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2009年12月29日火曜日

奇跡の2009年を個人的に振り返ってみる

 2009年1月は、世田谷文学館からの委嘱で世田谷区立上祖師谷中学校で朗読プログラム「Kenji」の上演をおこなうことが、最初のイベントだった。
 上祖師谷中には早川先生という熱意のある先生がいらして、生徒たちからもとても慕われているらしい。私たちのプログラムにもとても興味を示してくれて、生徒たちにもたくさんのアンケートを書いてもらって送ってくれたりした。
 上祖師谷中学校ではその後、群読指導をおこなったり、来年2010年には新プログラム「ホームズ」を上演することにもなっている。

 2月は世田谷区立山崎中学校で読み聞かせ指導を3年生の各クラスにおこなった。家庭科の授業の一環だった。
 山崎中学校では、家庭科の授業で絵本を自作していて、その絵本を持って小学校まで出向き、児童相手に読み聞かせをするという、とてもユニークな授業をおこなっているのだ。これも、熱意ある先生がいなければやれないことだろう。
 この月には前の豪徳寺のスタジオで朗読ライブ「漱石の夢」を開催したのだが、はるか昔のことのように感じる。

 5月の連休には、銀座のアップルストアで朗読パフォーマンス「全略なだ草々」を上演した。音響機材も持ちこみで、脚本/演出/演奏/音響/照明/その他もろもろ一挙に自分たちで引き受けたイベントだったので、かなり大変だったが、おもしろかった。
 この月は、名古屋でのワークショップがスタートした月でもあった。全6回のワークショップを、一般公募でおこない、15名ほどの参加者を9月の「Kenji」本公演に向けて指導・育成するというものだった。最初からとてもいい雰囲気で、最終的にはかなり強固な連帯感が生まれ、本公演成功の大きな要素となった。

 6月、7月、8月と、暑い名古屋でワークショップは開催され、9月はじめに名古屋芸術創造センターの640人収容できるホールで、第一回ウェルバ・アクトゥス公演「Kenji - 宮沢賢治・音と光と土 - 」が上演された。2回公演。私のここ10年ほどの朗読への取り組みの集大成といってもいい公演となった。
 いろいろなことが詰まりすぎていて、とてもひとことでは言い表すことができない。たくさんの方に支えられて実現できた公演だった。
 このウェルバ・アクトゥスの流れはまだ続いていて、おそらく来年もなんらかの形で大きな動きが生まれてくるだろう。

 10月には中野〈Pignose〉でのライブシリーズ「げろきょでないと」がスタート。これは月2回のペースでの定期ライブとして来年も続けられる予定。
 大阪〈Vi-code〉では、窪田涼子が企画した「言葉戯語戯」というライブに出演し、熱い大阪の状況におおいに刺激を受けた。
 11月には東松原の〈Spirit Brothers〉でロードクライブ「メイドたちの航海 - Maid'n Voyage - 」を挙行。げろきょの新人メンバーがたくさん出演して、大変楽しいライブとなった。
 また、フリーテキストライブラリー「水色文庫」の公開も始めた。
 先日は毎年の恒例のようになった語りっ娘・小林沙也佳ちゃんのサポートで愛知県知立市の演劇フェスティバルに出演したり、つい数日前は羽根木の家でロードクパーティーがにぎやかにおこなわれ、今年の締めくくりとなった。

 今年の最初のほうに、「私は13年ごとに大きな節目を迎えてきた」と書いた記憶があるのだが、実際に4巡めとなる52歳の今年はまちがいなく大きな節目となった。
 変化はよいものも残念なものも入り交じって、一概に「いい年だった」と手放しには喜べない面もあるが、大きな流れとしてとらえればまちがいなく流れが明るい方に変わった年だった。とくに、現代朗読協会を核としていくつかの流れが合流し、ゆったりと大きな変化が起きつつあるのを感じるのはうれしい。
 アレクサンダー・テクニーク講座の安納献がもたらしたNVC(非暴力コミュニケーション)の考え方や、そこに集う人たちとの出会いは、来年以降もとても大切なつながりとなっていくような気がしている。
 また、げろきょ自体もメンバーがここ一年で大きく変わった。いまここにいる人たちは、自己の(とくに経済的)利益追求のためだけでなく、自分を表現することで生き甲斐や安らぎを求め、また人とのつながりを大切にし、できれば自分以外の人の役にも立ちたい、と考えているように見える。げろきょが奇跡のようにおだやかで、生き生きとした学びの場に、たったこの一年で変化していくのは、目をみはる思いだった。
 この流れはまちがいなく来年2010年もつづいていくだろう。
 私が想像すらできないようななにかわくわくすることがたくさん起きるのではないかという予感が、確実にある。