ページ

2010年6月30日水曜日

朗読の快楽/響き合う表現 Vol.1

アイ文庫twitterでは、現在、水城雄によるドキュメント「朗読の快楽/響き合う表現」を連続配信中です。ハッシュタグが「#roudoku」で、通しナンバーがついてます。
すでに配信を終えたものを BLOG にも掲載します。


「朗読の快楽/響き合う表現」の連載をスタートします。創造と共感の場である「現代朗読協会」がいまの形になるまでの経緯を、私の思考過程の変遷をたどりながら正直に、誠実にたどってみたいと思っています。おつきあいいただければ幸いです。

私(水城)はときおり、現代朗読協会のいまのありようを「奇跡のようだ」と表現することがあるけれど、その理由はこのドキュメントを読んでいただければわかると思う。次世代のアートコミュニティのありかたのひとつを提示しているのではないだろうか。

私はいま、小説家/音楽家と名乗っている。が、活字出版のための、とくに商業出版のための小説はもう書いていない。書いているのはケータイの公式サイト「どこでも読書」での連載長編(しばらく中断しているが)と、朗読のためのショートストーリー、そして詩だ。

音楽についても、単独の活動はほとんどおこなっていない。朗読との共演、語りのサポート、オーディオブックのための音楽、たまに演奏でライブをやることがあるが、それも自分主体ではない。20代初期のころは自分のバンドを持っていたし、演奏で生活していたこともある。

こういう者が、なぜいま朗読に関わることが自分の表現の中心となっていったのか。そして、私の意志とは関係なく自然発生的に生まれて育ってきた現代朗読協会というコミュニティについて、できるだけ時系列を追いながら振りかえってみたい。

私は1957年に福井県の山間部にある勝山市というところに生まれた。私的なことだが、しかしこれは現在の状況を語るためにどうしても必要な基本情報なので、明らかにしておかなければならない。この田舎で生まれ育ったということが重要なファクターとなっているからだ。

学校といういわば被保護の立場から、社会と直接関わるようになった最初の仕事は、祇園のバーテンダーとしてであった。そこはいまもあるが〈バードランド〉という名前のジャズバーで、京都を中心とする関西のバンドマンがマスターの人柄を慕って集まってくる店だった。

私は彼らに刺激を受け、独学でジャズ演奏を学び、やがてバンドマンの仲間入りをしつつ、自分のピアノトリオを結成してライブハウスなどにも出演するようになった。このような道すじは、私が田舎で生まれ育ったことと無関係ではないのである。

私の父親は高校教師であった。つまり、田舎のインテリ階級といってもいいだろう。そういう家庭だったので、私の4歳下の妹がまだ3、4歳のころから「音楽教室」とやらに通いはじめた。それからしばらくして、我が家にピアノがやってきた。私は8歳か9歳だったと思う。

妹がピアノを弾くのを見ていた私は、自分もやってみたいと思い、親に頼んでみた。するとあっさりと許可がおりたのだ。あとで聞いたことだが、父親は「男がピアノを弾く」という姿にあこがれを持っていたようなのだ。父は戦中に拓殖大学で学生時代をすごしている。

父は福井県の松岡町というところの出身で、学生時代は東京の福井県人会の寮に寄宿していた。その寮にピアノがあり、他大学の学生だったがときおりそこで演奏している姿を見て、父は非常に感銘を受けていたのだ。父も田舎者だったが、クラシック音楽を愛していた。

そんな父ゆえに、息子がピアノを習いたいといいだしたときには、しめしめと思ったに違いない。私が個人レッスンでピアノを習いはじめたのは、小学3年生のときだった。ピアノ教室はいまもそうかもしれないが、当時はさらに輪をかけて生徒は女の子ばかりだった。

Twitter連載中

8月21日「特殊相対性の女」の予約受付窓口ができました

まだチラシもできていませんが、準備は着々と進んでいます。
8月21日の午後3時と7時からおこなわれる石村みか/野々宮卯妙/水城ゆうによる演劇と朗読と音楽のセッション「特殊相対性の女」の予約受付窓口ができました。
こちら
いまのうちからスケジュールをあけておいてくださいね〜、みなさん。

2010年6月29日火曜日

異次元空間への旅を何人かと共有できたように思う

10時、ホテルをチェックアウト。
バラさんと待ち合わせがてら、近くのデニーズでコーヒー。
バラさんにピックアップしてもらって、千種文化小劇場へ。外壁が木蔦で覆われたなかなかいい雰囲気の劇場。客席は円形になっている。
楽屋入りし、小道具で使う金魚を洗面所に運ぶ。
ウェルバ・アクトゥスWS メンバーの林ちゃんがスタッフで入っている。また、twitter でご挨拶した大栗さんともお会いする。
照明さんとごく簡単に打ち合わせ。

バラさんと近所のカフェに行き、昼食。グリーンカレー、大盛り。
本日のイベント「人 いのち 祈り/朗読・語りと音楽の会」が14時からスタート。私もバラさんと行儀よく会場で観覧。深澤さんもやってきた。
トップバッターは林ちゃんも参加している朗読教室の A班の人たちによるグループ朗読。皆さん、すごくたくさん練習した様子がありありとあって、大変上手であった。
理子さんが来ていたので、最初の演目が終わってからバラさんと3人で近所の喫茶店でコーヒー。

