2013年12月8日日曜日

あいぶんこ朗読ポッド Vol.11

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」11回めは、毎月開催している現代朗読体験講座から一部抜粋してお送りします。

従来の朗読とはまったく異なるアプローチで注目されている現代朗読は、「こうしなければならない」「こうしてはならない」は一切ありません。そして「他者からの評価・判断を自分の表現の基準に置かない」ことも重視しています。

現代朗読体験講座の次回2014年1月の開催は、1月11日(土)です。
詳細とお申し込みはこちら
また、現代朗読ゼミの体験参加も随時受け付けています。
詳細とお申し込みはこちら

2013年12月7日土曜日

特定秘密保護法の成立後の私

さまざまな意見、感想、抗議、決意がネット上にあふれていて、(すくなくとも一部の方々の)熱い思いが伝わってくる。
私も数日前からツイートしたり、Facebookでコメントしたりしていたが、いずれも「あっ」という間に流れさっていってしまう仕組みなので、自分のためにブログに書きのこしておく。
以下、私の個人的な思いなので、興味がない方はスキップしてください。


昨夜、特定秘密保護法案が参議院で可決されたとき、じつは私の気持ちはもうさめていた。
もちろん、最後の最後まであきらめず国会周辺のデモ隊に加わったり、署名活動をつづけたり、ツイッターやFacebookで反対意見を表明したり、といった人々の行為を否定するものではない。
むしろ応援していたし、(ある自分なりの主義があって)デモには加わらなかったが、署名もしたし、ツイートもずっとつづけていた。
しかし、昨夜の時点で事実上、法案可決ははっきりしていたし、もっとさかのぼっていえば前の衆議院選挙で自民党が圧勝したときから、この日のことは決まったいたといってもいい。

この法案にかぎらず、今後さらに厳しい法律や施政方針が決まっていくだろう。
げんに昨日の今日にして、このようなものが姿をあらわしはじめている。

「エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
⇒ http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/12th/12th1-1.pdf

意見だの案だの、意味不明の装飾がなされているが、事実上の「エネルギー基本計画」といってよい。
つまり、わが国の安定的エネルギー供給のベースは原発にする、という方針が示されている。
これも年内に強行採決されるはずだ。


このような状況にしたのは、我々である。
という物言いがある。
たしかにそれも一理ある。
しかし、「えー、そんなこといったって、おれ自民党にいれてねーよ」と納得しない人も多いだろう。

以下は私のビジョンだ。
自民党を現政権に押し上げているのは、もちろん行政を含む経済界であるが、その経済活動で恩恵を受けているすべての国民もそれに含まれる。
自民党に積極的に投票する人もいれば、「無関心」のせいで「投票しない」という形で自民党に加担している人もいる。
グローバル経済につながる巨大な経済システムにこの人たちは含まれ、またぶらさがっているといっていい。

産業革命以後の資本主義経済は、それ自体ひとつの意志を持ったプログラムとして地球全体を覆いつくし、世界をつき動かしつづけている。
私は映画の「ターミネーター」を思い浮かべる。
意志を持ったコンピューターが殺人ロボットを作りだし、人類を抹殺しようとする。
資本主義経済がネットワーク化で急激に進展し、架空経済をともなってグローバル経済へと進化していく過程は、ウイルスプログラムが持ち主の意志とは関係なく本体を食いつくし機能不全にしてしまうさまと私のなかで重なる。
これはもう止めようもないシステムなのだ。
走り出したらもう止められない(どこかで聞いたセリフだ)。

このシステムに抵抗する人がわずかにいる。
まさにレジスタンスの様相をていしている。
レジスタンスはシステムから人間性を奪還するための、希望の少ない戦いだ。
しかし、この戦いはいまに始まったことではない。
表現者はつねに人間性を取りもどすための戦いを、有史以来つづけてきたといっていい。

苦しいなかに人間性を守り、表現し、奪還する戦いをつづけるわずかなレジスタンスの側にとどまるか、あるいはなにも難しいことはかんがえずにただらくちんに生きて死ぬだけのシステムの側に呑みこまれるか。
選択はもちろん各人の自由だ。
私も自分の自由として、レジスタンスの側で戦うことを選ぶ。
それしか自分の息子に見せてやれるものはない。

