(写真:三木義一)
この仮設住宅は、正式には「石巻渡波地区宮城水産高校第二グランド県営石巻渡波住宅用地」といいます。
私たちが準備を始める前に、すでに集会所は開いていて、お兄さんがひとり、子どもたちを遊ばせていました。あとで聞いたら、長野からボランティアではいってきている人で、子どもたちの活動を支援しているのだそうです。とくに音楽を使って子どもたちの組織を作り、活性化する活動をしていきたいと計画しているそうでした。
こういう活動ともリンクできるといいかも、とちょっと思ったりしました。
参加者が続々とやってきました。前回よりずっとたくさんの人が来てくれました。前回来てくれた人もいて、見覚えのある顔が何人かありました。向こうでも覚えてくれていたようです。
高齢の方が多いんですが、子どもや子ども連れのお母さん、中年の男女も何人かいました。
こういうイベントでの私のやりかたは、いくつか演目やエチュードを準備しておいて、実際にみなさんの顔を見てからなにをやるか、どういう順番にやるか、即興で組み立てていく方式です。これは、いっしょにやる仲間も即興的な対応を迫られるので、信頼できる仲間がいないとやれない方法です。
今回も、最初に朗読をやろうと思っていたのを捨て、いきなり歌から入ることにしました。伊藤さやかに出てもらって、みなさんといっしょに日本の季節の唱歌を歌いました。ただし、歌うだけでなく、歌詞を、これも声を合わせて朗読してから歌うのです。
みなさん、本当に声を出すのが楽しいらしく、やっているとどんどん明るい表情になっていくのがわかります。
歌をうたい、手を叩き、詩を読み、朗読を聴いてもらい、予定の1時間があっという間にすぎました。こちらのメンバーも汗だくになって熱演です。
あとで聞いたら、岩崎さとこはこの日、イベントはこの1回だけだと思いこんでいて、全力を使いはたしてしまったそうです。といっても、ちゃんともう一回、がんばってやったんですけどね。
皆さん、生き生きとした顔をして「楽しかった〜」「また来てね」「声を出してすっきりしたよ」などと口々にいいながら帰っていかれました。私たちもかえって贈り物をいただいたような気持ちです。
2回めは16時からです。
インターバルのとき、中学三年生だというはるなちゃんという女の子が楽器にさわりたそうにしていたので、弾かせてあげました。ピアノを習ったりはしていないんですが、耳がよいらくし、耳コピーでいろいろなメロディを弾けます。
学校で使うアルトリコーダーを持ってきているというので、いっしょに演奏したりもしました。この時間も楽しかったのです。
2回めもにぎやかに始まり、やっているうちにさらにどんどん人がやってきて、大変盛況になりました。笑い声と歌声と拍手と朗読がつづくにぎやかなイベントで、仮設住宅という気詰まりな環境に暮らしている皆さんに少しでものびやかな時間を持ってもらえたのではないかと思います。また、私たちも思いきり楽しませていただいたことは、いうまでもありません。
こうやって石巻の一日めのイベントは終わりました。