16時にもどると、坂野さんが来ていた。Twitter でフォローしてくれたタナカアリフミさんが、朗読の手塚さんといっしょに来てくれた。
ワークショップのコギソさんと麗子さんと撫子さん、岐阜の高橋さん、クセックのアトリエのオーナーの豊島さんと西山さん、森さん、ほかにも知り合いが何人か来てくれた。

17時半くらいから我々の「初恋」がスタートする。
暗転のなか、坂野さんのクラリネットのロングトーンからスタートして、ピアノがからむ。そこへバラさんが朗読でからんで始まる。途中何度かの暗転のなか、私と坂野さんは即興演奏でやりたい放題。バラさんもアドリブ連発。お客さんも反応がいい。
3度目の暗転のとき、完全な沈黙を作り、どこまで引っ張れるかと粘ったのだが、さすがに300人キャパの会場では何分も引っ張るのは難しく、1分強しか作れなかった。
それにしても、まあかなり濃密なパフォーマンスがやれたのではないかと思う。途中、私と坂野さんがとっさに連弾みたいな格好になり、ふたりでシンクロして演奏したり演技したりと、楽しいシーンも作ることができたし。
終わってから、西山さんから、
「なんか変なところへ連れて行かれる感じがして危なかった」
という感想をいただく。これは最高の言葉なのだ。そもそも、オーディエンスをどこか別の次元の感覚空間に連れていってその体験を共有することを目指してやっているのだから。

新幹線の時間が決まっていたので、終わってから麗子さんに名古屋駅まで車で送ってもらった。撫子さんもいっしょ。
撫子さんもとても楽しんでくれたみたいで、
「次になにが起こるかわからなくてドキドキした。朗読がこんなに楽しかったのは初めて」
といってくれた。
次はあなたがたがそれをやるんですよ。

2010年6月27日日曜日

今夜予定の「UBunko」は生ではなく収録になりました

先に予告していた UStream番組「UBunko」の今夜放送分ですが、窪田涼子をゲストに今夜生放送でお送りする予定でしたが、機材の都合で今夜収録し、後日あらためて放送することになりました。
楽しみにお待ちいただいていた方は申し訳ありません。
後日あらためて、放送日時をお知らせします。

2010年6月25日金曜日

名古屋「朗読・語りと音楽の会」に出演します

今月末6月29日と30日の両日、名古屋の千種文化小劇場(ちくさ座)にて、「人 いのち 祈り/朗読・語りと音楽の会」が開催されます。
私は29日の午後5時すぎから「初恋」という演目で出演します。

「初恋」は2007年に私がテキストを書き、榊原忠美とふたりで初演したものですが、今回は再演となります。
客演に作曲家の坂野嘉彦さんを迎えての、三つどもえの朗読&音楽セッションです。
相当に過激な内容ですので、「朗読」を期待する方は来場をご遠慮ください。また、前衛的なパフォーマンスに拒否感のある方も遠慮いただいたほうが無難かと存じます。
なにかあたらしいもの、見たこともないようなもの、どこ別次元の世界へ連れていかれてしまうことを拒否しない柔軟な感受性を保持している方にご覧いただけることを幸いとします。

■参加費 2,000円(一日通しチケット)
■問い合わせ 052-909-3755(鈴木)

私に直接お問い合わせていただいてもかまいません。

2010年6月24日木曜日

Ustream番組「UBunko」次回予告(ゲスト:窪田涼子)

初回に登場した大阪のナレーター・朗読者の窪田涼子が、ふたたび出演します。
今回は生出演です。
トークと、朗読と音楽によるセッションを、生でお送りする予定です。
なにが起こるか、予想できません。心臓の弱い方は視聴をご遠慮ください。

放送は27日(日)午後8時より。
視聴はこちらから。

2010年6月23日水曜日

アウンサンスーチー

 を〈水色文庫〉のほうに書きこみました。
⇒ こちら

「特殊相対性の女」チラシ用文言

8月21日(土)に下北沢の〈Com.Cafe 音倉〉でおこなうライブ公演「特殊相対性の女」のチラシのための文言を書いた。
午後3時と午後7時に2回公演。

(演劇+朗読)×音楽=「特殊相対性の女」
というコンセプトで、女優の石村みかと朗読の野々宮卯妙、そして私の三つどもえライブ。
さらに映像美術として写真の三木義一も参加。

(チラシの文言)
演劇が役者の身体による表現であることは異論のないところだと思うが、朗読もそうであることはあまり意識されていない。
私は朗読演出においても常に朗読者の身体性、時空性を意識し、また意識させてきたが、すぐれて鍛えぬかれた朗読者の身体性が鍛錬された役者の身体性とどこまで拮抗するのか、興味を持っていた。もちろん朗読者と役者との身体性は、その使用方法やあり方そのものが異質なものだが、それゆえおなじステージ上に存在したときにどのように拮抗するのか、あるいは拮抗しないのか、化学反応を起こすのか、起こさないのか、好奇心をかきたてられる。
野々宮卯妙といういわば現代朗読で純粋培養された朗読者と、石村みかというすぐれた身体感覚を持った役者とのぶつかりあい。見たこともないもの、聴いたことのない声、音、経験したことのない時空を経験したくて、このテキストを書いた。
アルバート・アインシュタインは、物質が光速度に近づいていけばいくほど時間と空間に非日常的な歪みが生まれることを証明した。彼の頭脳が高速(光速)回転していたとき、彼の身体はどんなイメージに包まれていたのだろうか。彼はまた音楽を愛する人でもあった。
私もピアノ弾きという立場でステージにいるのだが、ご来場の皆さんとともに異空間の目撃者、体験者としてそこにありたいと望んでいる。

UStream番組「UBunko」今夜20:00オンエア!

