いやー、こわいですねー、女性って。
ピアニストをめざしている少女が、そのための重要な試験演奏のときに、試験官のひとりの女性ピアニストのちょっとした無神経な行動によって集中をそがれ、演奏をしくじってしまう。そのことをずっと根に持っていて、大人になってから巧妙で陰湿な復讐をしかけていく。
復讐されるほうは、自分の犯したささいな罪についてまったく自覚はない。
こういうことって世の中にはたくさんある。と思うと、ぞっとする。自分がやったかもしれない無自覚な行動によって人を傷つけてしまい、それだけならまだいいけれど相手がずっとそのことを忘れずに根に持っていて、いつか復讐される。
監督のドゥニ・デルクールは、フランス国立音楽院教授でもあるヴィオラ奏者という変わり種。女性。
女性が女性の陰湿さを、これでもかこれでもかとえぐって描く。
けっして後味のいい映画ではない。人間のある種の本質を突きつけられ、ホラー映画よりも怖い。
主演のデボラ・フランソワが、復讐をはたすにつれどんどん妖艶で美しくなっていくところも、すごみがある。