「光岡式英会話教室~武術と英語」に参加した

昨夜、韓氏意拳学会会長である光岡英稔導師の「光岡式英会話教室~武術と英語」という講習会に葛西区民館まで行ってきた。
私は半年前から韓氏意拳学会の会員だが、光岡先生の講座にはまだ出たことがなかった。
昨日のは韓氏意拳ではなく、ちょっと変則的な内容だが、光岡先生の講座を受けられるめったにないチャンスだったので、参加してみたのだ。

内容は韓氏意拳とは別に光岡先生が専門とする東南アジアの武術の解説と練習を、英語を使っておこなうというものだった。
英語の話し方や使い方についての直接的な解説はなかったが、なんらかの目的にそって英語を使いながら講座が進められるというのは、違和感がなく、学習法としてはすぐれていると感じた。
英語を使った料理教室もあるし、NVC仲間のせいじさんもNVCを英語で学ぶワークを主催したりしている。
私はまったく英語が堪能ではないが、相手がミュージシャンだったりすると会話がはずむ。

それはともかく、初めて直接触れた光岡先生の身体性は、やはり驚愕すべきものだった。
なにげなくやっている動き・動作がすみずみまで研ぎすまされたものであり、実際に自分もやってみようとしてもまったくできない。
そもそも私は膝が悪く、昨日の講座ではついていけない動きが多かったのだが、高いクオリティの武術の動きを見せてもらうことができていろいろと気づくことがあった。

もちろん年齢も年齢だし、身体的な障碍もあるので、光岡先生のような武術的動きをめざしてもとうていかなうものではないだろうが、講座の本質はそこにはなかった。
光岡先生はつねに、武術とは命のぎりぎりのやりとりの場であり、一触即発の交流で自分が生きのびるためにはどうしたらいいか、という「武」の本質をいつも見据えている人だ。
現代武道が準備されたある環境やルールのもとにすすめられ、勝ったの負けたの強くなったのといっている世界から一線を画し、われわれのむきだしの生命に直接触れるような動きや稽古をいつもおこなっている。
韓氏意拳ももちろんそれに通じる武術のひとつだ。

武術の大きなテーマのひとつは、死と生のダイナミックな交錯だ。
その瞬間的な交流において、自分があちら側に行くのか、こちら側に残るのか、そこに立ち向かう緊張感をもってなす稽古は、現代のぬるい日常生活の風景をも変えていくような気がする。

多くのことを教わり、気づいた日だった。
そして今夜は中野の内田先生の講習会で韓氏意拳の稽古をしてくる。

※羽根木の家で開催する韓氏意拳の体験講習会は12月15日(日)です。
詳細はこちら

あいぶんこ朗読ポッド Vol.10


アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」第10回は、2013年11月27日夜、中野のジャズ・ダイニングバー〈Sweet Rain〉でおこなわれた朗読と即興音楽のライブイベント「げろきょdeないと」から抜粋してお送りします。
セカンドステージは1朗読者対1演奏者でのガチンコバトルで構成されました。

 山田みぞれ(朗読) v.s. 今竹一友(ドラムス) 村山籌子の童話作品
 唐ひづる(朗読) v.s. 森順治(バスクラリネット) 宮沢賢治作品
 野々宮卯妙(朗読) v.s. 日野了介(ベース) 宮沢賢治「空の信号」

このライブの模様は何度かに分けてお送りしています。

2013年12月6日金曜日

あいぶんこ朗読ポッド Vol.9


アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」9回めは、音読療法協会主催の「共感的コミュニケーション勉強会」から一部抜粋してお送りします。

共感的コミュニケーションの目的は「つながり」を作ることですが、人はときにだれかとのつながりを求めて「依存」的な関係におちいってしまうことがあります。
依存的な関係と共感的につながることは別のことです。

現代朗読協会「羽根木の家」での共感的コミュニケーション勉強会の12月の開催は12月26日(木)です。
詳細とお申し込みはこちら
また、三軒茶屋〈カフェ・オハナ〉でもミニライブ付きワークショップを12月18日(水)に開催します。
詳細はこちら