今夜も放送します、「UBunko」。
URL が変わりました。ご注意ください。
2バイト文字がまぎれこんでいてクリックしてもジャンプできなかった URL だったので、チャンネル名を変更しました。今度はワンクリックでジャンプできるはずです。
こちら

今夜は、近くおこなう児童養護施設の子どもたちのための朗読プログラム「いちめんの菜の花に私はなりたい」の練習風景を交えながら、お送りする予定です。
20時スタートです。

「UBunko」の2回めをオンエア(使用機材・ソフトのまとめ)

昨夜20時から、UStream 番組「UBunko」を流した。
まりもちゃんとのトークと、そのあとに〈音倉〉オープンマイクでの野々宮卯妙と私のライブセッション「Bird Song」を放送。
今夜も20時からオンエア予定。
まだまだ視聴者は少ないが、なかなか興味深い。
とはいえ、放送できるようになるまでにちょっと苦労したので、これからやってみたいという人の参考のために、まとめておきたい。

まず、使用機材。

・MacBookPro 15インチ

これだけ。ほかにもなにも必要なし。
MacBook がネットにつながっていれば(うちは無線LAN)、放送可能。
MacBook は iSight というカメラが画面の上にくっついているので、追加機材は必要なし。
ただし、あらかじめ録画したものを流す場合は、そのための収録機材や編集ソフトが必要になることはいうまでもない。

次に使用ソフト。
基本的に UStream の公式サイトに接続できれば、特別なソフトはなにもいらない。ユーザー登録をして(無料)、サイト内で必要な設定さえすませれば、そのまま自分のコンピューターから放送できる。ただし、説明は英語。
ちなみに iPhone を使えば実に簡単に実況中継ができる。
「USTREAM Broadcaster」という APP をダウンロードすれば可能。これも無料。

ただ、公式サイトだけでいろいろな設定をするのはちょっと面倒なので、より使いやすいインターフェースを持った「UStream Producer」というソフトを使っている。
これは無料版と有料版があって、有料版だと複数のカメラを使ったスイッチングでテレビスタジオみたいな放送ができるようだが、そこまで必要ないので私は無料版を使っている。
UST Producer を使えば、あらかじめ録画・編集した動画ファイルを流しながら、ライブ映像を並行して流したり、画面の片隅にライブ映像を見せておいたりと、いろいろできる。

UStream Producer

ひとつ問題があって、それは動画ファイルとライブの音声をミックスして流せないということ。
それをやりたければ、音声を内部的にミックスするためのソフトが必要になる。
私が使っているのは次のもの。

Soundflower
LadioCast

私はまだうまくミックスしての放送ができていない。今夜、再挑戦してみよう。

次世代オーディオブック・リーダー養成講座受講生募集(第三期)

新しい声のジャンル、“オーディオブックリーダー”養成のための実践的集中講座! 最終オーディションを突破してプロReaderを目指しましょう。第三期生7月19日スタートです。
ハイクォリティなオーディオブックを制作しているアイ文庫が、次世代のオーディオブックリーダー養成集中講座を開催しています。
当講座には、オーディオブック販売のことのは出版とNPO法人現代朗読協会の全面的バックアップを得ています。

主催:アイ文庫
協力:ことのは出版
   現代朗読協会

■次世代オーディオブック・リーダー養成講座
 声優/ナレーター/朗読者のためのステップアップ講座
 申込みはこちら

【概要】

オーディオブックの読みや収録についてのノウハウとトレーニング法を一日で集中講義します。
その後1~2か月のトレーニング期間をおいて最終オーディション(収録)をおこないます。
合格者は、ことのは出版(株)のオーディオブックリーダーとして登録され、商業コンテンツの収録に備えていただきます。

【詳細】

(1)集中講座

以下の日程で開催される一日集中講義を受講していただきます。

 日時:2010年7月19日(月)10:00~19:00
 場所:アイ文庫(世田谷区/京王井の頭線新代田駅徒歩2分)
 受講料:33,000円

(2)トレーニング

収録用の作品を選び、(1)の内容の習得と(3)にむけての1~2か月間のトレーニング期間を設けます。
期間中は、メールによる指導と面談(またはスカイプ、希望者のみ)で習得状況をチェックします。質問等も自由です。
理解度や技術レベルによっては現代朗読協会のワークショップに参加していだくこともあります(参加費免除)。

(3)オーディション

アイ文庫のスタジオにて収録をおこないます。
収録後、数日以内に合否を決定します。
合格者は、ことのは出版(株)のオーディオブックリーダーとして登録され、商業コンテンツの収録に備えていただきます。
すでに第一期生と第二期生が実際の収録に向けて動きはじめています。

【本講座の特徴】

オーディオブックリーダー(朗読者)は、ナレーターでもアナウンサーでもなく、声優でもない、新しい声のジャンルです。
オーディオブックの朗読にチャレンジしてみたいと思っている人が多いなか、その読みや収録についてのノウハウをしっかりとアドバイスしてくれる場所はそう多くありません。
そんななかで、アイ文庫は、今後も長くネットコンテンツとして流通していくに耐えるクオリティを持ったオーディオブックの制作とリーダーの育成にあたっています。
単なる音読コンテンツではなく、「朗読作品」としてのオーディオブックを読める人を育てることが目的です。

