

この数字を高いとみるかどうか。
年間100ミリシーベルトの放射線量のある土地で生活しているとして、発ガンリスクはそれでも塩分や運動不足や肥満ややせすぎよりも低い値とされている。
ましてや飲酒や喫煙となると、はるかにリスクは高い。
たとえば福島市や郡山市に住みつづけることを決めた場合、どのくらいの被曝量になるか、まずそれぞれしっかりと計算してみる必要がある。
原発事故がいつ収束するかわからないので、一生住みつづけたとしてその被曝総量がどのくらいになるかわからないし、余命によっても変わる。
が、おそらく、ほかの発ガン要因を減らすことで放射線被曝による発ガンリスクを相殺することは可能ではないか。
もちろんこれは数字の計算で、実際にはどうなるか不確定要素は多いと思うが、少なくともそのような考え方はできる。
煙草をやめる、酒をひかえる、運動不足を解消する。要するに生活習慣を改善する。食事のバランスに気をつける。規則正しい生活を心がける。
そもそも健康を維持するためにはあたりまえのことだ。
放射線被曝は、その場から逃げる以外には自分でどうすることもできない。完全に受動的なものだ。ならば、自分でどうにかできること、能動的な対処を積極的におこなって、元気で明るく生活していきたい。

以上、無責任なことをいいやがる、とおしかりを受けることを覚悟で、ひとつの考え方として書いておく。
私も東京にいる以上、この考え方でやっていく。