2013年11月30日土曜日

どう表現したいのか身体が教えてくれる

朗読にせよ音楽にせよ、なにか表現をしようとするとき、私たちは瞬時に「たくらみ」に満ちた存在になってしまう。
後天的に(大脳皮質=意識の部分で)身につけてきたさまざまな思いこみや価値基準によって、「こうしなければ」とか「こうしてはならない」といった意図のかたまりとなって、表現は不自然なものとなる。
自然にその人自身のままで、たくらまずに表現するには、思考を捨て、自分の身体に任せていく方法が有効だ。

身体というのは、首から下という意味ではない。
フロイトが発見したように、人は意識的な部分と無意識の部分を自我のなかに持っている。
さらには超自我という意識構造もある。
自分を自分たらしめているのは、まさにこの無意識の部分だといえる。

自分がなにをかんがえ、なにを感じているのかわからない部分。
自分がどうしたいのか意識的にはわからない部分。
本能や身体といった人の「自然」がその人の本当の欲求や行動を示している部分。
この無意識と身体が、その人のオリジナリティであるといえる。

本当の意味でオリジナリティのある表現をおこなうなら、自分がどう表現したいのか「思考」ではなく、身体に聞いてみるしかない。
それはまったくたよりなく、手がかりの少ない世界だが、自分の身体が動こうとしているその部分に深く集中していけばいくほど、私たち自身の生命力あふれたオリジナルな表現が表出してくる。
これを私が学んでいる韓氏意拳の世界では「体認」というのだが、現代朗読においてもおなじ言葉を使わせてもらうことにしている。

「体認」をつかんで離さない朗読表現。
これがその人のオリジナリティと表現クオリティを確保していく。

※以上のようなことを、先日おこなった「現代朗読基礎コース 第7回」のなかでレクチャーしている様子を抜粋してYouTube番組「あいぶんこ朗読ポッド」で配信中。そちらも合わせてご覧いただきたい。
※現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。詳細とお申し込みはこちら

あいぶんこ朗読ポッド Vol.3


アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」は、朗読ライブ、オーディオブック、朗読ゼミやワークショップ、共感的コミュニケーションや音読療法など、アイ文庫が協賛し水城ゆうが開催しているさまざまなコンテンツを流していきます。


第3回は、現代朗読協会主催の「現代朗読基礎コース 全10回」のうち、最近おこなわれた第7回からふたたび一部抜粋してお送りします。
表現をおこなうとき、さまざまな言語思考、自意識、おもいこみ、たくらみによって自分自身のオリジナリティや自然な表現をそこなってしまうことについて、「体認」によってそれを避ける方法を提示しています。

現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。
詳細とお申し込みはこちら

2013年11月29日金曜日

ママカフェ、ピピカレー、Ki、共感スキル勉強会

昨日の午前中は10時半から「おかあさんのための音読カフェ」通称「ママカフェ」。
今日はいつも来られる方おひとりと人数は寂しかったが、横で聞いているとなにやら熱く語り合っていて、内容は充実しているようだった。
来月のママカフェのご案内はこちら

ランチにもうすぐ閉店する〈ピピカレー @PPcurryJP〉に行ったが、午後1時の時点ですでに売り切れで閉店してしまっていた。
残念。
たぶんもう食べる機会はないだろうなあ。
場所を変えて再開してくれるとうれしいのだが。
世田谷代田の〈鶏白湯ラーメン〉に行く。

世田谷代田のカフェ〈Ki〉でコーヒー。
いつ行っても落ち着く店だ。
のんびりさせてもらった。

夜は共感的コミュニケーションの勉強会。
参加者6名。
昨夜は「聞く技術」について検証してみた。
共感的コミュニケーションは実践の場で、まずは「深く相手を聞く」ことからはじまる。
「相手を聞く」とは、相手の話している内容=情報ではなく内面=感情・価値を聞くことだ。
来月の共感的コミュニケーションのご案内はこちら

表現の場における「評価」の扱いについて

朗読にしても音楽演奏にしても、あるいはダンスや絵画や文学にしても、私たちがだれかに向かってなにかを表現したとき、かならず相手からなんらかの反応が返ってくる。
絵画や文学のように直接反応が届かない、あるいはタイムラグがあるようなものもあるし、朗読・音楽・ダンスといった表現のようにリアルタイムに反応が返ってくるものもある。
その反応が好意的なものだと私たちは喜び、批判的であったり悪意に満ちたものであれば私たちは動揺したり落ちこんだりする。

たいていの場合、反応は他者による「評価」という形でおこなわれる。
「評価」にはよいものもあれば、悪いものもある。
つまり「よい/悪い」という価値判断が伴うことが多い。

表現にたいしてそれが「よい」または「悪い」という価値判断はどのようにしておこなわれるのだろうか。
人がなにかにたいしてなんらかの価値判断をくだすとき、その判断基準は後天的に身につけてきたものだ。
教育や家庭生活、社会活動のなかで学習し、身につけてきた価値基準にもとづいて、評価をくだす。
私がピアノを弾いたとき、それを「よい/悪い」とオーディエンスが評価するのは、彼のなかでどのような演奏が「よい」もので、どのような演奏が「悪い」ものであるかという、音楽を聴いてきた経験のなかでつちかわれた価値基準がある。
つまり、その「評価のことば」は、彼が外形的に身につけている外部評価基準であって、彼自身のこころや身体から出てきた反応ではない、ということだ。
もっといえば、彼の「評価のことば」は彼自身とはなんの関係もない。

私たち表現者は、評価的反応に接したとき、そのことばを聞く必要はない。
なぜなら、そのことばは彼とはなんの関係もないものなのだから。
では、どうすればよいか。

ここからは共感的コミュニケーションのスキルになるのだが、彼がその評価的ことばを発することになった彼の価値/彼が大切にしていることに目を向ける。
たとえば彼が、
「きみの朗読はもうすこし滑舌がよくなるとすばらしいのにね」
といったとき、こちらは、
「滑舌が悪かったんだ、しまったなあ」
と落ちこむのではなく、彼がなにを大切にしているからそういうことをいったのか、に目を向ける。
彼は朗読表現において言葉やストーリーが正しく伝わることを大事にしていて、滑舌の悪さが気になったのかもしれない。
彼のその価値を見たり推測したりすることで、評価的ことばで一喜一憂するのではなく、相手とつながることができる。
表現の場はそのようなチャンスの場でもある。

※以上のようなことを、先日おこなった「現代朗読基礎コース 第7回」のなかでレクチャーした。
その模様を抜粋してYouTube番組「あいぶんこ朗読ポッド」で配信しているので、そちらもご覧いただきたい。
※現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。詳細とお申し込みはこちら

あいぶんこ朗読ポッド Vol.2

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」は、朗読ライブ、オーディオブック、朗読ゼミやワークショップ、共感的コミュニケーションや音読療法など、アイ文庫が協賛し水城ゆうが開催しているさまざまなコンテンツを流していきます。

第2回は、2013年11月27日夜、中野のジャズ・ダイニングバー〈Sweet Rain〉でおこなわれた朗読と即興音楽のライブイベント「げろきょdeないと」から抜粋してお送りします。
今回はセカンドステージの最後の演目、テキストは水城ゆう作「朗読者」。

 バリトンサックス 森順治
 ピアノ 水城ゆう
 ベース 日野了介
 ドラムス 今竹一友
 朗読 野々宮卯妙、唐ひづる、山田みぞれ

何度かに分けてお送りします。

2013年11月28日木曜日

げろきょdeないと@中野〈Sweet Rain〉が終わった

2013年11月27日夜。
中野〈Sweet Rain〉にて「げろきょdeないと」と題された現代朗読と即興音楽のライブが催された。
音楽演奏メンバーはサックス・フルートの森順治さん、ベースの日野了介さん、ドラムスの今竹一友さん、そして私のピアノ。
ジャズでいうところのカルテット・コンボである。

朗読メンバーは野々宮卯妙、唐ひづる、山田みぞれの3名。
これに最後のセットで何人か飛び入りで加わることになる。

〈Sweet Rain〉はけっして広くはない店だが、店のアップライトピアノの前にドラムセットとコントラバスがならんだ。
そしてサックスと朗読者が立つという配置。

ファーストステージはまず楽器隊だけのフリーセッションで始まった。
私が提案した「なんとなくゆるいテーマ性を持ったサウンドパターン」から始まって、なしくずし的にフリーへ。
最後はまたなんとなく最初のサウンドに戻ってきて終わり、という展開。
これはあるねらいがあって、やってみたかったことだった。
私の「もくろみ」については、後日あらためてお知らせしたい。

以下、ファーストステージの演目。

2. 村山和子作「みみず先生のうた」朗読・山田みぞれ
3. 水城ゆう作「舞踏病の女」朗読・唐ひづる
4. 「特定秘密保護法案」朗読・野々宮卯妙

休憩をはさんでセカンドステージの演目。

1. 村山和子の作品ふたつ、朗読・山田みぞれとドラムス・今竹一友
2. 宮沢賢治の作品を東北弁で、朗読・唐ひづるとサックス・森順治
3. 宮沢賢治「空の信号」ほか、朗読・野々宮卯妙とベース・日野了介
4. 楽器隊からスタートして、全員参加で水城ゆう作「朗読者」