文芸朗読、詩曲集、教科書朗読、英語朗読などで業界随一のクオリティと実績を持つアイ文庫のオーディオブック・ディレクターが指導にあたります。
ただ読むだけではない、情報伝達のみにとどまらない、「表現」の域にまで踏みこんだクオリティの高いオーディオブック収録ができるハイレベルなリーダー(朗読者)の育成をめざします。数多くの実践的なノウハウを盛りこんだプログラムで予定しています。

【本講座開講の背景】

オーディオブック市場にも多くの作品が登場し、iPodやiPhoneほか携帯プレーヤーの普及によりオーディオブックを楽しむ人が急速に増えつつあります。しかし、日本の現状は欧米各国に比べるとまだまだ普及が遅れているといわざるをえません。
しかし、KindleやiPadなど、オーディオブックも聴ける電子書籍リーダーが一気に登場してくるにともなって、日本でもオーディオブック市場に大きな期待感があります。
現在、オーディオブックコンテンツはパブリックドメインの文芸ものか、ビジネス書や自己啓発書、ラジオ番組や外国語教材、落語などの二次利用コンテンツが大部分を占めていますが、今後は現代文芸小説や教科書など、より朗読者の力量を問われるものが増えていくと予想されます。また、出版社や著者からは、朗読者に対して現状を上回ったクオリティの高さを求める声が直接寄せられています。
こういったコンテンツは、朗読者の「テキストを読む力(読解力)」や「表現力」が要求されることはいうまでもありませんが、このような朗読者を育てる場所はこれまであまりありませんでした。
そこで、時代の要求と将来展望にもとづいて、本講座が開講されることになりました。

◎ドキュメント「オーディオブックの真実」

日本のオーディオブックの現状や経緯を詳しく書いたドキュメントを、講師の水城が配信しました。
こちらからその全文が読めます。
アイ文庫のツイッターも参考にしてください。

2010年6月22日火曜日

iPhone の画面の回転を止める(iOS4)

今日の未明のことだが、iPhone のあたらしい OS「iOS4」がリリースされた。
盛りだくさんの機能追加で、iPhone がますます使いやすくなったのではないだろうか。
この新 OS は iPhone 4 の発売に合わせてリリースされたものだが、それ以前の iPhone 3G や 3GS にもインストールできる。iPod touch にすらインストールできる。

さて、寝転んでメールや twitter を読んだり書いたりするときに不評だった「勝手に画面が回転する機能」が、選択的にロックできるようになった。
たぶん、新 OS をインストールした私の知合いから、「その機能はどこにあるの?」と質問されると思うので、先回りして解説しておく。
キャプチャー画面の左下隅にあるアイコンがそれだ。タップすれば画面の回転を止めることができる。
この画面はどうやって出すかというと、ホームボタンのダブルタップ。その後に出てくる一番下のホームトレイを右にスライドさせれば出てくる。

「系列」にはいるということ、独立を保つということ

えちぜん鉄道という田舎の単線に時々乗る。
まことにのんびりしていてよろしい。九頭竜川添いの扇状地を抜けて走る車窓からの景色は、とくにこの季節、大変気持ちがいい。ほかの季節ももちろんすばらしい。そして冬は雪景色がいい。
第三セクターの経営だが、かつては京福鉄道という会社がやっていた。経営が行き詰まり、しかし電車をなくすのは困るという地元の声でなんとか残ったのだ。
運転手のほかに、車掌のかわりにキャビンアテンダントと称する若い女性がひとり乗っていて、愛嬌を振りまいている。なかなか感じがいい。
先日乗ったら、なぜか彼女はいつもの制服ではなく、野球のユニフォームのようなものを着ている。よく見たら、ジャイアンツのユニフォームを模したものだった。
なんでこんな田舎でジャイアンツ?
会社から支給されたものだろう。いくら彼女がジャイアンツファンだからといって、そんなものを制服の代わりに着て仕事ができるわけはない。
しばらく考えて、ようやくわかった。えちぜん鉄道という第三セクターには、大口出資者として福井新聞社がいる。福井新聞社は福井放送(FBC)という地方テレビ局の株主でもある。福井放送は日テレ系列のテレビ局である。日テレといえば読売新聞であり、ジャイアンツである。
つまり、読売新聞、日テレ、福井放送、福井新聞、えつぜん鉄道、という系列に添ってジャイアンツを応援せよという命題が下賜され、その見える結果のひとつがえつぜん鉄道のキャビンアテンダントがジャイアンツのユニフォームを着て乗務する、ということになっているわけだ。
これがつまり「系列」にはいる、ということだ。