2013年12月5日木曜日

グッドマン、朝ゼミ、オーディオブック、ハンバーガー

昨夜は高円寺の〈グッドマン〉というハコまで、みぞれちゃんがエントリーしたオープンマイクイベントに私も共演するために出かけてきた。
野々宮卯妙と高崎梓も来た。
参加者が少なく、結局私も卯妙さんもエントリーして、朗読と演奏をしてきた。
おもしろかったのだが(後日映像記録を一部配信予定)、ここは小さいハコにもかかわらず、スタインウェイの古いグランドピアノが置いてあったのだ。
小ぶりのもので、古いのでさすがに鍵盤の調整は不揃い、調律にも問題があったが、なかなか素敵な響きのピアノで楽しかった。

今日はプールに行き、少し泳いできてから、10時半から朝ゼミ。
私も参加して、基礎訓練をしっかりやる。
体認のエチュードも参加して、いろいろと確認。
しかし、このエチュードは楽しいなあ。
私は朗読をしないが、ピアノ演奏やもの書き仕事にも確実にいい影響があることを確信できる。

唐ちゃんが10日に国際芸術連盟のコンサートで朗読する源氏物語を聴かせてくれた。
大変興味深い考察ができた。
表現の場における伝達のレイヤー構造について、日々私がかんがえていることがまたひとつクリアになった。

みぞれちゃんが遅れて参加。
来年の3月についに初のワンマン朗読ライブをやることが決まった。
テーマは「きのこづくし」。
楽しくなりそう。
みんなで応援したい。

午後1時、オーディオブックリーダー養成講座受講中の人が最終収録実習に来る。
耳障りのよい読みで、技術的な瑕疵も大きな問題はないレベルなのだが、いかんせん、自分自身の存在が声に乗っていない。
アイ文庫オーディオブックでは朗読者の感情・身体性・価値観・存在が表現されていないものは、コンテンツとして仕上げない、というのが最近のコンセプトだ。
だれが読んでも変わらないような、テキストの内容だけきれいに伝わるような朗読はいらない。
しかしこれは、ただきれいに読んで自分のオーディオブックを(記念に)残したい、というようなニーズの人にとっては、過重な要求なのかもしれない。

下北沢まで歩いて、ヴィレッジ・ヴァンガードのハンバーガー店でランチ。
プールが寒かったせいか、なんだか調子が悪い。

明後日12月7日(土)は現代朗読基礎講座
翌12月8日(日)は社会人のための「共感スキル」講座と、水城ゆう音楽塾「即興演奏ワークショップ」を開催する。

あいぶんこ朗読ポッド Vol.8

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」第8回は、2013年11月27日夜、中野のジャズ・ダイニングバー〈Sweet Rain〉でおこなわれた朗読と即興音楽のライブイベント「げろきょdeないと」から抜粋してお送りします。
ファーストステージの3番めの演目、唐ひづるが朗読する水城ゆう作「舞踏病の女」です。

 朗読 唐ひづる
 アルトサックス 森順治
 ピアノ 水城ゆう
 ベース 日野了介
 ドラムス 今竹一友

このライブの模様は何度かに分けてお送りしています。

2013年12月4日水曜日

自分を伝えるための「聴く技術」

コミュニケーション能力をアップさせるというと、整然とした論理とか、説得力のある発声とか、情熱のこもった話し方といった、とかく「自分を伝える技術」のほうに目が行きがちだが、実際にはもっと重要なことがある。
「聴く技術」だ。
しかもただ聴くだけではない、「深く聴く」技術が必要だ。

自分を伝えるためには、相手に聴いてもらう必要がある。
人が相手のいうことを聴こうとするとき、どのような条件が必要だろうか。
人が相手のいうことを聴こうという態度になるのは、自分のことも相手に伝えることができたという「つながりの安心感」のなかにいるときだ。
自分が大切にしていることを相手が充分に聴いてくれ、またそのことを尊重してくれていると感じているとき、相手の話を受け入れる「耳の準備」ができている。
つまり、自分のことを伝えたければ、まずは相手がなにを大事にしているかを完全に聴く必要がある。
コミュニケーションの順序はこのとおりであり、逆はない。