休憩をはさんでラストステージは、ゼミ生を含む来客にも参加してもらってのジャムセッション。
楽器隊4人をバックにした飛び入り朗読は、この上ない贅沢なシチュエーションだったのではないかと思う。
KAT、宮本菜穂子、上山根夏美、照井数男、お客さんで来ていた飯干くんという若者、晩衛、という順でにぎやかに楽しんだ。
私も最後はワインをいただきながら、かなりいい気分になって弾いていた。

記録映像を見ると(近日公開予定)、お客さんで来てくれたゼミ生の梓が画面の端っこでニコニコしながら聴いているのが映っていて、これまたなごんだ。

実は私には、この楽器隊と現代朗読者によるユニットを作りたいというもくろみがある。
ユニット名はまだ決まっていないが、これから丁寧にコンセプトと演目を準備し、デビュー戦をやりたいと思っている。
音楽でも朗読でもなく、同時に音楽でも朗読でもあるユニット。
ダンスとか身体表現がはいってもいいな。
森さんや日野くんにも曲やパフォーマンスのアイディアがあるという。

デビュー戦はまずはこの〈Sweet Rain〉で、来年2月22日をすでに押さえた。
いずれは〈ピットイン〉とか、大きめのホールなどでもやりたいなと思っている。
まずは2月22日(土)夜のスケジュールを、みなさん、あけといてください。
絶対おもしろいから。

怒りと悲しみ、サイクリング、面倒な銀行手続き

昨日。
特定秘密保護法案が衆議院を通過した。
参議院で阻止できるかどうかが問題。
そのことを知人と話していて、自分が思った以上に怒りと悲しみをおぼえていることに気づいた。
この怒りも、政治家、官僚、国や行政、そして自分を含む有権者・国民のだれに向けられたものなのか、混乱しているのを感じる。

シマノの自転車を自転車屋に持っていって、点検に出す。
シマノというメーカー製だとばかり思っていたのだが、吾郎さんによればシマノは部品メーカーなのでシマノの部品を使ったカスタムメイドのものだろう、とのこと。
知人から貸与(事実上贈与)してもらっているものだ。
見ればなるほど、ホイールとギアの部分はシマノと書いてある。

自転車の点検が終わったので、サイクリングがてら豪徳寺まで自転車で走る。
天気がよくて快適。
すぐに脚がパンパンになり、汗が吹きだす。

りそな銀行のキャッシュカードがダメになったので、作り替える必要があるのだが、その前に住所変更手続きをやらなくてはならず、そのためには届け出印が必要とのことで、それを持って行った。
ちまちまと書類を欠かされ、それの不備があるだの、訂正印が必要だの、えらく時間がかかった。
「特定非営利活動法人現代朗読協会(代表)水城ゆう」と書いて「とくていひえいりかつどうほうじんげんだいろうどくきょうかいだいひょうみずきゆう」とふりがなを書かなきゃいけないところが3カ所くらいあって、それを全部書いたら、元の届け出には「代表」という文字がなかった、といわれて「特定非営利活動法人現代朗読協会水城ゆう」「とくていひえいりかつどうほうじんげんだいろうどくきょうかいみずきゆう」とまた3回も書きなおした。
それ、必要なの?
だれが必要なの?
やれやれ。

夜は中野〈Sweet Rain〉でライブ「げろきょdeないと」。
これについては別項でレポートを。

あいぶんこ朗読ポッド Vol.1

アイ文庫と水城ゆうがお送りするビデオポッドキャスト「あいぶんこ朗読ポッド」、始まりました。
「あいぶんこ朗読ポッド」では、朗読ライブ、オーディオブック、朗読ゼミやワークショップ、共感的コミュニケーションや音読療法など、アイ文庫が協賛し水城ゆうが開催しているさまざまなコンテンツを流していきます。

初回のこの第1回は、現代朗読協会主催の「現代朗読基礎コース 全10回」のうち、最近おこなわれた第7回から一部抜粋してお送りします。
表現の場でおこなわれていることについて(とくに他者から受ける評価の対処法)解説した部分を抜粋しています。

現代朗読基礎コースの次期スタートは2014年1月18日(土)です。
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2013年11月27日水曜日

あいぶんこ朗読ポッド予告編その3


もうすぐスタートする予定の朗読表現&オーディオブック総合情報番組「あいぶんこ朗読ポッド」の予告編、その第三弾。

朗読ポッド進行役の水城ゆうと現代朗読協会会員の福豆々子が、朗読ポッド本編の予告をしています。
梶井基次郎「檸檬」の朗読からスタート、朗読ユニット〈マダム・オニオンズ〉の近況や活動拠点である三軒茶屋〈羊々〉の話などもうかがいました。

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共感的コミュニケーションとNVC

よく、「共感的コミュニケーションとNVCってどう違うんですか?」と訊かれることがある。
答えはシンプルで、「おなじです」。
ただし、マーシャル・ローゼンバーグが提唱したNVCはそれを学んだり研究したりするためのいくつかの公式な機関・団体があって、そこで認定を受けたトレーナーが公認トレーナーとして全世界で活躍している。
私は公認トレーナーではない(日本にはまだ公認トレーナーはいない)。
公認トレーナーは「NVCを教える」ことができるが、私は公認を受けていないので「NVCを教える」といわないようにしている。
NVCの精神を受け継ぎ、自分なりに修練し、理解を深めたものを、より多くの人に知ってもらいたいという気持ちで勉強会やワークショップを開催している。
マーシャルもはっきりいっている、NVCを学んだ者はその理解がどの程度であれ、どんどん人に教えてみてほしい、と。
私はマーシャルのその精神を大切にしている。

ついでにいえば、マーシャルのその精神を含むNVCの理念を私に教えてくれたのは、マーシャル・ローゼンバーグの著書『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』の監訳者である私の友人の安納献氏だ。
私の共感的コミュニケーションの勉強会に参加して、より深く学びたい、直接NVCの精神に触れてみたいと思った方は、安納献氏のワークショップに出てみられることをおすすめする。
さまざまな場所で献ワークショップが開催されているし、羽根木の家でもおこなわれている。

NVCはいろんなトレーナーやファシリテーターがそれぞれの個性を生かして伝えることをしていて、核になる考え方はゆるぎないものだが、受講者にとっては相性があったり切り口がしっくりきたりこなかったりして、どういう場面で「腑に落ちる」チャンスがおとずれるかわからない。
だから、さまざまな機会をとらえて学んでみてもらいたいと思っている。
私の勉強会に来る人も、「わかりやすい」といってくれる人もいれば、正当性を疑う人もいる。
それでいいと私は思っている。
私が大切にしているのは、どんな方法であれ非暴力コミュニケーション/共感的コミュニケーションのスキルを身につけてもらい、お互いに共感的なコミュニティが多く生まれ、それぞれの人生が自分をいつわらないイキイキとしたものになっていってくれることに役立つ、ということだ。

ちなみに、私の著書『共感的コミュニケーション〔入門編〕』の冒頭に、NVCと共感的コミュニケーションの関係についてどうかんがえているのか、はっきりと書いてあるので、紹介しておきたい。
電子書籍だと100円なので、買ってね、といいたいところだが(笑)。

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 共感的コミュニケーションはアメリカの心理学者、マーシャル・ローゼンバーグによって提唱され体系化されたNVC(Nonviolent Communication)を、いくらか噛みくだき、とくに言葉使いなどを日本人にも使いやすくすることを目的に整理したものだ。
 当初はNVCを日本人に使いやすいようにする、という発想でおこなっていた作業だが、最近では日本人の精神性、身体性、社会性のなかにもともとあるNVC的なものに着目し、より日本人にしっくりくる体系にしようという作業をおこなっている。
 というのは、NVCは英語圏、キリスト教圏におけることば使いや論理構造、発想法から生まれている側面が多く、日本人でも帰国子女や海外留学経験のあるバイリンガルの人たちや、クリスチャンの人たちがすばやくしっくりとNVCになじむ姿を多く見る一方、土着の日本人はなかなかなじめずに苦労する、という姿を見ることが多かったからだ。なにを隠そう、私もそのひとりだった。
 NVCにはある種の文法があり、入門者はその文法にのっとったことば使いを学ぶ必要がある。その部分でどうしてもなじめず、せっかくの宝を前にして去っていく人が多い。私もすんでのところでそうなるところだったが、幸いにも多くの仲間にささえられて入門の部分をなんとか乗りこえ、NVCの真髄に触れることができた。もし入門でつまずいていたら、私はいまも変わらず、暴力的で非共感的な世界に生き、競争的でつらい人生をはいまわっていたことだろう。
 私は現在、共感的コミュニケーションをさまざまな場面で人に伝えるチャンスを持っているが、どうすれば入口のところでつまずかないですむか、いつもかんがえている。
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電子書籍『共感的コミュニケーション〔入門編〕』の購入はこちらからどうぞ。
また、明日は午後3時からと夜7時からの2回、羽根木の家で共感的コミュニケーションの勉強会を開催します。
興味がある方はこちらからどうぞ。