日本社会はいくつかの系列で成り立っている。ひょっとしてこれらの系列は、元をたどればひとつに収束するのかもしれないが、我々の目には大きないくつかの流れが見えている。
経済の系列や利権の系列など、その性格で分けられるものもあるが、たいていは重複している。
この系列に乗れば仕事にあぶれないし、食うには困らない。一生安泰というやつだ。まれにへまをして系列からはじかれる者もいるが、他のものはそれを見て、自分はそうならないように息をこらして生きている。
生まれつきこの系列に乗ってしまっている者もいる。たとえば鳩山前首相のような人。あるいは多くの財閥や大企業の二代め以降。有名タレントのジュニア。
そうでない者は、一生楽して暮らしていくために、若いときからこの系列にはいるために必死になる。
たとえば就活であり、受験勉強である。
系列に乗れれば食うには困らないが、阪神ファンなのに巨人のユニフォームを着させられることもある。そもそも、阪神ファンであることすら忘れてしまうように飼いならされるだろう。
DoCoMo の社員で iPhone を使いたい人はどうするのだろう。
ま、余計なお世話ではある。

自分のことを振り返ってみたい。
私はこの「系列にはいる」ことができなかった人間である。一時、小説家としてデビューし、商業出版という経済系列(このなかにもさまざまな系列が存在するのではあるが)に乗るチャンスがあったのに、乗れなかった。
世間ではこういう人間を「負け組」という分類に入れる。
理由は簡単である。小説が売れなかったからだ。あるいは、売れそうな小説を書かなかったからだ。
そのために金銭面では大変な苦労をしたし、いまも苦労している。しかし、その苦労のおかげで、「系列外にいる」という立場を獲得することができている。この歳になってそのすばらしさ、貴重さがしみじみとわかってきた。
私はアイ文庫という会社に関わっている。また、現代朗読協会という NPO法人にも関わっている。いずれもどこの系列にも属していない。
「独立系」という言葉があるが、まさにそれのビュアな一例であろう。こういう組織は、運営や経済的な苦労と引き換えに、活動の自由を得ている。まったくもって貴重で、ありがたいことだと思う。
極端ないいかただが、どこかの系列に吸収されて食うに困らなくなる代わりに自由を失うのだとしたら、私は自由なまま餓死するほうを選ぶ。
しかし、現実には、家族がいたり、ともに働くパートナーがいたり、仲間がいたり、私ひとりの問題ではない。
勝手きままにふるまって、私のみならず彼らをも餓死の道連れにするわけにはいかない。
そこのかねあいが難しく、苦しく、そしてまたおもしろいのである。

もうひとつ風呂敷を広げれば、私はこの苦しい状況がいつまでもつづくとは思っていない。経済状況の変化、人々の価値観や生活スタイルの変化、そういったものを注意深く観察していると、渦巻きのような流れが見えてくる。その流れは「独立系」の人間にとって悪いものではない。
また、ただ座して流れが変わるのをながめているつもりはない。流れの変化そのものを私たちの活動によって起こしたいと考えている。
そのためのツールはすでに手に入れている。「現代朗読」であり、NVC(非暴力コミュニケーション)である。

Ustream番組「UBunko」今夜20:00オンエア!

今夜20時から第二弾をお送りします。
今夜はオーディオブックの初収録に挑戦したまりもちゃんがゲストのトーク。
新美南吉の「ごん狐」を収録したんですが、本当にすばらしかったのです。直後の感想など、たっぷり語ります。
視聴はこちらから。

2010年6月18日金曜日

下北沢〈Com.Cafe 音倉〉のオープンマイクに出ます

先月、デリヘイとの「祈る人」ライブをおこなった下北沢のライブカフェ〈音倉〉では、毎月オープンマイクをやっています。
今月は明日の夜です。
それに朗読の野々宮卯妙と出演します。
まだなにをやるかは決まってません。
出演者のほかはとくにチャージのようなものは必要ないみたいです。飲食代のみで楽しめるようなので、みなさん気軽に遊びに来てください。
私たちは8時半くらいの枠をもらってます。

〈Com.Cafe 音倉〉のサイトはこちら

2010年6月17日木曜日

Ustream新番組「UBunko」今夜20:00スタート!

いきなり始めます。
初回は大阪のナレーターでアイ文庫オーディオブックの朗読者、そして現代朗読協会正会員である窪田涼子とみずきゆうとのスペシャル・オープニング対談の中継です。
視聴はこちらから。

今後、しばらくは不定期に、いずれは定期配信をめざしていきます。
トーク、音楽、朗読、ライブ中継など、盛りだくさんな内容を予定していますので、どうぞご注目を。

デリヘイ Soulful Live が京都で

先日、下北沢〈音倉〉で、そして名古屋〈あうん〉と〈メーテル八事ハウジング〉で私とライブをおこなった馬頭琴奏者のデリヘイが、今度は京都でライブをおこないます。
私は出ませんが、ご案内します。
お近くの方はどうぞ。

2010年6月16日水曜日

2010年6月11日金曜日

北陸=名古屋〈あうん〉

5時、起床。晴。
葡萄棚の作りを少し修正する。

9時半、家を出て、福井経由、名古屋に向かう。

13時半、名古屋駅でデリヘイと位里ちゃんに拾ってもらって、車で〈あうん〉に向かう。途中、楽器屋に寄って、キーボードスタンドを借りる。

あうんでセッティング。明後日の八事ハウジングの野外ステージで音響をやってくれる尾嶋さんが来てくれて、セッティングを手伝ってくれる。大変助かった。
リハーサルをざっとやる。東京で一度やっているので、スムーズに進んだ。曲目を一部変更したが、大きな問題はなし。
上の平野さんのテキスタイル工房で時間をつぶす。長い待ち時間だと思っていたがみんなで話をしていたらあっという間だった。
お客さんたちはもういらしていて、食事組が食事中。それが終わって8時すぎからライブ本番の予定。さて、どうなりますやら。