共感的コミュニケーションでは相手の話を聴くというのは、その話の内容自体に注目するのではなく(もちろんそれも聴くのだが)、話をしている相手の感情とニーズ(価値)に興味を向けつづけ、相手がなにを大切にしているのかを推測し、質問し、確認する、というプロセスを取る。
これを「相手に共感する」という。
自分を棚上げにしてただ相手に話させるのでもなく、こちらが聴いていることをわからせるために相手の話を繰り返すのでもない。
感情とニーズに興味を向けつづけ、自分自身のまま相手に質問し、確認し、つながっていく。

このとき、私がかんがえるもっとも重要なことは、自分自身をけっして見失わないことだ。
いまここに自分自身がいて、相手に興味を向けつづけている、という存在感をけっして手放さないことが、相手にとってもつながりの質を実感させることになる。
そのために私は「自分の呼吸から離れない」ということをしている。
相手の話を聴いているときも、自分の呼吸に注意を払い、呼吸とそれを生んでいる自分自身の身体・存在から離れないように注意する。
マインドフルネスを心がける。
そのマインドフルネスの状態と、相手に向けた興味・好奇心をつかんで離さないとき、共感的コミュニケーションは良好な質を確保するだろう。

12月8日(日)は14時から「社会人のための共感スキル講座」をおこないます。
詳細とお申し込みはこちらから

※プライバシーの問題がある方は個別にご相談ください。個人セッションでも対応しています。

あいぶんこ朗読ポッド Vol.7

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」7回めは、音読療法協会主催の「共感的コミュニケーション勉強会」から一部抜粋してお送りします。

コミュニケーションスキルでもっとも重要なものは、「自分を伝える技術」ではなく、「人の話を聴く」技術だとかんがえています。
今回の勉強会では「人の話を深く聴く」に焦点をあてておこないました。

現代朗読協会「羽根木の家」での共感的コミュニケーション勉強会の12月の開催は12月26日(木)です。
詳細とお申し込みはこちら
また、三軒茶屋〈カフェ・オハナ〉でもミニライブ付きワークショップを12月18日(水)に開催します。
詳細はこちら

2013年12月3日火曜日

日曜日は「社会人のための共感スキル講座」です

共感的コミュニケーションで使う共感スキルは、自分を丁寧にあつかい、自分自身の価値・ニーズにつながることで、日々の行動を明快にできるが、もちろん他人とのコミュニケーションにも威力を発揮する。
私たちが通常おこなっている非共感的なコミュニケーションとはまったくちがう方法でだれかとつながるためのスキルで、人と人との関係性を根底から改善し、お互いに顔の見える、尊重しあえるつながりの質を作る。

職場における人間関係に問題を感じている人は多いだろう。
新入社員が入社数ヶ月でうつ状態におちいり、退職・休職したり、通院しはじめるケースが大変多いことは、社会問題にもなっている。
上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかない、部下から尊重してもらえない、取引先からどうも嫌われているらしい、など、気が重い問題をかかえて日々うつうつとすごしている人も多いのではないだろうか。
そういう人に問題解決の方法をしめすのが、「社会人のための共感スキル講座」だ。

共感スキルは自分自身に深くつながり、自分が大切にしていること、いま必要なことを確認し、それを相手に伝える方法だが、自分を伝えるにはまず相手にもつながる必要がある。
自分を伝える相手につながる、というのは、相手が大切にしていること、必要としていることを、こちらが完全に聴き、確認し、それを尊重する、ということだ。
こちらに聴いてもらえたと相手が思ったとき、初めて相手にもこちらのいうことを聴く準備ができる。
そうやってお互いが大切にしていることを確認し、尊重しあうことで、共感的で建設的なコミュニケーションをおこなえる。

相手がどんな立場であれ、親しい間柄であれ、上司であれ、取引先であれ、基本的に共感スキルの使い方はおなじだ。
どの場面でも相手の感情と価値・ニーズを見る・聴く・推測する、という手法を使う。
これを身につければ、対人関係が劇的に楽になる(←当社比(笑))。
また、自分の必要なこと、価値がはっきりし、人生が明快になる。
自分と相手を丁寧に、大切にあつかい、しっかりとつながりのある関係の上でコミュニケートできるようになる。