痛みの原因、また自転車に乗ろう

昨日の朝、歩いていて、故障した膝が痛むのに気づいた。
この季節になるといつも痛みだす。
そういえば、去年のいまごろ、痛みが気になって、近所の整形外科で診てもらったのを思いだした(結局どうにもならなかったが/煙草臭い医者だった)。
そしてお昼前後から、なんとなく耳の奥のほうに疼痛がある。
時々やってくる偏頭痛だ。
私は頭痛持ちではないのだが、たまに偏頭痛が起こることがある。

鈍い話だが、ここでようやく、膝の痛みと偏頭痛が、じつはおなじ原因で起こっているのではないか、ということに思いあたった。
いつもこの季節、気温が下がり、そして気候が下り坂に向かっているときに起こっているような気がする。
こういう場合は体質改善につとめるしかない。
もともとひ弱な人間で、若いころはしょっちゅう熱を出して寝こんでいたのだから。

というわけで、昨日もプールに行ってきた。
まだ距離はかせげないが、徐々にのばしていきたい。

カトレアの花が咲いた。
「Rhyncholaeliocattleya(Rlc.Angel Kiss × C.Cakuen Walker) ‘Rin’ 鈴」という種類。
かなり派手な赤い色。

野々宮が名古屋でやるNVCの講座の打ち合わせで、吾郎さんがわざわざ名古屋からやってきた。
偶然、おなじ柄の服を着ていて、笑ってしまった。
吾郎さんはかなりのスポーツマンで、いまは自転車に打ちこんでいるという。
おもしろい話をいろいろ聞かせてもらった。
私もまた自転車に乗りたくなった。
スポーツタイプの自転車を、去年の夏に整備に出して使えるようにしたのに、オクラにしてある。
ひさしぶりに引っ張りだしてみたら、タイヤがぺちゃんこになっていた。

調子がいまいちなので、昨夜は早めに休んだ。
たっぷり睡眠を取って、今朝はだいぶ調子がよくなった感じがするが、まだ少し偏頭痛が残っている。
今夜は中野〈Sweet Rain〉で「げろきょdeないと」という朗読と即興音楽のライブがある。
みなさん、来てね。
詳細はこちら

2013年11月26日火曜日

あいぶんこ朗読ポッド予告編その2


もうすぐスタートする予定の朗読表現&オーディオブック総合情報番組「あいぶんこ朗読ポッド」の予告編、その第二弾。

朗読ポッド進行役の水城ゆうと現代朗読協会会員のバンガードが、朗読ポッド本編の予告をしています。
高崎梓、バンガード、水城ゆうの三人でおこなう朗読&身体表現&音楽のパフォーマンス「秘密」が、近く本編に登場します。

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あいぶんこ朗読ポッド予告編その1

もうすぐスタートする予定の朗読表現&オーディオブック総合情報番組「あいぶんこ朗読ポッド」の予告編を作りました。
その第一弾。

朗読ポッド進行役の水城ゆうと現代朗読の野々宮卯妙がふたつのライブの告知をしてます。
11月27日(水)夜、中野〈Sweet Rain〉での「げろきょdeないと」
11月30日(土)夜、下北沢〈レディー・ジェーン〉での「ののみずしゅんライブ Vol.3」

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2013年11月25日月曜日

羽根木の家で韓氏意拳初級講習会(講師:内田秀樹先生)

私・水城ゆうとつながりのあるみなさんにお知らせです。
11月24日に羽根木の家で開催して盛況・好評をいただいた韓氏意拳の初級講習会を12月も開催します。

◎場所 現代朗読協会・羽根木の家(京王井の頭線新代田駅徒歩2分)
    世田谷区羽根木1-20-17
◎日時 2013年12月15日(日)午前の部10:00-12:30/午後の部14:00-16:30
◎参加費 3,000円+会場費・講師交通費計500円/カード決済可(VISA・Master)

※韓氏意拳の紹介はこちら
※前回の講座レポートはこちら

◎持物 動きやすい服装・筆記用具・メモ
◎定員 各回8名(定員になりしだい締切らせていただきます)

※まったくの初心者も歓迎。
※午前・午後を通して受講される方は、会場費・講師交通費は1コマ分のみ。
※お申し込みはこちら
 お問い合わせ内容に「その他」を選び、メッセージに「韓氏意拳」と書いてください。

● 内田秀樹プロフィール

韓氏意拳 創始人 韓競辰及び日本韓氏意拳学会公認 初級準教練。
2007年より韓氏意拳を学び始め、韓競辰、光岡英稔、駒井雅和、鹿間裕行より指導を受ける。
2008年より埼玉分館 世話人補佐を務め、2013年4月より教練養成課程に入る。
現在、東京分館、埼玉分館で指導活動中。
東京都で呉服屋を営む。

● 講師からのひとこと

韓氏意拳は手を振る、手を上げる、横を向くといった極めて簡素な運動を通じて自己の身体にある自然を探究していく武術です。
難しい型や複雑な動きはなく武術、スポーツ経験を問わず何方でも取り組めます。
皆さんと一緒に楽しく深く練習を進めていきたいと思います。

羽根木の家での韓氏意拳体験講習会

昨日は羽根木の家に内田秀樹準教練を招いて韓氏意拳の体験講習会をおこなった。
午前と午後の2回、いずれも初めて韓氏意拳を体験する参加者で定員いっぱいだった。

現代朗読協会のゼミ生を中心に、ボイスセラピストや私の知り合いも参加、形体訓練や站椿功を中心に韓氏意拳の初歩を体験してもらった。
私も受講しながら、ほかの人たちが受けているのを見て、私も最初はこうだったなあ、なにがなんだかわけがわからずやっていたんだなあ、と思い出したりしておもしろかった。

とにかく自分の身体に起こっていることに注目し、緻密に動き、集中を切らさないことが必要なので、マインドフルネスは当然のことながら、ふだんとはまったくちがう意識の時間が持続する。
そのことがいまの私には必要なことであり、韓氏意拳の稽古をしている時間は重要な位置づけになってきている。
また受けたいという人が何人かいると、仲間が増えてうれしいのだが。

来月も羽根木の家で韓氏意拳の講習会をやってもらえることになっていて、12月15日の午前と午後の2回を予定している。
初めての人も再受講の人も歓迎。

(YouTube)音楽塾「即興演奏ワークショップ」 2013年11月23日の抜粋


2013年11月23日に現代朗読協会「羽根木の家」で開催された「水城ゆう音楽塾・即興ワークショップ」の模様から抜粋してお送りします。
音楽塾がめざす方向性について、語っています。
ブログのレポート記事はこちら

音楽塾は不定期に開催していますが、参加してみたい、興味があるという方が多く、雰囲気の一端でもご覧いただきたいと思って公開するものです。
実際に参加していただくのが一番ありがたいので、機会をとらえてご参加ください。

次回音楽塾の開催予定は、2013年12月8日(日)夜です。
詳細と申し込みはこちらから


一昨日の音楽塾「即興演奏ワークショップ」

一昨日の土曜日夜、音楽塾の初のこころみ「即興演奏ワークショップ」をおこなった。
定員6名としてあったのだが、それをオーバーしてしまった。
なるべく実際に演奏してもらいたい、演奏参加してもらいたい、即興演奏体験をしてもらいたいと思っているので、今後はできるだけ定員を守りたいところだ。

内容としても、初回ということもあって、ちょっと雑然としてしまった。
今後は一回ごとにテーマをしぼりこんで、参加の方の理解や体験が深まる方向でやっていこうと思う。
次回12月の開催は8日(日)と22日(日)を予定している。
8日のレクチャーは「音階(スケール)について知ろう」、22日のレクチャーは「和音(コード)の仕組み」をテーマにしようと思っている。
詳細はこちら

土曜日に参加してくれたのは、バリバリにピアノが弾ける(しかし楽譜がないと弾けない)という人もいれば、まったく音楽演奏は初心者という人もいた。
また、親子で参加してくれた人もいたのはうれしかった。
小学校一年生の男の子が来てくれたのだが、彼はピアノを習っているということだった。
しかし、楽譜どおりに弾くのはつまらないと感じていたり、ピアノよりトランペットのほうがかっこいいと思っていらしい。

最初に即興演奏や、現在の音楽教育、いまの社会で消費されている音楽のことなどについて少しレクチャーしたあと、みんなでリズムを使った即興遊びをやってみる。
リズムは音楽の基本要素のひとつで、メロディとか和音を気にすることなくただリズムだけでお互いに即興的なコミュニケーションをやってみる。
最初は定型的リズムがだれでも参加しやすく、楽しい。
慣れてくれば不定形リズムでコミュニケーションを取れるようになるだろう。
あ、次回はリズムについても解説しようかな。

合奏形式の即興遊びはたぶんほとんどの参加者が初めてだったと思うので、とまどいもあっただろうが、日常のなかで気軽に音楽を作ったり、コミュニケートしたりする楽しみの導入部分を体験してもらえたらよかったのではないかと思う。