2010年6月8日火曜日

おんがくでんしゃ

 を〈水色文庫〉のほうに書きこみました。
⇒ こちら

2010年6月7日月曜日

ふとんたたき

 を〈水色文庫〉のほうに書きこみました。
⇒ こちら

2010年6月6日日曜日

飛んでいたころ

 を〈水色文庫〉のほうに書きこみました。
⇒ こちら

2010年6月5日土曜日

身体のなかを蝶が飛ぶ

 を〈水色文庫〉のほうに書きこみました。
⇒ こちら

読み聞かせ:聞いてくれない子をどうすればいいか

mixiの知人の日記にこのような書きこみがあった。
小学校で読み聞かせのボランティアをやっている方の日記。その一部を勝手に引用させていただく。

----------
朝の授業前の10分間、こどもたちは机を後ろに押し詰めて 空いた床に体操座りして
聞いてくれます。
どのクラスにも一人や二人、みんなの輪からはみだして 後ろや端っこに座る子がいますが、
そのこたちが おはなしがすすむにつれて、ずりずりとお尻を動かし 近づいてくるのをみると、しめしめ と思います。

でも、木曜日は 一人のおんなのこ 後ろに下げた机に座って こっちを向こうともしなかったわ。 
チュー先生が せっかく治療してあげたおおかみに食べられちゃうんじゃないか!って
前に座った子たちは真剣な顔してページをみつめているのに 
そのこは そっちのほうをみてあくびしてました。

絵本 きらい? おばちゃん きらい?  ともだち きらい?

でもね やっぱり 前においでよ。  と 言いたいんです。
----------

この方の残念な気持ちは痛いほどわかる。
私も現代朗読協会で小中学校を訪問し、似たような状況に直面することがよくある。
こういうとき、こちら側・大人はどう対処すればいいのだろう。

内田樹氏なども主張しているが、現代の子どもたちがそのような態度を見せるにはそれなりの理由がある。
詳しくは割愛するが、近代以降の効率主義、経済主義、報酬主義的なシステムで「経営」されている学校や家庭生活のなかで、子どもたちがそのような「かったりー」という態度を示すのは当然のことなのだ。
子どもに限らないことだが、そのような「高効率が最大目的」とされる社会においては、当然のことながら「最小労力で最大の効率をあげる」ことが良しとされる。
これは、「なんの目的も報酬もない」ことについては労力を割いてはならない、という、裏返せばそういう価値観でもある。
「読み聞かせ」とか、「洗い物などの家事手伝い」といった、目的も報酬も得られないことに対して子どもたちは、
「自分はほかに高目的で高報酬のためにやるべきことがあるんだよね。だからこういうのはかったりーんだよねー」
というせいいっぱいの抵抗姿勢を見せることになる。親や教師も、そういわれればそのとおりで、自分たちもそのように子どもを教育してきたものだから、反論はできず、ただ沈黙するのみなのだ。
「いいから黙ってやれ」
というかつての親や教師の言葉は、現代の子どもたちには通用しない。目的と報酬を示さなければ彼らは動かないし、そのようにしたのは親や教師にほかならない。もっといえば、資本主義というシステムそのものでもある。

では、読み聞かせのときにふてくされた態度でこちらを無視し、お話を聞いてくれない子どもがいたら、どう対処すべきか。
彼女はおそらく、せいいっぱいの「演技」で、自分は「読み聞かせなどには関心がない」というメッセージをこちら側に送ってきているのだ。
一所懸命に聞いている子どもたちに勝るとも劣らない強いメッセージを、こちらに送ってきていると理解したい。
そういう子どもに対しては、こちらから声をかけたり、引っぱりこもうとするのは逆効果である。こちらがとるべき態度は、「なにもしない。しかしきちんと存在を認めてやり、見守っておく」である。
こちら側のその態度は、かならず彼女にも伝わっている。
彼女が「読み聞かせ」に参加してくれるようになるかどうかはわからないが、こちらが彼女のありようをしっかりと見守って認めつづけている、ということへの認識が、彼女を救うだろう。

2010年6月4日金曜日

「朗読の快楽/響き合う表現」連載スタート

新連載スタートのお知らせです。
アイ文庫twitterにてタイトルのドキュメントの連続配信します。

創造と共感の場である「現代朗読協会」がいまの形になるまでの経緯を、私の思考過程の変遷をたどりながら正直に、誠実にたどってみたいと思っています。
おつきあいいただければ幸い。
ハッシュタグは「#roudoku」で、通しナンバーをつけます。

幸せになるための音楽再入門講座——もう一度楽しみたい人たちへ

『水城式ピアノの弾き方』(山海堂)や『水城式ジャズの聴き方』(ブックマン社)などの著書があり、小説講座、文章講座、朗読やオーディオブック講座などの名講義(迷講義?)で定評のある水城雄が、こんどは音楽講座をやります。

◎日時 2010年6月6日(日)14:00-16:00
◎場所 羽根木の家(世田谷区羽根木1-20-17)
◎参加費 一般1,000円/会員500円(要予約)
◎参加申込み 私または現代朗読協会に直接お願いします