人間関係でなやみをお持ちの方は受講をおすすめします。
詳細とお申し込みはこちらから

※プライバシーの問題がある方は個別にご相談ください。個人セッションでも対応しています。

(まとめ)あいぶんこ朗読ポッド Vol.1〜5

今日は「あいぶんこ朗読ポッド」のVol.6を配信しました。
これまで配信したVol.1からVol.5は以下のリンクからご覧ください。
お見逃しの方はこの機会にぜひどうぞ。

 Vol.1「表現の場での他者から受ける評価への対処法」
 Vol.2「げろきょdeないと」ライブ「朗読者」
 Vol.3「自分がどうしたいのか身体に聴く」
 Vol.4「げろきょdeないと」野々宮卯妙朗読「特定秘密の保護に関する法律案」
 Vol.5「偶有性を受け入れイキイキとした表現をおこなう」

※現代朗読体験講座は今週末12月7日(土)14:00の開催です。
 詳細とお申し込みはこちら

あいぶんこ朗読ポッド Vol.6


アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」第6回は、2013年11月27日夜、中野のジャズ・ダイニングバー〈Sweet Rain〉でおこなわれた朗読と即興音楽のライブイベント「げろきょdeないと」から抜粋してお送りします。
ファーストステージの2番めの演目、山田みぞれが朗読する村山籌子作「みみず先生の歌」です。

 朗読 山田みぞれ
 アルトサックス 森順治
 ピアノ 水城ゆう
 ベース 日野了介
 ドラムス 今竹一友

このライブの模様は何度かに分けてお送りしています。

2013年12月2日月曜日

生活の中に憲法をみつけよう

講座やワークショップ、ゼミ、ライブなどがあるので、おもしろそうなイベントがあってもなかなか土日開催のものには行けないのだが、昨日はたまたま昼間がぽっかりあいていたので、Facebookでご案内をいただいた憲法連続学習会第一回「生活の中に憲法をみつけよう」というイベントに行ってきた。
近くだったしね。
羽根木から宮坂区民センターまで自転車でひとっ走り、10分もかからない。

主催は世田谷・生活者ネットワークの皆さんで、知った顔もちらほら。
区議の照屋さんが声をかけてくれて、あいかわらずバイタリティいっぱいのご様子にこちらまで元気になる。
男性の参加者は私ともうひとりだけ。

講師は弁護士の杉浦ひとみさん。
なかなかパワーのある方で、こちらもまた元気をいただけた。
平和省プロジェクトJUNPの運営委員もされているようで、こちらもちょっと接点があったり。

学習会の前半はワークショップ形式でおこなわれた。
100人がなんらかの理由で無人島に漂着し、食べるものも住む家もない状態からどうやって生存のためのコミュニティを立ちあげていくかというシミュレーションを、参加者全員がそれぞれ設定された人物になりきり、グループごとに意見をまとめていく、というもの。
私は70代の初期の認知症の女性、という役割を与えられた。
じつはロールプレイがあまり得意じゃなく、かなり気恥ずかしい感じだったし、内容もなんだか幼稚な気がして(私の勝手な判断だった)帰りたくなったのだが、じつはこの前半のワークが後半の杉浦さんの講義内容を参加者に身体化させるためのものだったということがあとでわかったのだった。

後半は憲法とは我々にとってなんなのか、という基本的なことについてのレクチャーだったのだが、前半のワークがあったせいで実感としてかなり腑に落ちる進行になっていて、おもしろかった。
そして義侠心に満ちた杉浦さんのレクチャーも熱かった。
第二回以降も参加できるかどうかわからないが、都合が合えばまた行きたい。

脱構築、偶有性の受容で生きた自分を表現する

朗読でも音楽でも表現の世界で即興ができない、という人がいる。
なにか決まっていないとなにもできない、という人がいる。
これからなにが起こるか予測できない局面がとてもこわい、という人がいる。
私ももちろんそういう心理があるし、そのこと自体は理解できる。
人は予測できないことが苦手だし、予定されたことが予定どおり進まないことに怒りや怖れを抱くことがある。
安全や安心のニーズがあって、ものごとが予定どおり進むことを望むのだが、実際にはそううまくいかない。
明日がかならず来るとは限らないのだ。