2013年11月24日日曜日

てがみ座公演「地を渡る舟」を観てきた

昨日の午後のことだが、扇田拓也くんが演出し、石村みかも出演しているてがみ座の公演「地を渡る舟」を、池袋の芸術劇場まで出かけて観てきた。
宮本常一という実在の人物を中心に、第二次世界大戦中の若い民俗学者たちの葛藤を描いた劇で、2時間半の大作だった。

脚本はいつもの長田育恵。
膨大な下調べと資料精査があったろうと想像できる脚本で、セリフの分量も半端ではない。
それを全部覚えて演技する役者たちの労力も並大抵のものではない。
装置も緻密に作られていて、場面転換も計算しつくされている。
とくに目をみはったのは、扇田くんの演出ではいつもそうだが、時間経過を表現する群衆がステージ上で交錯していくシーン。
よく見ると、限られた人数の役者の、おそらく舞台袖では修羅場が展開されていたことだろう、早着替えによる季節の変化、そして歩行姿勢による年月変化が表現されていた。
役者の身体性をよく引きだしている演出は、相変わらず緻密極まりない。

小規模劇場ではあるが、緻密に構築されたステージを観ることの快楽を味わわせてもらった。
そしてどうしても引き比べてしまうのは、わが現代朗読の「脱構築」という方向性。
予測されることを手放し、偶有性の世界に身を投じ、たくらみを捨てていく。
たぶん真逆のベクトルなのだろうが、なぜかどこかで切り結ぶような気がしてならない。

このところ引っ張りだこでとても忙しそうな扇田くんだが、どこかでゆっくり話をしてみたいなあ、と思った。

水城ゆう音楽塾「即興演奏ワークショップ」12月の開催

音楽塾では「即興演奏を楽しみたい」という要望を受けて即興演奏を楽しむための実践的なワークショップを開催しています。
初めての方もリピーターも参加しやすい内容になるよう、工夫をしています。
どなたも気楽にご参加ください。

ワークショップはレクチャー半分、実践半分といった感じでおこなっています。
8日のレクチャーは「音階(スケール)について知ろう」、22日のレクチャーは「和音(コード)の仕組み」を予定しています。

◎日時 2013年12月8日(日) 18:00〜20:00/22日(日) 18:00〜20:00
◎場所 現代朗読協会「羽根木の家」
    世田谷区羽根木1-20-17
◎定員 6名(定員になりしだい締切らせていただきます。予約優先)
◎参加費 3,000円(現代朗読ゼミ生は無料)/カード決済可(VISA・Master)

◎お申し込みはこちら
 項目に「その他講座申し込み」を選び、メッセージ欄に「音楽塾」と明記ください。

音楽塾では学校で習う音楽でもなく、音大で習う音楽でもなく、ジャズスクールで習う即興でもなく、私なりにこれまでの音楽研究と活動を通じて独自に獲得してきた知見をもとに、音楽の本質そのものにズバリと切りこんでいきます。
同時に、特別な訓練を受けていない人も音楽を楽しんだり、オリジナルな即興演奏をできるようにする道筋を示します。

こんな方におすすめです。
・従来の反復練習をせずに自分なりに音楽演奏を楽しみたい。
・耳覚えのある好きな曲をすぐに弾けるようになりたい。
・歌の伴奏をその場でつけられるようになりたい。
・朗読と即興セッションをやりたい。
・アンサンブルを楽しみたい。
・知っている曲を自分なりにアレンジしてみたい。
・オリジナル曲を作ってみたい。
・音楽について理解を深めたい。

前回11月23日のワークショップの模様の抜粋をこちらでご覧いただけます。
 音楽塾がめざす方向性について
 伴奏を即興的につけていっしょに歌う
 ソロでの即興演奏のさわり
 リズムで即興、聴くことから始まる

※1月は12日(日)と26日(日)に開催します。

2013年11月21日木曜日

オフ日〜

今日は朝ゼミと昼ゼミが休講になり、思いがけずオフ日となった(これから夜ゼミはあるけど)。
昨日の夜、音倉に行ったとき、イーモバのWiFiルーターを忘れてきてしまったので、ランチがてら行く。
調べたら音倉はなんと11時からランチタイムなのであった。
歩いて5分で行けてしまうので、もうすこしちょくちょく利用したいなあライブとかもピアノあるし。

ついでに買い物しようとコンビニでお金をおろそうと思ったら、「取り扱いできません」とカードが返ってきた。
あれ、この銀行に対応してない端末なのかな、と今度は銀行のATMコーナーに行ってみたが、やはり返ってきてしまう。
違う銀行だからだめなのか、あるいはキャッシュカードの不具合なのか。
もう一カ所、今度はこの銀行カードに対応していることを確認してやってみたが、やっぱりはねられてしまう。
カードが不具合を起こしているらしい。
時間があるついでに支店まで行って、カードを作り直してもらうことにした。

一番近い支店が豪徳寺だったので、ひさしぶりに小田急線に乗って豪徳寺まで行く。
それにしても下北沢の小田急線のホームは深いし、圧迫感があって嫌いだ。

豪徳寺の銀行の支店に行ったら、閉まってる。
閉店?
ではなくて、仮設店舗での営業らしい。
なにかあるのかな。
ゆりの木通りまでてくてく歩いて(けっこうあった)、ATMコーナーでカードを試してみたら、あっさりと使えた。
が、コンビニで不具合が出るのは困る。
店員に伝えて、カードを作りなおしてもらうことにした。
が、住所変更がまだなのだった。
住所変更の手続きをするためには、届け出の印鑑が必要なのだった。
そんなもの、持ち歩いていない。
すごすごと支店をあとにする。
まあ、お金は出せたけど。

世田谷代田で降りて、兒玉さんの空間工場に行ってみた。
だれもいない。
向かいのカフェ〈Ki〉でコーヒー。
10月10日にオープンしたばかりのこの店、こじんまりしているけど、とてもすっきりと落ち着いた空間。
コーヒーもおいしい。
ここで共感的コミュニケーションの勉強会とか、ママカフェとか、朗読会とかやってみたいなあ。
そんな話をオーナーの女性とちょっとしてみた。

空間工場の隣にある古い建物の写真を撮る。
これ、使ってるんだろうか。
なかなかの風情だ。

いったん帰宅して、ちょっとコンピューターに向かったあと、自転車をこいで東松原の自転車屋まで行く。
最近、ペダルをこぐたびにギシギシいうのと、ブレーキがキーキーいうのが気になっていたのだ。
油をさしたり、ワイヤーを調整したり、空気をいれたり、点検もしてくれて1,000円。
乗ってみたら驚くほど快適になって気持ちがいい。
自転車は面倒くさがらずに時々自転車屋に持っていこう。

音倉のオープンマイクに参加してきた

昨夜は下北沢〈Com.Cafe 音倉〉の朗読オープンマイクに行ってきた。
しばらく前に音倉からお誘いを受けたので、ゼミ生に出演を打診してみたのだ。
すると何人か出たいということで、しかし私が取りまとめてげろきょとして出演するのではなく、それぞれが個人で申しこみをしてもらった。

参加したのはバンガード、山田みぞれ、てんトコロ、高崎梓、日榮貴子の5人。
私もふた組とピアノ演奏で共演。
みぞれちゃんとは一昨日の〈サラヴァ東京〉に引きつづき、おなじ演目で連日の共演。
そしてバンガード&高崎梓と組んで、私の長編小説『秘密』から抜粋したテキストを使った。

ほかにげろきょ以外の出演者は飯干くんという若者と、その連れの若い女性。
こちらはいわゆる従来朗読だが、聴けば女性は高校の放送部出身とのこと。
なるほど。
で、飯干くんの読み方が私の知っているある人とそっくりだったので、確認してみたら、やはりそうだった。
表現よみの渡辺知明さんのところで教わっていたらしい。
みごとな表現よみで、なかなかしっかりしている。
立ち位置やテキストに対するアプローチは現代朗読とはまったく違っているが、このような朗読大好きという若者がいるのはうれしい。

『秘密』ではちょっとした実験をやってみた。
ピアノに座った私と背中合わせに梓に座ってもらい(椅子をふたつならべた)、ゆるやかに動きながら「コンタクト朗読」をやってもらう。
一方バンガードさんにはステージの反対側で梓と交互に読んでもらう。
客席から見てどうだったんだろう、ちょっとおもしろい光景だったのではないだろうか。
みぞれちゃんが動画を撮ってくれていたようなので、後日見せてもらおう。
それにしても、ちょっと暑かった。
ステージの照明が熱かったのと、なにしろずっと背中合わせだったのとで。

ほかにはてんちゃんも日榮さんも、のびのびと楽しく読んでいたようで、私も楽しませてもらった。
オープンマイクイベントでは「評価」のない場を確保することが、参加者の安心とのびやかな表現につながるのだろう。

次回のげろきょメンバーによる朗読パフォーマンスは、11月27日夜、中野〈Sweet Rain〉でフリージャズのカルテットメンバーとの共演「げろきょdeないと」がある。
詳細はこちら