◎当講座のねらい
 本来音楽はとても自由なもの。ところが、私たちの耳は西洋音楽や商業音楽で矯正され、聴くほうも演奏するほうもとても不自由な世界に閉じこめられてしまっています。それにすら気づいていない人がほとんどですが、そんな閉塞した耳を音に向かってもう一度解放してやりましょう。
 自由な耳を取りもどすには、もう一度音楽の原点に立ちもどってみる必要があります。作曲法でがちがちに構築された世界を嫌ったジョン・ケージが「沈黙」にもどってみたように。
 音楽とはなにか。私たちが聴いている音楽はどのような成り立ちを持っているのか。音楽と音楽以外のジャンルとはどのような関わりがあるのか。
 耳の自由を取りもどしたとき、私たちはふたたび広々とした音の世界で遊ぶことが可能になります。リスナーもプレイヤーも。

◎こんな方におすすめです。
・人と音楽の関わりについて、ジャンルを横断して学びたい人。
・最近の曲をうるさく感じてたまらないという人。それを「歳のせい」だと思いこんでいる人。
・なじみのないジャンルの曲を聴くと、どの曲もおなじように聴こえてしまう人。
・本来好きなのに、なぜか最近あまり音楽を聴きたくなくなってきた人。
・朗読に音楽をつけたいけれど、曲選びで途方に暮れてしまう人。
・現代音楽がわからない/楽しめないという人。
・たくさん練習をしたはずなのに自由に楽器を弾けない人。
・一度ならずレッスンを挫折したことがあって、それがトラウマになっている人。
・これからなにか楽器をやってみたいと思っている人。
・その他、音楽についての知識を深めたいと思っている人。

◎こんなことをやります
・西洋音楽/非西洋音楽の両方から音楽と人の関わりを解説。
・音楽の発展(あるいは退化)の歴史を実際の音を聴きながら解説。
・現代社会にあふれている商業音楽の成り立ちについて解説。
・音楽と他ジャンルの芸術の関わりについて解説。
・即興演奏の方法について、実際の演奏例をまじえて解説。
・現在から未来に向かうなかでの音楽/音声表現の方向性と可能性を検証。
・質疑応答
・ミニレッスン

自転車をこぐ

 を〈水色文庫〉のほうに書きこみました。
こちら

2010年6月2日水曜日

Mobile Writing Style の追求

iPad が日本でも発売になり、予約分があっという間に売り切れとなった。
私もほしいと思ったが、これまで初期ロット不良に何度か泣かされた経験があったので、買うなら次のロットにしようと決めていた。

店頭でちょっと触ってみたが、印象はなかなかよかった。
意外に小さくて軽いと感じたのと、スクリーンタッチのレスポンスのよさが印象に残った。
が、動いているのは iPad 専用アプリで、iPhone アプリとおなじものが大きな画面で動いているだけ、という感じもあった。

もちろん iPad でしか動かないアプリはある。
Keynote や Pages など、iWork 系アプリがそうだ。
しかし、Mac のアプリケーションがそのまま動くわけでは、もちろんない。
あくまで iPhone OS で動いている。

iPhone 自体は非常に気にいって使いこんでいる。
なにより、小さいのがいい。
なにしろ携帯電話なのだから。
それに加えて、さまざまなアプリによって日々機能を自分好みに進化させていくこともできる。

私の場合、音楽アプリをたくさん導入した。
なかには実際のライブ演奏で使用しているものもあるし、音楽製作に使っているものもある。

iPhone アプリのいいところは、コンピューターに張りついていなくても、いつでもどこでも使えることだ。
しかし、欠点もある。画面が小さくて入力が面倒だ。
その点、iPad なら画面が大きくて、そこそこ持ち運びやすい。
しかし、買ったという人たちの書きこみをしばらくながめていて、ちょっと思いなおした。

ツイッターやブログ記事を読んでいると、圧倒的に iPad のすばらしさを絶賛しているものが多い。
ほとんどがそうだといっていい。
完成度の高さを示すものだろう。
iPhone にしてもそうだ。
アンドロイド携帯が出てきているが、いずれも iPhone を超えているものはない。
最初のiPhone が出てからもう2年も経つというのに、どのメーカーも超えられないというのは不思議なことではある。
iPhone の相当な先進性を示すものだろう。
が、なかにいくつか気になる記事があった。

ひとつは、iPad をひと前で出して使うにはなかなか勇気がいる、というもの。
外出先の無線LAN環境で試してみようと思ってマクドナルドへ行ったはいいが、気後れしてついに一度も iPad をカバンから出せなかった、という人がいた。
かなり気が小さい人なのかなとも思うけれど、気持ちはわかる。
マクドナルドでなくても、混雑した電車のなかであれを出して操作するのは、かなり気がひけそうだ。

あるいは、意外に重い、という感想の人もいた。
とっかかりがないので、するっと落としてしまいそうだ、という。
なるほど。
だから、保護ケースが売れているのだろう。
しかし、私は保護ケースのたぐいが嫌いだ。
iPhone も裸のまま使っている。

もうひとつ、iPhone も MacBook も持っているという人が、iPad を買ったのだが、使う場面がない、というもの。
外出先では iPhone を使ってきたし、家や仕事場では MacBook を使っている。
私もそうだ。
どういう場面で iPad でなければならないか、と考えると、私もわからなくなる。
あえていえば、音楽ライブのときだろうか。
あるいはワークショップの講師や講演で話者をやるようなとき。

