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2011年10月24日月曜日

未開拓の表現分野、それが朗読

 クラシックバレエやモダンダンスの世界に「コンテンポラリー」という考え方が持ちこまれ、たとえばピナ・バウシュのタンツ・テアターのような現代表現が舞踊の世界にもたらされました。
 コンテンポラリーというのは、伝統に縛られない、私たちが「いまここ」にあるがままで表現しよう、という考え方です。表現者がみずからの優位性を誇示することもありません。ただみずからの身体をそこに提示し、表現によるつながり/共感の場を作ることが、コンテンポラリー表現のめざすところです。
 日本では朗読の世界にこの考え方を持ちこむ人がいませんでした。しかし、現代朗読で初めてコンテンポラリーの方法が始まったのです。
 私はいまこの演出として、日々、さまざまなことを試みていますが、試みることのほとんどすべてがまだだれもやったことのないことです。そのことに自分でも驚きながらやっています。朗読の世界は、コンテンポラリー表現のなかで唯一、未開の地だったのです。
 現代朗読が音楽とフリーセッションをすることがありますが、日本でも屈指のミュージシャンとガチンコでまったくひけを取りません。それどころか、音楽を食ってしまいそうな勢いです。
 本当に楽しくて、新鮮で、驚きに満ちた日々を、この数年、すごしています。