2013年11月20日水曜日

サラヴァ東京オープンマイクイベント「ショーケース」が終わった

写真は菜穂子さんに撮ってもらったもの。

昨日の夜は渋谷〈サラヴァ東京〉でおこなわれたオープンマイクイベント「ショーケース」にゼミ生の山田みぞれが出演するというので、私もピアノで共演するために出かけた。
昨日の出演者は私たちのほかに、朗読のおじさん、カラオケで歌うおじさん、ギター弾き語りのおにいさんとおねえさん、和歌を朗読したりピアノで弾き語りするおにいさん、といったラインナップ。
エントリーが5組と少なかったので、私も急遽、ソロピアノでエントリーさせてもらった。

いつも応援してくださる川橋さんが、みぞれちゃんの挑戦を応援するために駆けつけてくれた。
ほかにもゼミ生のバンガードさんと菜穂子さんも来てくれた。
主催者によると、お客さんの入りが少ないのでつづけていくのが難しくなりつつあるのだそうだ。
「せめて出演者ひとりあたま3人くらいは連れてきてくれると助かるんですが」
というのは、イベントの継続性を願っての言葉だろう。
共感できる。

ほかにもレギュラー出演者がふたりと、ゲストがひとり。
演歌のおじさんと、ギター弾き語りのおねえさんがレギュラー。
ピアノ弾き語りの女性歌手の方がゲスト。

みぞれちゃんの出番は前半の最後で、私の「Bird Song」を朗読し、「鳥の歌」を歌った。
みぞれちゃんがステージで歌をうたうのは初めてとのことだった。
司会者やゲストから非共感的なコメントをもらっていたが、めげずにちゃんとやれたね。
私はひたすら楽しく即興ピアノでコミュニケートさせてもらった。

後半の最後は私のソロピアノ演奏。
こちらも完全即興でやってみた。
なにもかんがえず、頭のなか真っ白にして。

このイベントは最後に、ゲストが一番心に残った演者をひと組選んでアンコールをやるというシステムなのだが、それにみぞれちゃんが選ばれた。
やったね!
なんにも用意してなかったので、最近持ち歩いているという「重曹」についてのウィキペディアのテキストを朗読することになった。
なかなか楽しくやれて、好評であった。
お開きはかなり遅い時間になったが、私は気分よく帰宅。

さて、今夜は下北沢〈Com.Cafe 音倉〉でまたまた朗読オープンマイクのイベントに参加。
今夜はゼミ生が何人か出演するので、やはり楽しくなるだろう。

2013年11月19日火曜日

渋谷のカフェにて

以下、日乗的雑談(興味のない人はスキップしてください)。

いま、渋谷に来ている。
もう日没はすぎて夜闇が降りはじめている。
もちろん観念的表現で、実際には渋谷の街はうるさいくらい明るい。
今夜はこれから〈サラヴァ東京〉というライブハウスでおこなわれるオープンマイクのイベントに出るのだ。
ここは何度か山田みぞれがエントリーしていて、私もすべてピアノで共演している。
これで3回めかな。

参加希望者は午後5時に店に入って、エントリーシートを書いたり、マイクチェックをしたりして、本番にそなえることになっている。
今回の参加者は私たちのほかに、既成の曲を流してなにかを朗読するおじさん(奥さんらしき女性がぴったりと寄り添っている。彼女はなにもしない)、ピアノ演奏をBGMに自作の詩を朗読するおにいさん、ギターの弾き語りのおにいさん、歌のおねえさん、などがいるようだ。
エントリーが少ないというので、私もソロピアノ演奏でエントリーさせてもらうことにした。
だれかいっしょにやってくれないかな。
ま、ひとりでもいいけど。
ダンスの人がいたらおもしろかったのに。

あとはくじ引きして順番を決めるとのことで、私はみぞれちゃんに任せて店を出て、近くのカフェでこれを書いている。
いまみぞれちゃんからメッセージが来て、みぞれちゃんは3番め、私は最後の6番めの出番らしい。

ところで明日もまたオープンマイクイベントがある。
明日は下北沢〈Com.Cafe 音倉〉で、ここでもまたみぞれちゃんと共演するのだが、ほかにもゼミ生のバンガードさんや日榮さん、高崎梓ともそれぞれ演目をやることになっている。
人のサポートというか共演はとっても気が楽で、のびのびとやれるのだ。
楽しいイベントになるはずなので、お時間が許す方は今夜でも明日でも遊びに来てください。

もうひとつ、どうでもいいこと。
先週、北陸の実家に帰省したときに、暗いところで段差を踏みぬいて傷めた腰が、以外にしぶとく長引いている。
金・土にやった「白い月」公演で長時間集中してキーボードに向かっていたことで悪化をまねいてしまったのかもしれない。
昨日が痛みのピークで、一日用心して、アレクサンダー・テクニークを意識してすごした。
おかげで、今日はだいぶ痛みがひいている。
今夜の演奏も姿勢を意識しておこう。
明日もあることだし。

2013年11月18日月曜日

セシル・テイラーと田中泯! 観てきた

昨日の夕方、草月ホールでおこなわれたセシル・テイラーと田中泯のデュオ公演を観に行った。
これはセシル・テイラーが京都賞を受賞したことを記念しておこなわれた公演で、「論理はいらない、魔術をつかめ」というなにやら意味不明の表題がついていた。

セシル・テイラーといっても知らない人が多いかもしれないが、私にとっては青春時代の超アイドルピアニスト。
知る人ぞ知るフリージャズの帝王で、いまでもちょくちょく聴く。
そんなファンの私でも、まだ生きているとは知らなかった(失礼)。
1929年生まれというから、いま84歳ということになる。
ピアノ、まともに弾けるのか? という素直な疑問が。

10年くらい前だったか、トミー・フラナガンの最後の来日では、トミーのよれよれの(しかし味わい深い)演奏に涙したものだ。
セシルはどうなんだろう。
田中泯は何度も観ているので、セシルのほうがはるかに気になる。

250席ある会場は完全に満席。
熱気むんむん。
年齢層はかなり高く、若干殺気立っているように感じたのは私の思い違いだろうか。

開演すると、薄暗いステージの上手からふたりの男が出てきた。
ひとりはあきらかに田中泯で、出だしから無音のなかでけっこう大きくひらひらと踊っている。
軽い。
もうひとりの男は帽子をかぶって背を曲げ、かなり前のめりになって、たぶんセシルなのだろうが、あれ? なんか踊っている。
というより、舞踏的な動きでステージ上をゆっくりとぎくしゃくと移動していく。
かなりの時間をかけて、下手のベーゼンドルファーへと近づいていく。
舞踏家なのか?
プログラムにはもうひとり舞踏がいるとは書いてなかった。
だれなんだろう。

かなり体認の行き届いた動きでピアノにたどりついたその男は、手に持ったスティックで譜面台を叩いたり、ピアノの低い弦をつまびいて音を出したりして、長い時間をかけてピアノの椅子に座った。
やはりこれがセシルなのだった。
なんという動きなのだろう。
舞踏的な動きということでは、田中泯より存在感があるではないか。

演奏がはじまった。
最初はさぐるようにごく弱いタッチで不規則な音を出したりしていたが、演奏するその目はピアノのまわりを動きまわる田中泯に注がれている。
非常な集中を感じる。
しだいに音が増えていき、中盤からかなり激しい演奏が混じるようになった。
クラスタ奏法で音塊がステージに満ち、と思うと消え入るような繊細な音階が挿入され、そしてまた激しい音塊がわきおこる。
身体全体が脈打ってスイングしている。
なんというスイング感だろう。
聴いているこちらの意識が音のなかに吸いこまれそうだ。

踊っている田中泯はその音を聴いているのだろうが、あえて反応していないようにも見えるし、反応できていないようにも思える。
ときおり呼応するように動くことがあって、反応できないわけではないとわかるが、おなじようなパフォーマンスを朗読者とやることが多い私としては、コミュニケーションに関して不満を感じてしまう。

小休憩があって、第二部でセシルが上手から出てきたときは、すたすたと歩いてピアノのところに行ったから、最初に出てきたときの動きはやはり舞踏を意識したものなのだとわかった。
それにしても84歳。
背のまがった、ちいさなおじいさん。
その演奏の切れ!
世界にはおそろしい人がいるものだ。

終わってから、このためにわざわざ名古屋から出てきた位里ちゃんや、元クセック女優の水谷友子、野々宮卯妙と、友子推薦の「おもしろい中華」の店に行き、大いに盛り上がった。
後半は女子トーク炸裂で私も楽しませてもらったが、15日と16日におこなわれたカルメン・マキさんとの公演「白い月、あるいは鳥の歌」のディープな余韻が日が変わっても消えず、ちょっととまどっていたのだが、このセシル・テイラーと田中泯の公演、そして位里ちゃんたちとの飲みですっかりリセットできて、爽快な気分で帰宅することができた。
すべてのものごとに感謝!