表現の場でもそういう心理が働いている。
朗読表現の場合、朗読に使うテキストにびっしり書きこみをして、自分がどこでどのような読み方をするのかあらかじめ全部決めておいて、それを何度も練習して本番の公演やライブに望まないと不安だという人がいる。
予定外のことがなるべく起こらないように、表現を「構築」しておくのだ。
そのことが生きたその人を表現することを著しく阻害していく。

生活の場でもそうだが、表現の場でも次の瞬間、なにが起こるかわからない、予測がつかない、というのが真実だ。
自分の外側でなにかが起こるかもしれないし、自分のなかでもなにが起こるかわからない。
調子よく朗読していても、開演に遅れた人が騒々しく席についたり、だれかの咳が止まらなかったり、会場の外を救急車がサイレンをならして通りすぎたり、共演者がきっかけをまちがえたり、じつにさまざまな「予測のできないこと」が起こる。
それをなにごともなかったかのように無視して、練習で構築してきたとおりの表現を押し通そうとするのは、一種の「嘘」を通すことになる。

自分の内側でもさまざまなことが起こっている。
練習のときとはちがった体調であったり、感情がうずまいたり、反応が起こったり。
これもまた無視してなかったこととして押し通そうとするのは、虚偽の表現といっていい。

現代朗読ではこういった「偶有性」を前提として受容し、思いきってたくらみを捨てて偶有性の世界に踏みだすことを練習する。
構築されたものを脱し、自分自身と自分のまわりに起こることを受け入れて、正直に反応しながら表現することを練習する。
たくらみを捨ててみるとわかるが、とたんに手掛かりが少なく頼りなくなって不安を感じるだろう。
しかし、そこを勇気をもって踏みだしてみる。
そうしてみると、偶有性という広大な未知の世界が自分の前にひろがっていることに気づくだろう。

※以上のようなことを、先日おこなった「現代朗読基礎コース 第7回」のなかでレクチャーしている様子を抜粋してYouTube番組「あいぶんこ朗読ポッド」で配信中。そちらも合わせてご覧いただきたい。
※現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。詳細とお申し込みはこちら

あいぶんこ朗読ポッド Vol.5

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」は、朗読ライブ、オーディオブック、朗読ゼミやワークショップ、共感的コミュニケーションや音読療法など、アイ文庫が協賛し水城ゆうが開催しているさまざまなコンテンツを流していきます。

5回めは、現代朗読協会主催の「現代朗読基礎コース 全10回」のうち、最近おこなわれた第7回からふたたび一部抜粋してお送りします。
だい7回からの抜粋はこれが最後となります。

安全や安心のニーズから、人は偶然性をなるべく忌避し、予定されたことが予定されたとおり進んでいくようにものごとを「構築」しようとします。
それは表現の場でもおこなわれます。
現代朗読ではそれを排し(脱構築)、偶有性の時間に勇気を持って飛びこんでいくことで、イキイキとした嘘のない表現をめざします。

現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。
詳細とお申し込みはこちら

2013年12月1日日曜日

あいぶんこ朗読ポッド Vol.4

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」は、朗読ライブ、オーディオブック、朗読ゼミやワークショップ、共感的コミュニケーションや音読療法など、アイ文庫が協賛し水城ゆうが開催しているさまざまなコンテンツを流していきます。


第4回は、2013年11月27日夜、中野のジャズ・ダイニングバー〈Sweet Rain〉でおこなわれた朗読と即興音楽のライブイベント「げろきょdeないと」から抜粋してお送りします。
ファーストステージの最後の演目、野々宮卯妙が朗読する「特定秘密の保護に関する法律案」です。

 朗読 野々宮卯妙
 フルート 森順治
 ピアノ 水城ゆう
 ベース 日野了介
 ドラムス 今竹一友

何度かに分けてお送りしています。

レディ・ジェーン「ののみずしゅんライブ」たくさんのお越し感謝

2013年11月30日、土曜日夜。
下北沢の老舗ライブバー〈レディ・ジェーン〉で3回めとなる野々宮卯妙の朗読、水城ゆうの即興演奏、酒井俊のボイスパフォーマンスによる「ののみずしゅんライブ」をおこなった。