ちょっとふざけたメッセージも見かけた。
iPad は持っていないが、iPad mini を持っている、という人があれこれ書きこんだりしていた。
「mini だけど、電話もできるんだぜ」
みたいに。
いわれてみれば、iPad でできることで iPhone でできないことはほとんどない。
音楽アプリも、画面が小さくて操作はしづらいが、しっかりと動く。

もっとおもしろいことを知人から聞いた。
アメリカ人のある新聞記者が、海外に取材で出かけなければならなくなった。
その際、いつもは重いラップトップやら電源アダプタやらをスーツケースに詰めこんで行くのだが、思いきって iPad と Bluetooth キーボードだけを持って行った、というのだ。
なにひとつ不自由しなかったという。
彼の仕事について想像してみた。
新聞記者だから、記事を書くことがまず第一だろう。
さすがに iPad の画面に表示されるソフトキーボードは、いくら画面が大きいとはいえ、使いにくそうだ。
だから、キーボードを持っていったのだ。
で、打った記事をメールで送ったり、あるいはネットにつないで調べものをしたり、メールの返信ができればいいわけだ。
iPad でなに不自由なくできるのは当然のことだろう。
重いラップトップを持っていく必要はどこにもない。

そこで私はふと思いついた。
この記者とおなじようなことは「iPad mini」でできるんじゃないかと。
iPhone の最大の弱点は入力インターフェースの貧弱さにある。
だから、これにキーボードを接続できれば問題は解決する。
なにも iPad である必要はない。
むしろ、もっとコンパクトで軽快になる。

私のやりたいことを整理してみる。
ブログや原稿の執筆。
メールの返信。
ブログの更新。
ネットの閲覧。
やはりキーボードさえあればすべて解決できることがわかった。
ただし、残念ながら、iPhone にはそのままではキーボードを接続できない。

iPhone でキーボードを使う方法は、ふたつある。
もっとあるのかもしれないが、私がすぐに知ることができた方法はふたつ。
ひとつは Jailbreak する方法。
もうひとつは、Apple に 年間約1万円を払って iPhone の開発者登録をし、iPhone OS4.0 を入手すること。
私は開発者登録をしていたので、OS4.0を iPhone にインストールする方法を選んだ。
そして、Mac の Wireless keyboard を入手した。

Bluetooth での iPhone と Wireless keyboard との接続は実に簡単だった。
あっという間にペアリングが終わり、キーボードから iPhone にテキストを入力できるようになった。
メールの返信や原稿の執筆が普通にできる。
ブログの更新は、iPhone 用のブログ更新アプリをインストールして、それもできるようになった。
いま、ちょっとこれ以上の mobile writing style は思いつかない。

2010年6月1日火曜日

『だれも教えてくれなかったジャズの聴き方』がまだ生きている件

 ブックマン社というところから何年か前に出した本だが、てっきり版切れになっているとばかり思っていた。なぜなら、アマゾンで注文しようとしても、古本の在庫しか出てこず、新刊書としての扱いがなかったからだ。
 それなら、自分で電子ブックにしてみようと思って、版元にいちおう確認を入れてみたところ、まだ生きているという。アマゾンでは古い本は版が生きていても新刊の扱いからはずされてしまうのだそうだ。Web2.0はどこへ行った。
 いまはこちらのブックマン社直販サイトから買える。送料コミで1,955円。

 ついでに、さらにその前に山海堂から出した『水城式ピアノの弾き方』のことも調べてみた。
 こちらもいまだに「欲しい」というリクエストが時々あって、わざわざアマゾンで古本を取り寄せてその値段で売ってあげたりしているくらいだ。
 この本こそ電子ブックにしてもいいかもしれない。
 と思ったら、なんと山海堂は2007年に業務停止に陥っていたのだった。
 それならそうと、早くいってくれよー。
 このところの(何度めかの)大人のためのピアノレッスンブームもあることだし、いま再版もしくは改版すれば、ある程度は売れるんじゃないだろうか。
 どこか出したい出版社はありませんか? なくても電子ブックにするけど。

榊原忠美との朗読セッション「初恋」再演(名古屋6/29)

 2007年12月に西荻窪〈遊空間がざびぃ〉で初演された前衛朗読「初恋」が、姿を変えて再演されます。
「初恋」は水城雄によるオリジナル作品です。ツルゲェーネフではありません。
 場所は千種文化小劇場(ちくさ座)、いわゆる円形劇場です。
 榊原忠美(朗読)と私・水城(ピアノ)に加えて、現代音楽作曲家の坂野嘉彦さん(クラリネット)も参加しての、トリオセッションです。
 2007年の初演のときには、終演後(上演中は完全暗転のためドアがロックされていた)「こんなの朗読じゃない」と怒って帰ってしまった人が出たほどの前衛的な内容でしたが、今回はさらにそれに輪をかけるでしょう。
 お近くの方は覚悟を決めていらしてください。

・日時 2010年6月29日(火)17:00-18:30ごろ
・場所 名古屋市千種文化小劇場(ちくさ座) TEL : 052-745-6235
・料金 2,000円(全席自由)

・問い合わせ 052-909-3755(鈴木)

 このセッションは、6月29日(火)と30日(水)両日にわたっておこなわれる「人 いのち 祈り 朗読・語りと音楽の会」の一部としておこなわれます。
 会は午後2時から7時すぎまで、さまざまな演目が連続で上演されるもので、「初恋」のほかにもオーソドックスな朗読、朗読劇、ダンスと音楽など、盛りだくさんです。