公演「白い月、あるいは鳥の歌」が終わった(後)

11月16日、土曜日。
12時、羽根木の家泊だった梓とぽてぽて歩いて明大前まで行く。
ホールはすでに早川くんがあけてくれていた。
やがて千絵も到着したので、早川くんに照明をいじってもらって、宣材写真(笑)の撮影会。
なにかのチラシ用のプロフィール写真にいつも困るので、せっかくホールを借りているこの機会を利用して、ついでにふたりも誘って、撮影会をすることにしたのだ。

午後1時半くらいに、マキさんと野々宮も到着。
リハーサルとかはなし。
昨日、かなりハードだったので、残り2回の公演にそなえて体力温存。
ホールの向かいのサブウェイでサンドイッチを買ってきて昼食。

午後2時半、開場。
午後3時、開演。
この日も駆け込みで予約してくれた人が何人もいて、用意していた席が足りなくなるほどだった。
初日に来てくれた方(ご夫婦)が、仕事があるにも関わらずこの日も来てくれて、びっくりした(ありがたい)。
午後4時半、終演。

みじかいインターバルを経て、午後5時半開場。
午後6時、ラストステージ開演。
午後7時半、終了。

終わってから「涙が出た」という人が多数。
しかし、泣くような内容ではない。
マキさんの声、野々宮の声、梓・千絵の身体表現、それらに呼応して心を揺さぶられる人が多かった模様。

ツイッターでいただいた感想。
「会場では確かに鳥が歌ってた。感想を言葉にまだできないけど、感動した何がありました」
「カルメンさんが今この瞬間に感じたことややりたいことに正直に万能されていて、マイクなしの声を聞きながら涙が出てきました。卯妙さん&水城さんとの再現出来ない共演もステキでした」
「あの四角錐の空間に音楽が流れた瞬間に時空間のドアが開いて、物的世界とは違った場になり、舞と朗読と歌に導かれ、俺たちは確かに街が回るのを別の窓から見てた気がする。人の織りなす場の不可思議」

直接メッセージでいただいた感想。
「とても心が揺さぶられ、今のどうしようもないとあきらめてしまいがちな世の様々な事共に、それでも全身で生きて、ぶつかって行かなくてはならないんだということをしみじみと感じさせられた舞台でした。何をどうするという具体的な感慨ではなく、日々の一つ一つの心の憤りや怒り、哀しみ、そして感動、喜びを、やはりなるべくストレートに語り、世の片隅からでも棲みよくして行きたい!そんな強い思いをさせていただきました。昨晩から、身の回りの事から大きな社会問題にまで、とてもたくさんの事象の前で立ち尽くす、自分を顧みて、それでも生きていくエネルギーを蓄えられる気持ちになりました」

ゼミ生の感想。
「濃い公演でした。2回観たのでそれぞれ違う見方をしました。表現者それぞれが自分の表現に対してとても真摯な姿勢は素晴らしかった。マキさんの声、生で聴いたのははじめてでしたが、本当に素晴らしい声でした。発する一つの音が短音ではなく、細かい音が絡み合った非常に複雑な音でした。そしてゼミ生二人は美しかった。また、ゼミ生二人の集中は物凄かったです。完全に世界にはまり込んでいました。卯妙さんは、相変わらず様々な声を動きなど次から次へと出て来て、全く予測不能でした。ボスの音楽もまた美しかった。朗読者や歌い手の出す音に的確に反応し、素晴らしいコミュニケーションでした。こうやってみると、私はいつも本当に凄い人達と一緒ににいるんだと思い知らされました。こんな凄い人達と共演出来るなんて、本当に凄いです」

ほかにもいろいろいただいて感謝。
今後の励みになります。

終わってから会場を片付けて、近くの中華料理屋に行って打ち上げ。
マキさんからは、スリリングだったという感想をいただいたり、最近の表現についての思うところ、心境やアプローチの変化についての突っ込んだ話をうかがったりして、ここでも充実した時をすごさせてもらった。

それにしても、体力的には疲れた。
気持ちはどんどん元気になった気がして、完全燃焼。

打ち上げ後、梓・卯妙と羽根木の家まで歩いてもどり、打ち上げのだめ押し。
ワインを追加で飲みながら、記録映像をいっしょに観る。

それにしても、気づきの多い二日間だった。
関係してくれたすべての方々に感謝。
次のステップへと進む貴重な体験になった。

2013年11月17日日曜日

公演「白い月、あるいは鳥の歌」が終わった(前)

2013年11月15・16日。
カルメン・マキさんをフィーチャーした音楽と現代朗読の3回公演「白い月、あるいは鳥の歌」が、明大前〈キッド・アイラック・アート・ホール〉にて開催され、無事に終了した。
いつものことではあるが、今回も集客に苦労し、直前まで会場費すら出ないのではないかと懸念されたのだが、幸いあけてみれば多くの方においでいただき、出演者も熱い思いのパフォーマンスとなった。
ご来場いただいた皆さんには感謝を申し上げたい。

余談だが、今回の集客でもっとも力を発揮したのは、フェイスブックとツイッターであった。
やはり日ごろのつながりを大切にしなければいけないなと思うのと同時に、しっかりした情報発信の大切さを確認することになった。

11月15日、金曜日。
正午ごろ、今回の公演を手伝ってもらうゼミ生ふたり、町村千絵と高崎梓が羽根木の家に来る。
野々宮卯妙は印刷物などの準備で忙しい。
私も演奏や撮影機材の準備をする。
今回は専任スタッフがいないので、出演者が準備から入場受付までなんでもやる。
本番ステージにそなえて静かに集中する、などという時間は持つことはできない。
開場して来客の受付をするときも、入口にいるのは出演者、という具合だ。
そういうことに文句もいわず、しかも本番でのパフォーマンスを落とすこともなくしっかりやってくれるのは、日ごろからマインドフルネスと即興性を重視した訓練をしているせいだと思う。

午後3時半、全国配車アプリでタクシーを呼ぶ。
機材を積みこみ、千絵・梓といっしょにキッド・アイラック・アート・ホールに向かう。
野々宮は印刷物を完了させてから来る、とのこと。

午後4時、会場入り。
ホールの早川くんといっしょにステージと会場作り、演奏機材のセッティング。
ステージは前回の沈黙の朗読とほぼおなじ配置に作った。
来客数が少ないので、ピアノをやや前に置き、ピアノの背後は出演の控えスペースとした。

午後5時、マキさんが到着。
野々宮も到着。
マキさんとは初めて合わせる曲が2曲あったので、まずそのリハーサルから。
早川くんはその間に照明合わせ。
曲合わせのあと、全体の流れをざっと確認。
今回の公演は全体のリハーサルは一度もおこなわなかったのだが、当日のリハーサルもごく簡単なもので、進行の確認程度のものだった。
午後6時すぎにはそれも終わり、それぞれ食事したり、休んだりと、本番にそなえる。

午後7時半、開場。
ギリギリまで前売り扱いのチケットがクレジットカードやPayPal決済で予約できることを、フェイスブックやツイッターでこまめに告知したおかげで、直前になって何人もの方が予約を入れてくれて、思ったより多くの方においでいただけた。
知り合いばかりではなく、通りがかりの人や、友人に誘われて一緒に来てくれた方など、初めてお目にかかる方もたくさんいてうれしかった。

午後8時、開演。
私のシンセサイザー演奏からスタートし、マキさんのアカペラの歌、野々宮のひとり朗読と進む。
あとで来場した方から、
「最初の演奏でいきなり癒されて、自分自身になれた。自分は日ごろ、自分自身をどこかにおいてきぼりにして自分自身になることがとても難しいのだが、公演の全体を通じて苦しいことも楽しいことも自分自身の経験とともにずっといっしょにいれた」
という言葉をいただいた。

つづいてマキさんと野々宮の朗読に私が即興演奏でからむ「彼は眠らない」。
そのあと、梓・千絵のふたりが登場して、身体表現をともなった「初霜」を全員で。
ふたりが退場したあと、私のメッセージ「移行」、マキさんの歌と野々宮の朗読を織り交ぜた演目を立てつづけにふたつ、そして最後の「鳥の歌」。
ここでふたたび梓・千絵のふたりが登場、身体表現で参加。

マキさんの歌・ヴォイスはもちろん大きなインパクトを皆さんに与えたし、野々宮の朗読もいつも以上に多彩に冴え渡っていたのだが、梓・千絵も思いがけずよかったのだ。
このふたりが加わってくれたおかげで、パフォーマンス全体が「公演」として引きしまってくれたし、とても集中して表現してくれたのもステージに緊張感を与えてくれた。
動きも存在も美しく、私もピアノを弾きながら見ほれてしまった。
わざわざ日程を割いて参加してくれたふたりには、あらためて感謝。

予定していた時間より長くかかって、終わったら9時半だった。
終演後、何人かの方と話をさせていただいたが、なにやらよい反応をたくさんいただいた。
なかには「いまはまだうまく言葉にできないのであらためて」といってくれた方や、「涙が出ました」という方が何人かいらして、うれしい感触だった。
(つづく)

