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2010年7月13日火曜日

いま読んでいる本:エレクトリック・マイルス1972-1975

タイトルに年代が記してあるとおり、この時期に限定しての帝王マイルス・デイビスの評伝である。
この時期、私は15歳から18歳。ちょうどジャズを聴きはじめた頃で、しかしなぜかマイルス・デイビスには遭遇することがなかった。
微妙に後ろにずれていたのかもしれない。その証拠に、マイルス・スクールの卒業生たちの音楽には夢中になった。
この本にも詳細に書かれているが、マイルス・スクールの卒業生(チルドレン)からはジョン・マクラフリンの「マハビシュヌ・オーケストラ」、チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」、ハービー・ハンコックの「ヘッド・ハンターズ」、そしてジョー・ザビヌルとウェイン・ショーターによる「ウェザー・リポート」などがある。これらのバンドに私は夢中になっていた。
このすべての元にマイルスが君臨していたとは、当時は知らなかった。いまになってあらためて読んで確認してみると、マイルス・デイビスという人間の巨大さがさらに迫ってくる。

この本にはほかにも、マイルスがエレクトリックサウンドにこぎだすきっかけとなった地味・ヘンドリックスやスライ・ストーンらとの交流も詳しい。
チック・コリアが、「当時はマイルスから指示されるとおりに演奏していたけれど、なにをやっていたのかさっぱりわからなかった」といい、そして30年後にようやく理解できた、といっているのが印象的だ。
チック・コリアですらマイルスの音楽を完全に理解するのに30年かかったのだ。マイルスの先進性がわかるというものだ。
あらためてマイルスを時代順に聴きなおしてみたくなった。

『エレクトリック・マイルス1972-1975』中山康樹/ワニブックスPLUS新書