その前の午後の時間に瀬田四丁目広場フィールドミュージアム〈旧小坂邸〉でおこなった現代朗読ワークショップで演奏機材を使ったので、そのままタクシーと小田急線でえっちらおっちら運搬し、レディ・ジェーンに搬入する。
KORGの小型シンセサイザーをMacBookProに接続し、BOSEのモバイルスピーカーで鳴らす。
レディ・ジェーンにはアップライトピアノがあるので、そちらも使用。
このセッティングはなかなかいい感じで、気にいった。

5時すぎに俊さんもいらして、軽く打ち合わせ。
そもそも全編即興なので、ほとんどリハーサルはなし、簡単な音響チェックのみ。
ご飯を食べに行こうということで、近くのカフェでサンドイッチ的なものとコーヒー。
量が少ないだの、このところのできごとについてぶうぶういったり、大笑いしたり、ライブの前にすっかり気分はほぐれて、やる気まんまんに。

しかし、店にもどってみると、夜7時半開演のはずが、予約のお客さんが来ない。
みなさん、8時開演と勘違いしているんじゃないの、とかいっているうちに、なんとか何組か来てくれたので、ぼちぼち始めることに。
と思っていたら、どどどと駆け込みでやってくる。

今回のライブは2部構成。
私が書いた「初恋」というテキストを前編・後編に分けてやる。
最初は私のソロピアノからスタート。
気分よく弾いていると、俊さんと野々宮がステージにやってきたので、そのまま「初恋」に突入。
例によって身体にまかせ、なんにもかんがえずにやる。
3人のコンビネーションが気持ちいい。
音による会話。

1部が終わって、来てくれた方々とお話させていただく。
福井から同級生のたつみくんが来てくれたり、三重からモーターショーを見に来てわざわざ立ちよってくれた方とか、共感的コミュニケーションやNVCの仲間とか、げろきょの仲間とか、フェイスブックつながりの方とか。
みなさん、来てくれてありがとう。
おかげでとても気持ちよく、ディープに、クオリティを深めたパフォーマンスをやれた。

2部は9時前にスタート。
ストーリーの後半を楽しみにしてくれていた皆さんに、混乱をお届けする(笑)。
2部も1部以上に集中してやって、濃密な時間のまま終了。
しっかり「生きて」いられた。
この経験は「思い出」としてではなく、私の体認の経験として宝物となるだろう。

終わるとたくさんの拍手をいただき、気がつくと店はほぼ満席状態。
知らないお客さんも熱心に聴いてくれたようだった。
そして、テーブルを囲んで、打ち上げ的飲み会状態に突入。
楽しかったなあ。
イザンベールさんがコメディアンみたいな独演トークを繰り広げたり(笑)。

俊さんはこの後、何回かのライブスケジュールをこなしてから、日本を離れる。
時々は戻って来られるらしいが、基本的に海外で暮らすとのこと。
今度はいつやれるかわからないが、レディ・ジェーンで濃密にやれてよかった。
俊さん、どうぞ身体には気をつけてご旅行を楽しんでください。

瀬田四広場〈旧小坂邸〉での紅葉朗読ワークショップ

2013年11月30日、土曜日。
昨日は世田谷区の管理施設瀬田四丁目広場フィールドミュージアム〈旧小坂邸〉という古民家というか、歴史建造物の和室を使って、現代朗読協会による紅葉朗読ワークショップを開催した。

ちょっとアクセスしにくい場所にあって、田園都市線の二子玉川駅からバスで15分くらいかかる。
二子玉でKAT、みぞれちゃん、野々宮がそろったところで、満員のバスに揺られて旧小坂邸へ。
気温は低いが、くっきりと晴れて、紅葉もきれい、気持ちのいい日だ。

旧小坂邸にはすでに藤沢さんが来ていた。
世田谷区の子ども基金の助成金を申請していた「お母さんのための音読ケアプログラム」の申請が通ったということで、まずはお祝い。
藤沢さん、KAT、野々宮を中心にボイスセラピストが毎月こつこつとつづけてきた活動が、これでもうすこし認知され、やりやすくなるかもしれないと思うと、よかった。