2013年11月12日火曜日

カルメン・マキをフィーチャーした公演のチラシ原稿

三日後に迫った公演「白い月、あるいは鳥の歌」のチラシのために書いた原稿を公開する。
公演の詳細とお申し込みはこちらから

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 もちろんすべてというわけではないが、近年、カルメン・マキが非常にアグレッシブに音楽的挑戦をつづけているのを見てきた。
「これは」という演奏家やアーティストを見つけると、大胆にアプローチし、共演を持ちかける。とくにジャズの演奏家が多く、カルメン・マキの音楽にたいする要求はとどまることがないように見える。みずからが進化する、変わりつづけることを音楽活動のデフォルトにすえているかのようだ。
 それにたいし、「時には母のない子のように」やOZ時代のイメージに固執し、いまだに引きずってそれを求める観客の「変わらなさ」について、ときにはあからさまないらだちを見せることもある。
「私は変わりつづけている。そもそも人は二度とおなじことはできないのだ。昨日の私と今日の私はこんなにも違う。それを見て、聴いてほしい」
 という強いメッセージを感じる。それを受けての今回の「白い月、あるいは鳥の歌」である。
 進化をつづけるカルメン・マキの「いま」の魅力をどう伝えられるか。それに加えて、これまだ進化しつづけている現代朗読の野々宮卯妙の魅力も引きだし、相乗効果を生むようなステージにしたい。演出担当として欲張りすぎなのではないかと思うが、なにかまうものか、キッド・アイラックというホール空間でなにが起こるのか、進化進行中の表現者ふたりとともに楽しめばいいではないか、というのが無責任な私の今回の姿勢である。
 内容は聴いてもらってのお楽しみ。メッセージ性の強いものとなっているが、そんなこととは別にご来場のみなさんには先入観を真っ白に捨てて聴いていただけたら幸いである。
 本日はご来場いただきありがとうございました。
(水城ゆう/ピアニスト、小説家)

「白い月、あるいは鳥の歌」

演目(予定)当日変更することもあります
「白い月」作・萩原朔太郎
「暗い夜明け」作・吉原伸
「もう軍備はいらない」作・坂口安吾
「戦争は知らない」作・寺山修司
「彼は眠らない」作・水城ゆう
「移行」同
「鳥の歌」同
「初霜」同
 ほか

出演
 カルメン・マキ 歌/朗読
 野々宮卯妙   朗読
 高崎梓     群読/身体表現
 町村千絵    群読/身体表現
 水城ゆう    キーボード演奏

演出・構成
 水城ゆう

照明・音響
 早川誠司(キッド・アイラック・アート・ホール)

協力
 現代朗読協会

2013年11月11日月曜日

げろきょゼミの本当の価値

現代朗読協会の活動はゼミと呼んでいる、毎月15回前後、定期的に開催している集まりが中心になっている。
カルチャーセンターや声優・アナウンサーが開いている朗読講座などとはちがって、ゼミではなにかを一方的に「教える」ということはしないし、そのためのカリキュラムもない。
ゼミ生たちはただ自分がやりたいことを持ってくる。

なにかを読みたい者はただ読んでみんなに聴いてもらったり、「今日は聴きたいだけ」という気分の者もいたり、あるいはなにか明確な目的があったりする者もいる。
たとえばライブや公演が近づいていて、その稽古をすることもあれば、私が演出的アドバイスをすることもある。
いずれにしても、なにか決まった内容があるわけではない(基礎訓練は別)。

このゼミで私がもっとも大切にしているのは、だれかの朗読を聴くときに「評価/判断/非難」といったことを捨て、ただ「共感的」に受け取ることをしよう、ということだ。
私たちはだれかが朗読したり歌ったり演奏したり踊ったり、なにか表現したとき、それにたいしてある「評価」をくだそうという「癖」を身につけてしまっている。
学校教育のなかで身につけてきた癖であり、また評価・効率・競争的な社会で暮らすうちに骨の髄までしみこんでしまった癖だ。
その癖に気づき、やめていき、そして共感的に表現を受け取る練習をしている。

だれかが評価的な耳ではなく共感的な耳でこちらの朗読をただ受け取ってくれている、批判や非難をぶつけられる心配がないという安心感があるとき、人は自分がなにを大切にしているのか気づくことができる。
評価的耳で聴かれていると、こちらもついついそれに対抗して自分をよりよく見せようと力んだり、自分以外の何者かになろうとしたり、本当の自分のニーズにつながることができなくなったりする。
が、共感的耳で聴かれると、自分の内側を見つめ、ニーズにつながり、自分と相手を信頼してのびやかに表現できる。
共感的耳で聴かれているとき、自分が自分以外の者になってしまったり、背伸びしたり、ニーズにつながっていないことに気づくことができるし、そのとき自分の真のやりたいこと、価値、ニーズがくっきりと見えてくる。

私は長いあいだ、音楽の世界でも物書きの世界でも、評価との戦いばかりつづけてきた。
その結果、自分が本当はなにを大切にしているのか、自分の真にやりたいこと/喜びはなんなのか、自分の価値はなんなのかということにずっと気づけずにいた。
とても残念なことだと思う。
しかし、いまはちがう。
共感的に私を聴いてくれる仲間がたくさんいるので、いつも自分自身につながっていることができる。
とても幸せなことだ。
ゼミ生のみんなも、ゼミという場のこのような本当の価値に気づいてくれているといいな、と思う。

ゼミ体験参加の詳細と申し込みはこちら

公演「白い月、あるいは鳥の歌」のゼミ生稽古

カルメン・マキさんとの公演「白い月、あるいは鳥の歌」は、げろきょのゼミ生ふたりに出演してもらうことになっている。
演出構想として女性ふたりによる群読と身体表現を、マキさんと野々宮卯妙にからめる、というものがあったからだ。
昨日、その稽古を羽根木の家でおこなった。

手伝ってくれるのは高崎梓と町村千絵のふたり。
公演プログラムの前半の「初霜」という私の作品で、ふたりが身体表現をともなった群読でマキさんと野々宮にからむ。
身体表現をともなった朗読は現代朗読ではよくおこなっているのだが、この作品では私たちが「コンタクト朗読」と読んでいる、身体を「コンタクト=接触」させた状態で動きによるコミュニケーションを取りながら朗読するというスタイルのものを使う。
ただし、台の上でやってもらうので、足は固定された状態で、大きくは動けない。

いっそ動けないなら、拘束してしまってはどうか、という野々宮の思いつきで、ふたりを縛り上げることになった。
なにで縛るか。
紐? ロープ?
当然包帯でしょう、ということで、なんだかあぶない光景になった。
それで動いてもらったが、これまたなんだかエロい。
いい風景だなあ(笑)。

公演「白い月、あるいは鳥の歌」の詳細とお申し込みはこちらから

2013年11月10日日曜日

カルメン・マキさんとの公演やイベントがつづく週

カルメン・マキさんとの公演「白い月、あるいは鳥の歌」がいよいよ今週末の金・土、15日と16日に迫ってきた。
マキさんからも「今回はわたしもチャレンジしたい」という言葉をいただいていて、現代朗読および即興音楽とのコラボレーションにたいしてかなりの意欲を持っておられるようだ。
歌だけでなく、朗読とヴォイスにも挑戦してもらうことになっている。
過去の栄光の残影ではなく、いまこの瞬間のすばらしい表現者としてのカルメン・マキさんを、ぜひ目撃していただきたいものだ。
詳細とお申し込みはこちらから

今回は現代朗読の野々宮卯妙のほか、ゼミ生の高崎梓と町村千絵にも参加してもらっている。
彼女らには群読と身体表現でからんでもらうことになっている。
その稽古を今日の夕方やることになっていて、こちらも楽しみなのだ。
若い女性ふたりが、カルメン・マキさんと野々宮卯妙にどのようにからむのか、これも注目していただきたいと思っている。

この公演の前に、明日から木曜日まで北陸に帰省する予定。
北陸はかなり寒そうだ。
さすがにまだ雪は降らないと思うが。

公演が終わって来週になると、19日(火)はサラヴァ東京のオープンマイクにゼミ生の山田みぞれが出演するので、そのサポートで私も演奏参加。
20日(水)は〈Com.Cafe 音倉〉の朗読オープンマイクにゼミ生が何人か出るので、全員ではないがそのうちの何人かのサポートで演奏参加。
23日(土)夜は音楽塾「即興演奏ワークショップ」、24日(日)は羽根木の家での韓氏意拳体験講習会および養生功講習会と、イベントがつづく。

2013年11月8日金曜日

明日は朗読体験講座

明日は毎月開催している現代朗読体験講座の日だ。
参加者が多かったり少なかったり、いろいろだが、とにかく毎月開催している。

5年くらい前からこの「体験講座」をつづけていると思うが、内容はすこしずつ変化している。
体験講座の内容の変化は、そのまま現代朗読の変化でもある。
現代朗読は文字通り「コンテンポラリー」な表現をかんがえているので、そのありようも変化していく可能性を持っている。
また私たち自身も刻一刻と変化しつづける存在なので、私たちの生の進展、ありようの変化によって、現代朗読のありようもまた変化していく。

現代朗読はなにひとつ「こうあらねば」「こうしなければ」というかんがえのない表現だ。
そして「こうしてはならない」というかんがえもない。
従来朗読の経験者や、また朗読についての従来的なイメージを持った人が体験講座に来ると、そのようなかんがえ方に接してとまどうことがあるだろう。

普通、朗読にかぎらないが、講座やお教室に行った場合、たいていは「こうしなさい」「こうしてはいけない」と、一種の型のようなものを学ぶ。
それがものごとを習得する方法だと思っている人が多い。
しかし、現代朗読ではそれがない。
現代朗読協会はお教室ではないし、習い事をする場でもない。
ここは「表現」つまり朗読という行為を通して自分自身を人に伝える行為を学び、楽しんでいる人が集まっている場なのだ。
ここでは日々、自分の生き方そのものをかんがえ、更新し、またいまここの自分自身を表現することを楽しんでいる。

そういうかんがえ方やコンテンポラリーな表現に興味がある方は、ぜひ一度体験講座にお越しください。
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2013年11月7日木曜日

表現(朗読)のクオリティを高めるもっとも有効な方法

現代朗読のゼミや基礎コースの冒頭でかならず基礎訓練をやるのだが、そのなかに「体認のエチュード」というものがある。
この「体認」というのは、私が稽古している意拳という中国拳法で使われる言葉だが、自分の身体を認識する、観る、体感する、などを緻密におこなうことを意味している。

朗読するとき、たいていの人は自分の身体のことをかんがえていない。
自分自身の意識がテキストのなかに没入していたり、テキストと頭と口先のあたりだったり、せいぜい呼吸くらいまで意識がおよぶことはあるかもしれないが、ともかく、全身に意識が向いていることはすくない。
しかし、私たちは声・言葉を発するとき、通常は全身をそれに加担させているのだ。
そこにはその人自身の声のある種のクオリティがある。

朗読するとき、私たちは、日常的におこなっている発声・発音の身体操作を忘れ、硬直化した「読み上げる」動作になってしまう。
テキストを読み上げることと、言葉・声が全身の働きによって表出することとは、まったく質のことなる別の行為といっていい。
現代朗読では、全身を発音・発声・音読に加担させたハイクオリティな表現を追求している。

まったく朗読をやったことがない人も、体認のエチュードを重ねることによって、自分の身体性と発声・音読の関係に気づき、本来自分が自然におこなっている声の表現を朗読においても実現できるようになる。
その方法を現代朗読で提示している。
簡単なことではないかもしれないが、いったんその道筋を理解し、練習方法を身につければ、だれもがすぐれた表現者になれると確信している。
げんに現代朗読協会からは、かつてないユニークでオリジナルな朗読表現者がぞくぞくと誕生している。

注目の現代朗読を体験する方法はふたとおりある。
ひとつは体験講座に参加すること。
体験講座の詳細と申し込みはこちら
もうひとつは、逐次おこなわれている現代朗読ゼミに体験参加すること。
ゼミ体験参加の詳細と申し込みはこちら
みなさんのお越しをお待ちしてます。

2013年11月6日水曜日

「白い月」打ち合わせ、韓氏意拳

5日間の北海道ツアーからもどって、今日はまだちょっと疲れが残っている感じ。
朝から北海道ツアーのことをブログ記事にして、そのあと、カルメン・マキさんをフィーチャーした公演「白い月、もしくは鳥の歌」の進行台本作り。
曲目や朗読テキスト、そしてげろきょゼミ生の梓と千絵が群読と身体表現で加わってくれるパートのシナリオを作る。

午後、マキさんが羽根木の家に来て、綿密な打ち合わせ。
2時すぎから5時半くらいまでみっちりと。

夜は韓氏意拳の稽古に中野まで行く。
今夜は初心者から上級者まで混じっての講習だった。
私は身体が教えてくれるふくよかな形体についての指導が多くあって、学習が進んだ感じがした。
ほかにも、これはいつもいわれることだが、自分の内実に深く注目することと、それにともなって動きはゆっくりと慎重さが生まれていくということを、さまざまな場面で確認しながら進めていった。

韓氏意拳を始めて約半年、ようやく先生のいっていることがなんとか理解しイメージできるようになったが、まだまだ実践するとうまくいかないことが多い。
が、体認についてはだいぶ密度を増して感受できるようになってきたように思う。
最初のころは2時間半の講習で集中力がとてももたず、後半はヘロヘロになってしまったが、最近は最後まで集中がとぎれることなくしっかりと稽古できるようになってきた。

韓氏意拳の体験講習と、養生功の講習のふたつを、もうすぐ羽根木の家で開催してもらえることになっている。
興味のある方はこちらをどうぞ。

北海道旅行記(札幌・小樽)その4

2013年11月5日。
北海道滞在最終日、東京への移動日。
すっきりと晴れたいい天気。

ホテルをチェックアウトして、旧拓銀のビルを改装したホテルのロビーでコーヒー。
ここはオルゴールをたくさん展示していて、オルゴール製造や販売についてのおもしろい話を、喫茶室の女性から聞かせてもらえた。

運河沿いを歩く。
運河で記念撮影するための観光ポイントがあって、そこには中国人の団体がおおぜいで記念撮影していた。
私もパチリ。

さらに海側に向かい、港まで出てみる。
小樽港は大きな港で、沖には立派な岸壁がつづいていて、水平線はすこししか見えない。
おじさんが2、3人、釣りをしている。
なにが釣れるのか聞いてみたら、マメイカとかハゼということだった。
それぞれちがう仕掛けで、思いおもいに釣っている。
なるほど、海の近くに住んでいたら、こんな日にはぶらっと釣りに来れるのだなと、釣りが好きだがもう長くやれていない私としてはかなりうらやましい気がした。

巨大なフェリーが接岸していた。
新潟=小樽と出ていて、これが定期的に通っているらしい。
それだけの物流が日本海側にあるということで、ちょっとびっくりした。

新千歳空港に向かう列車の時間が近づいてきたので、荷物をかついで小樽駅に行く。
駅の横の三角市場に行き、NVC仲間ののぞみさんに教えてもらった川嶋商店で昼食。
三食丼というものがあって、好きなものを3種類トッピングできる。
私はウニ、イクラ、シャケの3点を乗せてもらって、堪能した。

今回の札幌、小樽行きは本当に楽しかったし、2日間にわたる共感的コミュニケーションの研修では自分の能力を存分に使ったという充実感もあった。
これもファシリテーター・フェローズの皆さんが私を呼んでくれたおかげだし、またそこへ導いてくれた江上さんのおかげだ。
また、江上さんがいなければ小樽をこんなに楽しむことはできなかっただろうと思う。
江上さん、みなさん、ありがとうございました。

北海道旅行記(札幌・小樽)その3

2013年11月4日。
小樽の運河沿いのホテル〈ソニア〉で目がさめる。
天気は曇。
この日はその後、雨が混じったり、夜にはあられが降ったりと、不安定な天候だった。
が、さいわい、傘を買うこともなく、降られずにすんだのは幸運だった。

江上さんとホテルのロビーで落ち合い、画家の松田研さんのアトリエに向かう。
元建具屋の作業場をアトリエにされていて、だるまストーブに火がはいっていた。
とても居心地のいい空間で、ついついのんびりしてしまう。
松田さんは横浜のBゼミの出身で、共通の話題で盛りあがったり、いろいろな話をした。
帰りぎわに作品を一点、プレゼントしていただいた。
とてもうれしくちょうだいし、後日額装しようと思っている。

小樽では有名らしい〈小樽バイン〉というレストランに行って、昼食。
とても栄えた港町だったので、石造りの立派な倉庫がたくさん残っている。
そういう歴史的建造物をそのままレストランや土産物屋、事務所・店舗などに使っていて、それが街の景観と雰囲気を作っている。
小樽バインもそういう店のひとつで、いい雰囲気だった。
海産物を使ったパスタをおいしくいただいた。

いまは廃線になった手宮線という鉄道の線路沿いが公園になっていて、両側には古い建物が残っていておもしろい。
それをずっとたどって、手宮地区にある総合博物館まで歩く。
途中、お茶を一服と思ってはいった店が〈フリーランス〉という老舗のジャズライブハウスで、入口にいきなりカルメン・マキさんの北海道ツアーのチラシがぶらさがっていたり、知った名前のミュージシャンのサインがあったりと、びっくりした。

さらに歩いていくと、運河があらわれ、手宮地区の港へと出た。
ここに小樽市総合博物館がある。
ここは鉄道博物館で、マニアにはたまらない場所なのだろう。
あいにく私は鉄道マニアではないが、蒸気機関車が構内を走っていてそれに乗ったり、それが方向転換する様子を見たりと、楽しませてもらった。

やや強めの雨が降ってきたので、タクシーで市内にもどる。
市内にもどったら晴れてきた。
観光客がたくさんいる、ガラス工芸の店がいっぱいならんでいる通りに行く。
それなりに観光する。
〈ルタオ〉というチーズケーキが有名らしい店にはいって、ケーキとコーヒーでひと息つく。

その後の夜は、昨夜のようにまず〈れがろ〉に行き、そこでけっこうのんびり飲んでから、〈斉藤家〉というこれまたディープな感じの店に行って飲む。
店内に犬のワイヤーフレームのオブジェが飾ってあったり、古い下駄箱がカウンターになっていたりと、おもしろい店で、ここでは焼酎をいただいた。
お勘定をしたら「500円」ということで、チャージもなにも余計なものはなし、飲み物代500円ぽっきり。
江上さんが小樽の方々と夜の街を「回遊」するのが楽しいとおっしゃっていたが、これなら回遊もできるなと思った。
(つづく)