瀬田四広場の企画委員をしている中西さんや村上さんにご挨拶。
いっしょにワークショップの準備をしていただく。
大きな座敷と広縁をぶち抜いた広々した会場ができあがる。
持っていったシンセサイザーなどの演奏機材もセッティングした。
広縁からは紅葉の庭が見え、晩秋の日差しが射しこんでいる。

午後1時半からワークショップスタート。
赤ちゃん連れの若いご夫婦を含むたまたま訪れていた方や、KATの知り合いの方など、車座になって始める。
あらかじめ用意した宮沢賢治の「やまなし」をテキストとして、現代朗読の解説を織り交ぜながら音読エチュードをみなさんといっしょに進めていく。
呼吸法もまじえたりして、みなさんの声と身体がだんだんほぐれていき、後半では動きまわりながらとてもイキイキと表現を楽しんでおられる様子が見られて、私もうれしかった。
また「共感的に聞く」練習も織り交ぜた。
こうやって書くと、なかなか盛りだくさんの内容だったかもしれない。

最後はげろきょゼミ生のメンバー4人がフリースタイル朗読で「祈る人」を私の演奏といっしょに皆さんに聴いてもらった。
とても気持ちのいい時間をすごさせてもらった。
参加のみなさん、瀬田四広場の企画委員の方々、げろきょの仲間たちに感謝。

2013年11月30日土曜日

どう表現したいのか身体が教えてくれる

朗読にせよ音楽にせよ、なにか表現をしようとするとき、私たちは瞬時に「たくらみ」に満ちた存在になってしまう。
後天的に(大脳皮質=意識の部分で)身につけてきたさまざまな思いこみや価値基準によって、「こうしなければ」とか「こうしてはならない」といった意図のかたまりとなって、表現は不自然なものとなる。
自然にその人自身のままで、たくらまずに表現するには、思考を捨て、自分の身体に任せていく方法が有効だ。

身体というのは、首から下という意味ではない。
フロイトが発見したように、人は意識的な部分と無意識の部分を自我のなかに持っている。
さらには超自我という意識構造もある。
自分を自分たらしめているのは、まさにこの無意識の部分だといえる。

自分がなにをかんがえ、なにを感じているのかわからない部分。
自分がどうしたいのか意識的にはわからない部分。
本能や身体といった人の「自然」がその人の本当の欲求や行動を示している部分。
この無意識と身体が、その人のオリジナリティであるといえる。

本当の意味でオリジナリティのある表現をおこなうなら、自分がどう表現したいのか「思考」ではなく、身体に聞いてみるしかない。
それはまったくたよりなく、手がかりの少ない世界だが、自分の身体が動こうとしているその部分に深く集中していけばいくほど、私たち自身の生命力あふれたオリジナルな表現が表出してくる。
これを私が学んでいる韓氏意拳の世界では「体認」というのだが、現代朗読においてもおなじ言葉を使わせてもらうことにしている。

「体認」をつかんで離さない朗読表現。
これがその人のオリジナリティと表現クオリティを確保していく。

※以上のようなことを、先日おこなった「現代朗読基礎コース 第7回」のなかでレクチャーしている様子を抜粋してYouTube番組「あいぶんこ朗読ポッド」で配信中。そちらも合わせてご覧いただきたい。
※現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。詳細とお申し込みはこちら

あいぶんこ朗読ポッド Vol.3


アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」は、朗読ライブ、オーディオブック、朗読ゼミやワークショップ、共感的コミュニケーションや音読療法など、アイ文庫が協賛し水城ゆうが開催しているさまざまなコンテンツを流していきます。


第3回は、現代朗読協会主催の「現代朗読基礎コース 全10回」のうち、最近おこなわれた第7回からふたたび一部抜粋してお送りします。
表現をおこなうとき、さまざまな言語思考、自意識、おもいこみ、たくらみによって自分自身のオリジナリティや自然な表現をそこなってしまうことについて、「体認」によってそれを避ける方法を提示しています。

現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。
詳細とお申し込みはこちら